17歳の地図

ニュース解説

昨日の愛媛FCホームゲーム。
結果は最悪の開幕3連敗、
しかし、
一人の若者が希望を見せてくれました。

J初出場で同点ゴールを決めたのが
現役高校生、愛媛FCU-18に所属する
行友翔哉(ゆくとも とき)選手でした。

まだプロではありませんが
“二種登録選手”として出場しました。

しかも
愛媛FCが放ったシュート2本
(相手17本)は、
いずれも彼からで
そのうちの1本を
豪快にぶち込んで見せました。

17歳2か月22日での出場&得点は
愛媛FC史上最年少記録です!

因みに
Jリーグ最年少は久保君(マジョルカ)の
15歳10か月11日。

行友選手は
J3リーグ7番目に若い記録です。

「あまり覚えてないんですけど…
(シュートを)フかさないよう
枠に飛ばそうとだけ意識しました。
当たった瞬間、入ったと思いました!」

相手、筋肉軍団・いわきFCに
圧倒され続けた中、
75分に交代出場。

得点を決めたのは
アディショナル(90+2分)という
劇的な初ゴールでした。

故郷、山口で中学を卒業し
「一番成長できると思ったんで」と
家族と別れ、
愛媛での生活を選びました。
相当な覚悟があったはずです。

直前にコロナや怪我で
主力に離脱が出たという
運もありましたが、
いきなりのデビュー戦で大仕事を
やってのけたのは、
それだけじゃないと
あるスタッフが教えてくれました。

「普段の練習からギラギラしている。
彼の一番の特徴は“ハート”です。
だからあういう大きな場面で
足を振りぬくことが出来るんです」

なるほど
そういえば彼が放った
2本のシュートは
1本目が
右足からのコントロールショット。

同点のゴラッソとなった2本目は
左足のハーフボレー。

いずれもペナルティ外からの
ミドルショットでした。
強い気持ちがないと
打てないシュートです。

そんな彼には
普通のルーキーとは違う
明確な目標がありました。

「名を売りたいんです!
“行友翔哉”という名を売りたい!」

ビックリです。

こんなことを言う高校生に
初めて出会いました。

「こういう記者会見も初めてですが
緊張はないですね。
ただこの“返し”で良いのかが気になりますw」

開幕前は予想もしなかった
最下位という
かなり厳しいスタートに
なりましたが、
“育成”を掲げる愛媛FCにとっては
希望以外の何物でもありません。

わずか1試合でチヤホヤする
日本のメディアは
好きではありませんが、
ストライカーに必須の条件を
既に備えてることに
大きな希望を感じます。

「ゴールを決めたけど
それよりも負けた方が悔しい。
これからは結果、数字に重点を置いて
勝利につながる点を決めたいです!」

インタビューも終始、高校生離れした
堂々としたもんです。

ところで現在、春休み中だけど
宿題はどうなの?
「それが一番ヤバいです!
手が付けられてないんですよね~w」

ちゃんと17歳らしいとこもあって
最後の“返し”も完璧でした。

未だチームの方は
開花宣言と行きませんが
新芽が育ってるのは
間違いないようです。

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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