学生ビジネス最前線①魚の皮で小物を作ろう!

オピニオン室

この夏、県内では
チャレンジ精神を発揮して
さまざまなビジネスに
挑戦する大学生たちの姿が
ありました。

そんな社会人顔負けの
彼らの活動を
2回にわたってお伝えします。

一回目は
魚の皮で小物を作る学生です。

「革製品というと、
一般的には牛革だったり、
豚革、ヘビ革とか
クロコダイルなどを
連想すると思うんですが、
そこを魚の皮で
やってみようと。
新しい素材としての“革”に
生まれ変わらせようと
しています」

愛媛大学3年の
多賀谷直樹さんです。

多賀谷さんの
スゴイところ。

それは、
魚を
食べる以外に活用しようとする
着眼点です。

「魚の皮がいっぱい
捨てられる部分があるのは
もったいないと感じていました。
漁師さんについて言えば、
体力的にしんどくて
『ちょっと漁はもう難しくなった』
という人がいるかもしれない。
けれど、そんな人に
生きがいになるものが
出来ないかなということで、
廃棄される魚の皮を活用して
何か作れないかと考えたのです」

廃棄されてきた
魚の皮を有効活用するとともに、
引退後の
漁師の収入にも
繋げようというのです。

材料の魚は100%愛媛産

2年前から
挑戦している、
魚の皮を使った小物作り。

材料となる
マダイやハマチなどの皮は、
八幡浜市の
魚屋さんや
飲食店などから
無料で分けてもらっています。

うろこを落とし、
身をそぎ落とし、
薬剤のタンニンに浸して
“なめし加工”を施します。

こうすることで、
皮から革に仕立てるのです。

こうして
革へと加工された魚の皮で、
これまでに
小銭入れや
名刺入れを
試作しました。

課題解決への模索

でも、
チョット問題が…

触ってみると
少し硬く、
柔軟性にとぼしいのです。

そこで多賀谷さんは
8月6日、
革製品の専門家に
オンラインで
アドバイスを求めました。

事前に
なめし加工した
魚の皮を送っていた
多賀谷さん。

それを手にする
専門家からは、
手厳しいコメントが…

「“なめし”が
出来てないです。
製品としては不十分ですね」
「タンニンが
全然吸着していない」

原因として、
タンニンに浸す前の
うろこや身を
取り除く処理が
出来ていないと
指摘を受けました。

「まだまだやっぱり、
実現までには壁があると
分かりました。
身に付けることで
その人が満足感を得られるような
製品を追い求めたい」

いつか、
自信の持てる“魚の革製品”を

オンライン相談を終えた
多賀谷さんは、
これからも
試行錯誤を
重ねていくと
決意を新たにしていました。

魚の養殖がさかんな
愛媛県ですが、
皮を使って小物を作り、
販売しようという取り組みは
あまり例がありません。

これから
どんな製品が誕生するのか。

新ビジネスへの
期待を込めて、
今後も取材を
続けたいと思います。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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