■新型コロナ・インフル同時流行に備えて
10月も後半に入って、朝晩も冷え込むようになり、秋もすっかり深まってきました。
季節は、これから本格的な冬場へと向かっていきますが、今年は、インフルエンザに加え、新型コロナウイルスとの同時流行が心配されています。
この“インフルエンザと新型コロナ”の同時流行に備えた国の方針を踏まえ、愛媛県は、かかりつけ医など身近な医療機関で新型コロナの検査を実施することができる「新しい検査体制」の準備を進めています。
■現在の検査体制
新型コロナの現在の検査体制では、発熱患者等は、まず「帰国者・接触者センター」に相談することになっています。
そこで、より詳しい検査が必要と判断されれば「地域外来・検査センター」で検体を採取し、「愛媛県衛生環境研究所」等でPCR検査が行われます。
そして、検査結果が陽性と確認されれば、指定医療機関に入院することになります。
■「新しい検査体制」
季節性インフルエンザの流行期に備えた「新しい検査体制」では、発熱患者等が多数発生することを想定した外来診療・検査体制の確保が目的となっています。
この検査体制の一番のポイントは、発熱患者等を受け止め、診療してくれる身近な医療機関の確保です。
愛媛県は、県内の医療機関にこの「新しい検査体制」への協力を呼びかけています。
10月7日に締め切った第1次募集では、対象となる1,162の医療機関のうち、480機関から回答がありました。
このうち、発熱患者等の外来診療から検査まで実施可能と回答したのが174機関。
外来診療のみ実施可能と回答したのが119機関でした。
つまり、計293機関が発熱患者等の外来診療について対応できることになり、県内に6つある医療圏ごとに一定数の医療機関を確保できる見込みです。
県は、協力する医療機関に対し、マスクやガウンなど感染防護資材を無料配布するほか、院内で発熱患者と一般患者の接触を避けるためのテント設備やパーテーションの設置にかかる費用などを国と連携して支援する方針です。
なお、第2次募集の締め切りは、10月21日となっていて、この「新しい検査体制」に協力する最終的な県内の医療機関の数は、10月末に発表される予定です。
一方、どの医療機関が「新しい検査体制」に協力しているのかを公表するかどうかについては、風評被害への懸念など様々な意見があり、現在、県医師会などと協議を続けています。
■「新しい検査体制」受診の流れ
この検査体制のネットワークが整備され、国による医療機関への抗原検査キットの供給が行われると「新しい検査体制」に移行される予定です。
移行時期について、県は、11月中旬以降になるとの見通しを示しています。
では、「新しい検査体制」がスタートすれば、受診の流れはどのように変化するのでしょう。
まず、発熱患者等は、「帰国者・接触者相談センター」から名称変更する「受診相談センター(コールセンター)」に電話します。
すると、コールセンターが状況に応じて、検査を受けられる医療機関を紹介します。
そして、発熱患者等は、院内での感染リスク等も考慮して、いきなり紹介された医療機関を受診するのではなく、医療機関に電話して、受診時間を予約します。
「新しい検査体制」に協力する医療機関では、“インフルエンザ”と“新型コロナウイルス”の検査が可能で、新型コロナについては、国が準備するキットによる無料の抗原検査が行われる予定です。
そして、この抗原検査で陽性が確認された場合は、指定医療機関に入院することになります。
この場合、国は、自宅療養も“良”としていますが、愛媛県では、病床に余裕があるため、これまで通り指定医療機関への入院か、宿泊療養施設の利用を基本としています。
一方、陽性が確認されていない場合でも、医師がより詳しいPCR検査が必要と判断すれば、愛媛県内の各医療圏域に1か所以上設置する予定の「地域外来検査センター」で、検体を採取して「県衛生環境研究所」でPCR検査を行うことになります。
インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行に備えて、行政は、検査体制等を充実させると共に、私たちもこれまで以上に感染予防対策を徹底する必要があります。
※次回記事更新は、10月29日(木)を予定しています。