第65回「新型コロナ・愛媛は19日から【縮小期】へ移行」

オピニオン室

■6月19日から次のステップへ

6月12日。
中村知事は、6月19日以降の愛媛県の新型コロナ対処方針について発表しました。
愛媛県は、新型コロナの警戒レベルについて【対策期】、【警戒期】、【縮小期】の3段階に設定しています。
全国的に感染が拡大し、愛媛県内でも多くの新規感染者を確認した4月からGW明けまでを【対策期】と位置付け、感染予防を最優先に取り組んできました。
その後、5月11日から社会経済活動を制限付きで行える【警戒期】へ移行。
6月1日からは、【警戒期】を維持しながらの【縮小期】への移行期間としていました。

そして、中村知事は、【縮小期】への移行にあたり、愛媛県が定める3つの指標(①2週間新たな感染事例の発生なし。②感染症指定医療機関等への入院患者数概ね10人未満。③愛媛県が緊急事態宣言の対象区域から除外。)を全て満たしたとして、6月19日から【縮小期】に移行すると発表しました。

この際、判断材料の一つとしていた牧病院のクラスターについては、6月12日までに関係者459人(陽性34人、陰性425人)に対する全ての検査を終了し、「封じ込めが完了した」と報告しました。

■【縮小期】で何が変わる?

【縮小期】では、“感染予防と社会経済活動のバランス”を図ることを目指しているため、愛媛県民に対し“外出自粛を要請しません”。
また、県内観光を振興し、県を越えた事業活動も本格化するほか、イベント活動の条件も緩和されます。
県は、これまでに検査や医療提供体制の充実・確保が進み、新型コロナに対する「基礎体力」が整ったほか、「えひめ版協力金」による3密回避の取り組みなどが広がっていて、市中感染が容易に拡大しない社会環境が実現しつつあると、現状を分析しています。
その上で、これからは、3密回避に留意しつつ、まずは、地域や県内への外出を日常化し、積極的な社会経済活動の発展に繋げていきたいとしています。

そこで、中村知事は、新型コロナの影響で、大きく冷え込んでしまった県内経済を活性化するため「大胆な消費喚起策を実施したい」と、目玉施策として「県内観光等促進事業」を発表しました。

この事業は、新型コロナの影響で、急激に落ち込んだ観光需要を回復させるためのもので、愛媛県民または県外観光客(四国および広島県)が県内旅行会社やオンライン旅行会社サイトで1人当たり6,000円以上の県内宿泊旅行を予約した場合、1人当たり5,000円が割り引かれます。(利用回数制限なし・ただし予算総額約8500万円)
予約受付は、県内旅行会社が6月16日~、オンライン旅行会社が7月1日~。
割引対象は、県内旅行会社が6月19日~8月31日、オンライン旅行会社が7月1日~8月31日宿泊分です。(県外観光客は7月1日~12月31日宿泊分)

■【道後温泉本館】19日再開

県の方針を受け、松山市は、愛媛最大の観光名所・道後温泉本館について、6月19日(金)に再開すると改めて発表しました。
これに伴い、入浴客への検温実施や、連絡先の確認、入浴客数の制限などの感染予防対策を取ります。
道後温泉本館は、新型コロナの感染拡大を受け、4月18日から臨時休館しているため、地元観光業は大きな打撃を受けていて、約2か月ぶりの再開に関係者の喜びもひとしおです。
こうした中、道後の老舗旅館やホテルでも営業再開に向けた動きがありました。

1885年(明治18年)創業で、前身の「かわきち別荘」時代を含めると、135年の歴史を誇る「山の手リゾート」では、6月1日に「入社式」を実施しました。

「山の手リゾート」が展開する「道後山の手ホテル」は、新型コロナの影響で、4月中旬から臨時休業していましたが、6月1日から営業を再開。
それに合わせて、2か月遅れの「入社式」となりましたが、5人の新入社員を無事に迎え入れることができました。

入社式では、帽子大輔社長が、「135年の歴史は決して平たんな道のりではなかった。1918年にはスペイン風邪が大流行し、その後も第二次世界大戦やバブル崩壊、リーマンショックなど様々な危機を我々は乗り越えてきた。会社もきょうから営業再開。大変な苦労もあったが多くのスタッフのおかげで営業再開ができた。これからも続くコロナとの戦いをみんなで乗り越えていこう。」と、涙ながらに新入社員にメッセージを送りました。

一方、創業390余年の歴史を誇る道後の老舗旅館「ふなや」。
新型コロナの影響で4月下旬から臨時休業していましたが、6月4日に営業を再開しました。

営業再開にあたりフロントスタッフはフェイスシールドを着用し、訪れた客には検温を行い、ルームキーは、スタッフが触れることなく渡します。

さらに、これまで料理を提供する際、スタッフが口頭で行っていた食材や調理法の説明についても紙にまとめるなど、独自の新型コロナ対策で、まずは、県内客の取り込みを目指します。

また、道後商店街では、新規出店の動きも加速しています。

このうち、プリン専門店の「道後ぷりん」は、6月5日にオープンしました。
当初、ゴールデンウィーク前のオープン予定でしたが、新型コロナの影響で延期となっていました。

店頭には、シロップ漬けの温州ミカンが丸ごと入った、「道後ぷりん」のほか、「とろけるぷりん」や「コーヒ牛乳ぷりん」などあわせて6種類のプリンが並びます。
こちらも、まず、ターゲットとするのは県内客です。
6月末までは、商品を購入した愛媛県内在住者限定のキャンペーンを行うということです。

■再始動するも警戒は継続

中村知事は、今後の県内外の感染状況などを踏まえて、次の段階に移行するタイミングや内容を判断したいと、【縮小期】の継続期間を設定しませんでした。
その上で、【縮小期】には、コロナへの警戒を続けるべきだとして、改めて3つの行動の徹底を呼び掛けています。

【縮小期】を迎え、少しずつではあるものの、確実に日常を取り戻しつつあります。
しかし、油断すると、また、【警戒期】や【対策期】に逆戻りすることもあります。
社会経済活動を本格的に再開させながら一人一人の意識を高め、第2波、第3波を阻止していく行動が求められます。

※次回記事更新は、6月25日(木)の予定です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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