ニュースのウラカタ#34 「命を守る報道」

オピニオン室

ニュースのウラカタ#34 「命を守る報道」
”命を守る報道”と聞くと、まず思い浮かぶのが災害への備えではないでしょうか?阪神淡路大震災、東日本大震災などにより多くの命が失われ、私たちテレビ局を含め、各媒体では災害報道と災害への備えを呼びかける報道に、以前にも増して力を注ぐようになりました。
南海放送でも、NEWS CH.4がスタートするずっと以前から、災害に関する報道に取り組んできましたが、2018年の西日本豪雨を機に、さらに身近なこととして災害を捉え、日ごろの備えに重点を置いて呼びかけを続けています。

ここ2,3年、命を守る報道と言えば、新型コロナウイルスに関する情報発信と注意喚起ということになるでしょう。県内の感染者は今日(4月5日)までに2万5千人を超え、奇しくも今日、1日の感染者が386人と過去最多を更新してしまいました。亡くなった方も130人に上っています。NEWS CH.4では、県内で初めて感染者が確認される前から、番組の中で感染対策を呼びかけ、愛媛県民の命を1人でも救えればと情報を発信、今に至っています。

そしてもうひとつ、NEWS CH.4が力を入れている命を守る報道があります。

「CH.4 交通事故を考える」です。

愛媛県警が1947年に統計を取り始めて以来、これまでに県内で9200人以上の方が交通事故で命を落としています。驚きとともにこの事実を受け止め、交通事故をなくしたいと一昨年12月にスタートしたのが「CH.4 交通事故を考える」です。

15分間に及ぶ大特集を月に1回ペースで、これまでに15回放送してきました。(愛媛の交通事故史、自転車で死なせない、愛媛の横断歩道、愛媛の通学路、ライダーの命を守る、高齢者と交通事故、横断歩道停止率考、運転免許自主返納、飲酒運転根絶へ、死角の研究、横断歩道停止率UPのカギ、愛媛の交通事故対策 最前線、現場検証!視聴者情報、白バイ隊員の決意、交通弱者を支える新交通アイテム)

私たちの唯一にして簡潔な目標、それは交通事故をなくすこと。何十年かかるか分かりませんが、交通事故がなくなるまで取材・放送を続ける覚悟です。交通事故と向き合わない限り、愛媛県民の命は守れないと思っています。

この「CH.4 交通事故を考える」の発案者にしてリーダーは、この春、報道部で4年目シーズンに入った杉本記者(企画スタート当時は入社4年目・記者2年目)です。彼女の交通問題に対するバイタリティと執念は、ベテラン記者やデスク陣を遥かに凌ぐ凄まじさで、過去15回のうち8本を制作しています。15分の特集を制作するのは、1回でもかなりの重圧かつ重労働ですが、彼女は進んで身を投じています。さらに現在、明後日(7日)放送分を編集中という、押しも押されもせぬ「CH.4 交通事故を考える」のエースです。

そんな杉本記者が繰り出す最新回は「危険な通学路を考える」。去年、千葉県八街市で発生した通学路で児童5人が死傷するという痛ましい事故を受け、全国的な通学路の点検が行われました。この点検により、愛媛にも危険な通学路が911か所あることが判明しました。杉本記者は、この911か所のうち入手可能だった約8割の通学路情報を1つ1つ調べ、危険性を洗い出しました。そして、目を付けた通学路にデジタルカメラを持って出かけては、その具体的な”危険”を映像に記録していったのです。

明日、春の全国交通安全運動が始まります。スローガンは「通学路 速度を落とす 思いやり」。また、明後日には、愛媛県内のほとんどの小学校で新学期がスタート、新1年生が通学路を歩き始めます。杉本記者の「絶対にこのタイミングで放送したい」との強い希望により、明後日7日に決定した「危険な通学路を考える」、ぜひご覧ください。後日、CH.4の公式YouTubeチャンネルにもアップする予定です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
宇都宮宏明

西予市宇和町出身、1996年 南海放送入社後、主にテレビ番組制作部門。
「もぎたてテレビ」のディレクター・プロデューサーなど担当。
2018年~「ニュースCH4」デスク(自称”世界で一番優しいニュースデスク”)。

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