愛媛FCの“残留率”も出してみた

オピニオン室

五輪中断期に入る直前の大事なホームゲームだった昨日。

アディショナルタイムで追いつくという劇的な同点劇

(2-2東京ヴェルディ)に

今季最多(2,467人)のサポーターが酔いしれました。

“しばらく観れんなるから観に行こか~”

と久しぶりに来た方が多かったのでしょう。

「これよ、これ~!」と言いながらスタジアムを後にする

後ろのオジサンの顔は満足げでした。

実数はまだまだ不満ですが

2,500人くらい入るとここ(ニンスタ)は

なんとか“ホーム感”が出ます。

「(同点弾はギリギリで微妙だったが)

最後ひと転がりしたのはサポーターのおかげ」と

實好監督が言ったのは本当で、

試合に好影響を与えられる最低人数が2,500人。

これ以下の人数だったらあのまま負けていたと断言できます。

今日の試合を5,000人、いや1万人で観たら

チョーオモシロかっただろうなあ~と思いながら

そのオジサンの一人解説を背に

試合後の駐車場へ向かってました。

内容も良かった。

愛媛FCの狙いであった“ハイプレス”と

トレンドである東京ヴェルディの

“ポジショナルプレー”がぶつかり合ったナイスゲームで

まさに手に汗握るシーソーゲームでした。

GOOD GAMEの要因は常に練習にあります。

愛媛FCが先週の練習で徹底していたのが“前からの守備”でした。

「前節(対甲府●0-1)は

ボールを奪ったところが後ろ過ぎて前に進めなかった」

實好監督の反省点はハッキリしていました。

とにかく“前”で守備をして、そして攻撃に繋げる。

メディア公開日の練習でもそこを繰り返していました。

その日、もうひとつ気が付いたことがありました。

“ポジティブな空気感”です。

素人感覚ですが案外これがバカに出来ません。

諦めている空気感とか、バラバラな時の空気感は

見ている人に伝わるものです。

なんとなくわかると思いますが、

そういうのはサッカーだけじゃありませんよね。

この日の空気感はそうではありませんでした。

苦しい状況ですが誰も下を向いていないし

声が良く出ていて、

仲良し感じゃないピリピリ感が練習場にはありました。

それが高じたのでしょう

途中、ある選手同士の戦術についての会話がヒートアップし

言い争いになった時がありました。

一瞬、緊張感が漂いましたが直ぐに實好監督が間に入り

皆の前で話し合いを持ちました。

「●●と●●の言い合いがありましたが、

僕はまさにあれを共有したかったんです。

些細なことだけど重要な事なんで」

意見のぶつかり合いがあるくらいがいい。あって当然。

出来ないことを出来る様にしているんだから。

長年ビッグクラブで揉まれてきた實好監督が意に介さず続けます。

「でも、ああいう言い争ったのを僕はシーズンの最後までイジるんでw

それで(選手は)ムスッとするでしょうけど」とニヤリ。

就任時、“関西のお笑い文化も植え付けたい!”と言っていた監督らしい

チームつくりが継続中の様です

(實好監督は愛南町出身でプロ生活はガンバ大阪一筋)。

これでお笑いだけだとnot enoughですが

“得点”という結果に繋げたことに指揮官の値打ちがあります。

先制点を決めた近藤選手と追加点の榎本選手は

いずれも「練習していたシュートが決まった」と

試合後に口をそろえました。

この2得点は實好監督が練習で徹底させた“高い位置での守備”から

生まれたものでした。

(1点目は忽那選手、2点目は榎本選手自身からの守備)

勝ち切ることは出来ませんでしたが

今一番必要だった課題に最適解で答えて見せました。

会心の一撃…critical hit!(←やっと使えた)でした。

「これで負けていたら自信を無くしていた。

勝てなかったけれど“良い勝ち点1”だった」

近藤選手の言葉が全てを物語っています。

連敗を3で止めましたが順位は20位のままで未だ降格圏。

「出来るだけはやく(降格圏を)超えたいのはヤマヤマです。

その為にピッチ外を含めて何をしてるか。

厳しい状況にどういう行動をとれるかを大事にしている」

4日間の僅かなオフを取ってチームは練習を再開します。

實好監督に気を抜く気はサラサラないようで

トレーニングも今以上にハードにやっていくそうです。

間もなく始まる前代未聞のアスリート祭典が終わった翌日(8/9月曜)が

愛媛FCの再開日(アウェイ対群馬)。

この3週間でより逞しくなったチームに会えそうな気がします。

 

 

さて

現時点での残留率ですが…

 

 

 

 

82%!

(↑新田高校のインターハイ壮行会もありました

初戦は8/15対旭川実業、福井で暴れてこい!)

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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