答えは収穫の秋頃に・・・

オピニオン室

大汗をかきながら来場者の受付や

マスコミ対応に奔走していた

広報担当の菅浩雅氏(済美高校サッカー部出身)。

「(シーズン)中断で五輪ばっかりになっちゃうと

ファンが離れてしまう。

何もしないのはイヤだったんで…」

彼の発案で急遽、実現した

昨日の愛媛の国体成年チームとの

トレーニングマッチ(一昨日は練習を公開)。

コロナの影響で非公開が続き

練習会場に来られなかったファンに向けて、

今季初めて公開された練習試合でした。

約120人のサポーターが

久しぶりにトレーニングの様子を堪能しました。

「普段出ていない選手も見られるし、

近いのが嬉しい」

お母さんに連れられてやってきたという

中学2年生の男の子。

そう。

“通”はやっぱり練習を見てナンボ、ですよね。

せっかく、久しぶりに

サポーターが来てくれるんだからと

抽選で選手グッズが当たるようにしようと

提案してくれたのは

選手側(横谷選手)からだったそうで

当選者は思わぬプレゼントに

大喜びしていました。

トレーニングマッチを公開するだけでなく

中断期のこの1週間は「愛媛FC夏休み企画」として

県内6か所のサッカー少年団や幼稚園、小学校を

選手たちが訪問し

サッカー教室などで地域の子供たちと交流します。

地域との交流イベントは

トップチームが立ち上がってから

継続していますが

ここまで短期集中的にやるのは

初めてです(おそらく)。

「ファンがいると選手の目つきが違う。

いつもこういう環境でやりたいが今は難しい。

僕たちは皆の目標にしてもらう、

尊敬される言動をとらないといけない。

相手に迷惑をかけないように

いろいろやれることはやりたい」

實好監督にとって今日の公開トレーニングマッチは

ファンとの交流とともに新メンバーも含めた

大事な調整の場でもありました。

「テーマは“ボールを奪って積極的に”

“攻撃では仕留めに行くタイミング”。

この2つでした」

因みに結果は30分を3本で

①2-0*大谷、藤本、

②3-0*三原、西田、山瀬、

③2-0*唐山、森谷(*は得点者)でした。

先日加入したばかりの新戦力二人も出場。

「ここまで失点が多いので

守備の選手を補強しました。

高木(利弥 松本山雅より期限付移籍)は

サイドで上下運動が出来て左足が特徴で

センターバックの栗山

(直樹 モンテディオ山形より期限付き移籍)は

コーチングでまとめてくれるし

セットプレーで攻守に強い」

経験豊富な即戦力が加わり、

主力の怪我人も復帰し始めています。

中断期のGOOD NEWSはまだあります。

一昨日、愛媛FCのU-15チーム(中学生年代)が

クラブチーム日本一を決める

「日本クラブユースサッカー選手権大会」の

四国予選決勝で

徳島ヴォルティスジュニアユースを5-3で下し、

四国王者として全国出場を決めました

(8/15~全国大会は北海道帯広)。

「最初は点が全然取れなかったんですが、

取れるようになりました!」

U-15チームを率いるのは
 
元トップ選手の河原和寿コーチ。
 
全国大会は強豪ばかりですが
 
徳島を破っての全国出場は立派です。
 
この日は河原コーチ自らサポーターに声をかけ
 
U-15チームの全国出場をアピールしつつ
 
アカデミー育成の為の活動資金を募る
 
“愛夢(えむ)”加入もお願いしてました。
 
 
この“愛夢”というのは
 
いわゆるファンクラブではなく
 
愛媛FCの育成組織の活動と
 
地域サッカーのレベルアップを
 
支援することを目的に設立された育成サポートクラブで
 
実際に活動資金を提供して頂いた方に
 
特典が与えられるシステムで
 
目標金額の無いCF(クラウドファンディング)に近い
 
というと分かりやすいでしょうか。
 
詳細はクラブHPにありますので興味のある方は是非。
 
 
これまでのように若い才能が出ても
 
ビッグクラブに引き抜かれるばかりでは
 
ローカルクラブは萎んでいくばかり。
 
“愛夢”は地元の選手を地元で育てていく為に
 
よりよい環境を作る取り組みの一つです。
 
それはトップチームが目指すプレイスタイルと同じ。
 
受け身なままの経営ではプロビンチャ(地方クラブ)は
 
淘汰されてしまいます。
 

「僕も昨日、

(U-15の愛媛対徳島の試合)観に行ったんですけど

凄く熱くて質の高いゲームでした。

我々は小さいクラブですけど

育成面で良い取り組みが出来ている証拠です。

五輪も観てますが

代表選手たちの努力の仕方がハンパじゃない。

自分達もやらないといけない。

そして発信している言葉。

これはウチが大事にしている“感情の部分”。

トップアスリートの言動は心に入ってくる。

そこは共有したいです」

愛媛FCのトップ監督はこの中断期に

育成世代と五輪世代に大いに刺激を受けたようです。

公式戦の無いこの短い夏休みをクラブとしてどう過ごすか。

成果は秋の収穫の時期にわかるはずです。

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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