熱戦!県高校総体

オピニオン室

高校3年生のスポーツ部員にとっては集大成となる県高校総体。今年も31競技で熱戦が繰り広げられ県内71校の7660人が参加した。

このうちラグビーは今年から7人制に刷新。優勝チームが「アシックスカップ全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会」の出場権を得る予選に位置付けられた。

これまでラグビーにインターハイはなく県総体を行ってもその先は四国選手権まで。「全国高校ラグビー選手権大会」いわゆる花園大会がインターハイの意味合いを兼ねていた。今回の県総体から7人制全国大会の予選になったことは選手達にとっても大きなモチベーションになった。

初めての7人制。試合は7分ハーフで行われた。決勝まで勝ち上がったのは三島高校と新田高校。

7-7の同点で迎えた後半。新田のエース戒田がタッチライン際を独走しトライ(三島7-14新田)。勝ち越しに成功するとその2分後、三島の宇都宮がDFの隙を突き同点のトライ(三島14-14新田)。一進一退、手に汗握る展開となった。

試合時間残り2分。新田のエース戒田が再びサイドを破り勝ち越しに成功(三島14-21新田)し
このまま新田の優勝か?と思われたラストワンプレー。三島の高橋が一人、二人、三人とDFの猛追を振り切りトライ!!コンバージョンキックが決まったところでノーサイド(三島21-21新田)。トライ数とキック決定数が同数のため男子ラグビーは三島と新田の両校優勝となった。

しかし、ここで問題が発生。全国大会の出場権は1校しかない。大会規定により全国大会の出場権は抽選で決められることになった。

両校の主将が本部席に集まり。2通の封筒のうち1通を選択。封筒の中に「出場権あり」と書かれた紙を引いたチームが全国大会に出場する。

『三島高校が出場権です』

結果は、三島が全国大会出場権を獲得した。

新田を率いた2年生キャプテン渡辺雄大は涙をこらえながら3年生部員に結果を報告した。

渡辺(2年)『(戒田)慶都くん、ごめん。』
戒田(3年)『来年いけ。来年。』

数分後―。

気持ちを切り替えた2年生主将は円陣の中心で次のような言葉をかけていた。

『セブンスは、全国行けなかったけど、花園には絶対連れて行く。もう一回、俺についてきて。
明日から、もう一回練習頑張ろう』

ラグビーはその競技の特性上体力の消耗が激しく、成長段階にある高校生に対して試合時間を延長せず「抽選」で勝敗を決定するというのは15人制の時から決めているルールだそうだ。

言いたい事があったかもしれないが清々しい態度で抽選結果を受け止めていた新田・渡辺主将の姿に胸を打たれた。全国大会の出場権を得た三島には新田やその他敗れたチームの分も大舞台で力を発揮して欲しいと思う。

総体は「青春」そのもの。この3日間、県内各地あらゆる競技でこのようなやり取りがあったことだろう。

出場選手のみなさん。応援団のみなさん。保護者、指導者、学校関係の皆様。競技の運営団体の皆様。今年もお疲れ様でした!

記者プロフィール
この記事を書いた人
藤田勇次郎

1975年生まれ。奈良県大和郡山市出身。1998年入社。
高校野球・サッカー・日米大学野球・マラソン・トライアスロン・アームレスリング・駅伝・ボウリング・剣道・ビーチバレーなど各種実況担当。
「松山大学女子駅伝部」を10年にわたって取材。4本のドキュメンタリーを制作。

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