「部活、辞めたい」でもeスポーツなら・・・

オピニオン室

サッカーが好きでサッカー部に入ったけど
出身中学が違うみんなとチョット、
”距離”を感じる・・・

サッカー部に入ったけど
実はフィジカルなサッカーが
目的じゃなかった。
将来の夢に向けて、ある大会に出たい。

小松高校サッカー部で
一度は部活を辞めたいと思った部員に、
今、eスポーツで部活を続けることを
認めています。

部活の本来の目的は?

スポーツはもともと楽しいものだったはず。

そして、部員一人ひとりに
もっと”向き合った”部活が
あってもいいんじゃないか。

そんな問いかけへの、一つの例です。

◆「部活離れたい」に、
監督「えっー!サッカー上手いのに・・・」

小松高校サッカー部2年の
三浦歩夢さんは西条東中学出身。

2年生のサッカー部員13人のうち、
西条東中学出身は1人、入部以来
どこか他の部員と”距離”を感じていました。

仲良く出来るし
周りも気を使ってくれるけど
どうも気持ちの上で
”ポツン”と1人になってしまう気がする・・・
(もちろん、気のせいだろうけど・・・)

小松高校サッカー部の藤本賢二監督は
三浦さんからサッカー部を辞めたい
と聞いた時、「えーっ!」と
驚いたといいます。

小学3年生からサッカーを始めた三浦さんは
「体力もあるし、
技術は部員の中でも高いレベル。
戦術的な思考もできる」(藤本監督)。

「なぜ?という気持ちが強かったが、
確かに、おとなしく、自分から前へ前へと
出てゆくタイプじゃない」
「このままメンタルが崩れてしまっては
ダメだ」(藤本監督)と考えたといいます。

◆「いつ、eスポーツ
やらせてくれるんですか?」

同じくサッカー部2年の槇陸人さんは
東予西中学出身。

槇さんは、入部の動機がちょっと、
変わっています。

「小松高校サッカー部なら
eスポーツができると思った」(槇さん)。

南海放送の報道で
小松高校サッカー部が2019年茨城国体
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」に
愛媛県代表として出場したのを見て
「この人たちに勝ちたいと思った」(槇さん)。

小学生のころから野球が好きで
野球部に所属していましたが
実力は「試合に出たり、控えにまわったり」(槇さん)。

ゲーム(特にシューティングゲーム)が大好きで
「腕前には自信がある。
ゲームという分野なら勝てる。
将来の夢はeスポーツ選手」と
ハッキリ語ります。

そしてある日、
藤本監督に気持ちを伝えました。

「いつeスポーツができるんですか?
もし、できないならサッカー部を辞めたい」

◆小松高校サッカー部eスポーツ部門?

こうした2人の
”サッカー部を辞めたい”という気持ちを
eスポーツでもう一度、部活につなぎ止め
高校生活で大切な
スポーツの楽しさを感じ続けてもらいたい。

藤本監督は2人に
eスポーツでサッカーを続けることを
提案しました。

もちろん、こうしたケースは初めてです。

◆国体目指して練習に励む2人、競い、楽しむ

2人は今、今年の三重国体文化プログラム
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」
ウイニングイレブン部門愛媛県代表決定戦を
目指して、練習しています。

2人は、あくまでサッカー部員として
eスポーツを練習しています。

2人は部員みんなの前で
「これからはeスポーツで頑張る」と説明し、
部員、みんなで納得し
同じサッカー仲間として
部活を続けているそうです。

藤本監督はeスポーツ部門?
の監督でもあります。

練習を見守り、戦術の指示もします。

「辞めたいと聞いた時は正直、部活の意義に悩んだ。
サッカーの本来の意義は楽しむこと。
ウイイレで、2人をサッカーに
つなぎとめることができたのは嬉しい」
(藤本監督)

楽しむことは
サッカーに限らず
全てのスポーツの意義でもあります。

もちろん、eスポーツはスポーツ。

色んな部活の”かたち”が
県内で生まれています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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