離島でワクチン接種”予想外”のメリット

オピニオン室

今治港からフェリーで1時間20分、
離島地区の岡村島には
65歳以上の高齢者が189人いて、
5月26日時点で
島内の診療所での接種希望者は
122人でした。

診療所はもちろん1か所、医師も1人、
ワクチンは陸地部から船で
看護師が運びます。

不便だろうなぁ・・・と
勝手に想像して取材しましたが
実はとてもワクチン接種が
スムーズに行われると
関係者はみています。

なぜ?なのでしょうか。

▼『歩いて診療所で予約!
離島ワクチン接種』(4分36秒)

◆インフルエンザワクチンが訓練に・・・

今治市関前支所・支所長の
小笠原洋一さんによると、
毎年、島内の高齢者120人程度は
島の診療所でインフルエンザワクチンを
受けるといいます。

今回、コロナワクチンの
予約を受け付けたところ
ほぼ同じ数の122人が予約を済ませました。

予約といっても
都市部で問題になっている
「電話がつながらない」
「ネット予約の方法が分からない」
などの問題は島では生じません。

なぜなら、ほとんどみんな
歩いて診療所に予約に行くから・・・

看護師も日ごろからの顔見知り。
もちろん、分からないことがあれば
近所で助け合います。

つまり”病気予防”コミュニティが
日ごろから形成されているのです。

▼取材した初日、接種は6人だけ

取材した日も、病院で顔を合わせるのは
顔見知りだけ。

きのうの様子も互いによく分かっているため
健康状態に不安がありません。

診療所の西信真医師も
念には念を入れて
初日は接種を6人にとどめ、
万が一に備えました。

重篤なアレルギー症状などが出た場合、
救急搬送の面で
離島には大きなハンデがあります。

接種や、接種後の対応に慣れるに従って、
徐々に接種人数を増やしていきます。

こうした患者の立場に立った
ゆとりを持たせられるのも離島ならではです。

もちろん、離島には不便もつきもの。

強固なコミュニティは
時には排他的に働くこともあり得ます。

しかし、コロナワクチン接種に関しては
有利に働いていると取材して感じました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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