ZOZO創業者の前澤友作氏が
アートコレクターとして
世界に知られる存在であることを
ご存知でしょうか。
5年前には
アメリカ人画家、バスキアの作品を
123億円で購入し、話題となりました。
大原美術館(岡山県)の倉敷紡績、
出光やブリジストン、サントリーにベネッセなど
文化・芸術活動と企業(経営者)には
深い関わりがあります。
県美術館で開催中の
「HELLO!えひめの企業アートコレクション
ひろがる美のかたち」展は
愛媛県内の企業が所蔵する作品にスポットを当てた
「全国的にも恐らく例が無い」(杉山はるか学芸員)
という展覧会です。

左手前がミウラート・ヴィレッジ所蔵「黒像式アンフォラ」紀元前520~510年
展示作品は
紀元前の古代ギリシャの陶器(ミウラート・ヴィレッジ所蔵)から
夏目漱石の書(NTT西日本四国支店所蔵)、
そしてアンディー・ウォーホール(所蔵先明らかにされず)まで
時代もジャンルも多岐に渡ります。

中野和高「創立記念行事」1956 井関農機所蔵
大洲市出身の洋画家・中野和高(1896-1965)の
「創立記念行事」(井関農機所蔵)。
「農家を過酷な労働から解放したい」という
企業理念で
1926年に松山市で創業した井関農機。
その創立30周年の記念式典を
絵画として記録した珍しい作品です。
式典には地元の名士や取引先の関係者、
社員にその家族など
2500人が出席しました。

「創立記念行事」部分
時代は
農業の機械化が急速に進んだ高度成長期。
創業者・井関邦三郎にとっては
会社はまさに自分自身。
自身の肖像画を依頼するかのように
記念式典を
中野和高に描かせたのかもしれません。

中川八郎「みかんの頃」伊予銀行所蔵
伊予銀行が所蔵する
中川八郎(1877-1922・内子町出身)の「みかんの頃」。
昭和27年に本店が新築された際に
取引先からその記念として贈られたもの。

「みかんの頃」部分
当時はお祝いの品として
企業に絵画が贈られるというのは
決して珍しいことではなかったといいます。
他にもふなやや大和屋本店といった道後の老舗旅館のように
客室・ロビーなどで客をもてなすために
美術品をコレクションするケース。

写真右は 狩野章信「能絵(道成寺)」江戸時代後期 大和屋本店所蔵
経営者が、いわゆるパトロンとして
郷土の作家など特定のアーティストの作品を購入し
支援するケースなど
所蔵に至る経緯や理由も様々です。

南海放送からも所蔵作品8点が展示されている。左手前は森堯茂「砂と水と No.3」1968
作品一点、一点が纏う、その物語に思いを馳せ
作品を介してそれぞれの企業に視線を向けてみると
今までとは違った企業像が浮かび上がってくるのも
この展覧会の魅力と言えます。
「HELLO!えひめの企業アートコレクション
ひろがる美のかたち」は
3月21日まで愛媛県美術館で開かれています。