ニュースのウラカタ#5「続・デスクのお仕事」

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ニュースのウラカタ#5「続・デスクのお仕事」

先週以降の松山でのコロナ急拡大への対応(デスク本業)で執筆活動がままなりませんでした。
そこで、今回は動画の力を借りることにします。
テーマはデスクの重要な仕事のひとつ「リライト(文面編集)」です。

まずは動画をご覧ください。
CH4で3月17日に放送したシリーズ企画「春の味覚・イチゴ園」です。
以下のリード(スタジオ顔出し部分)に続いてVTRを流しました。

リード)
今週はシリーズで、県内の「春を感じる旬の味覚」を紹介しています。
きょうは、島のイチゴ園に登場した真っ赤な新しい味です。

情報は3月17日時点
動画中のナレーションやインタビューは、
取材した記者が書いた原稿をデスクがリライトしたものです。
ビフォーアフターを比べてみましょう。

【もともと記者が書いた原稿】
リード)
今週はシリーズで、春を感じる旬の味覚のデザートをご紹介しています。
きょうは、大三島のいちご園で今シーズンから販売が始まった旬の「紅い雫」を使った商品です。

VTR)
今治市の大三島にある井上苺園です。
赤く色づき完熟したいちごが旬を迎えておりいちご狩りのシーズン真っ只中です。
いちごを育てているのは、井上洋平さんと衣美さんです。

※生音 井上洋平さん
「両親が始めて20年経つんですけど、高齢でたたむっていう話がでたので」

しまなみ海道が開通する年に、洋平さんの両親が始めたいちご園。

※生音 井上洋平さん
「こんな小さい島の小さい農園に遠くから来ていただけるお客様がいる。
笑顔で帰ってくれるっていうのが、どうしても残したいなと。」

両親が育ててきたあまおとめのほかに、去年、二人は、
新たに3種類のいちごの生産を始めました。
さらに、今シーズンから、衣美さんの夢であった
洋平さんがつくるいちごを使った加工品の販売をトレーラーで始めました。
販売し始めた商品は…

※生音 井上衣美さん
「紅い雫のサンドイッチをつくります。」

紅い雫は、愛媛県が開発したオリジナル品種です。
雫のようなきれいな形で果肉全体が色づきいちごの加工品に向いているということです。

※生音 井上衣美さん
「いちごを味わってほしいなっていうのでつくっているので
クリームたっぷりじゃなくていちごっておいしいなと思ってもらえるような
サンドイッチになっていると思います。」

二人からの愛情いっぱいに育てられ真っ赤に熟した紅い雫をたっぷり使います。

※生音 井上衣美さん「これでちょっと冷蔵庫で休ませます。」

冷蔵庫で1日休ませ。完成です!

※生音 伯方島から来た親子男の子と女の子
「おいしい!」
※生音 母親「おいしいです。甘くて。いちごが。」
※生音 母親「甘さと酸っぱさは ちょうどいいバランスかなと思います。」

紅い雫サンドは、土・日・祝日のみの販売です。(終わり)

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続いて、デスクがリライトした原稿です。
リライトのポイントは、客観性、事実関係、正しい日本語…
ほかにも細かく言うといろいろありますが、主にはこんなところです。

ただし、私が一番大切だと考えているのは「おもしろさ」。
「おもしろさ」は、
情報性、タイムリー性、構成、演出、画力(えぢから)、言葉力など
様々な要素の組み合わせでアップさせることができます。
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【デスクがリライトした原稿】
リード)
今週はシリーズで、県内の「春を感じる旬の味覚」を紹介しています。
きょうは、島のイチゴ園に登場した真っ赤な新しい味です。

VTR)
今治市大三島。多々羅大橋を臨む海沿いに広がる、井上苺園です。
今は、イチゴ狩りのシーズン真っ只中。旬を迎えたイチゴが真っ赤に色づいています。

■インタ 井上洋平さん
「瀬戸内の気候があってるんじゃないかと思いますね」
「日照時間が長くて/色づきがよくなりますね」

イチゴ園の若旦那と若女将、井上洋平さんと衣美さんです。
両親が営む農園を引き継ぐため、2年前に、夫婦で徳島からUターンしてきました。

■インタ 井上洋平さん
「高齢で(イチゴ園を)たたむっていう話がでたので
/こんな小さい島の小さい農園に遠くから来ていただけるお客さんがいる。
笑顔で帰ってくれるっていうのが、どうしても残したいなと」

若夫婦の就農をきっかけに、井上苺園では去年、
愛媛県のオリジナル品種「紅い雫」を初めて植え付けました。
年が明け、今、1回目の収穫期を迎えています。

■インタ 井上洋平さん「いろんな人からアドバイスをもらって/出来は良かったです。」

自画自賛の紅い雫。
若夫婦は、果実だけでなく、加工品も売り出そうと、商品のアイディアを出し合いました。
そして誕生したのが…

■井上衣美さん「紅い雫のサンドイッチをつくります」

真っ赤な”雫”をいっぱい並べます。生クリームは衣美さんお手製。

■井上衣美さん「あまり甘くならないように。イチゴの味をちゃんと味わってほしいからです」

カットすると…
果肉の中まで赤くなるのが、紅い雫の特徴。
この見た目のインパクトとかわいらしさがサンドイッチにした理由です。
SNS映え間違いなし!

※生音 伯方島から来た親子男の子と女の子
「おいしい!」「おいしい!」
※インタ 母親「おいしいです。甘くて。イチゴが」
母親「甘さと酸っぱさはちょうどいいバランスかなと思います」

■衣美さん
「イチゴっておいしいなと思ってもらえるようなサンドイッチになっていると思います」

井上苺園の真っ赤なサンドイッチ、土・日・祝日限定で販売しています。(終わり)

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井上苺園のイチゴ狩りは6月中旬まで!ぜひ島のイチゴ園へ足をお運びください。

次回のニュースのウラカタは「#6 リライトのツボ」。
具体的にどの部分をどういった意図でリライトしたのか詳しく見ていきます。

猫入ってます。

私の故郷・宇和町もイチゴの産地です。
母がいつも送ってくれます。
空き箱はクッキーの”大好物”です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
宇都宮宏明

西予市宇和町出身、1996年 南海放送入社後、主にテレビ番組制作部門。
「もぎたてテレビ」のディレクター・プロデューサーなど担当。
2018年~「ニュースCH4」デスク(自称”世界で一番優しいニュースデスク”)。

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