■愛媛県内で【初の感染者】
3月2日(月)午前8時30分。愛媛県庁で中村知事の臨時記者会見が開かれました。
そこで、中村知事から愛媛県内で初の新型コロナウイルス感染者が確認されたと発表がありました。
県と伊予銀行によりますと、初の感染が確認されたのは、愛南町在住で、伊予銀行愛南支店に勤務する40代の女性です。
伊予銀行は朝から愛南支店を臨時休業にして、店舗の消毒を行い、応援スタッフを派遣して来店者への対応にあたりました。
女性は、2月15日、大阪を旅行し、複数の感染者を出している大阪市都島区のライブハウスで開催されたコンサートに参加。その際、新型コロナウイルスへの感染が確認された高知県の女性と数時間行動を共にしました。
その後、高知県の女性が感染していることを知り、2月29日(土)午後6時半に宇和島保健所の「帰国者・接触者相談センター」に相談しました。
これを受け、県は、3月1日(日)、女性にウイルスの迅速検査を行い、陽性ではないかという反応が出たため、即座に詳細な確認検査を実施。翌2日(月)午前6時に感染が確認されました。
この女性は、1日(日)午後7時頃には、すでに県内の感染症指定医療機関の陰圧病床に入院しましたが、熱やせきなどの症状はなく、無症状の病原体保有者と考えられるということです。
■女性の行動歴
2月15日 大阪府へ旅行(大阪市のライブハウスのコンサートに参加)
2月16日 愛媛に帰県(大阪→松山:高速バス、松山空港→自宅:1人で自家用車運転)
2月17日~20日 伊予銀行愛南支店で窓口業務など
2月21日~23日 関東方面へ旅行(松山空港発着便利用、松山空港⇔自宅:1人で自家用車運転)
2月24日 終日自宅で過ごす
2月25日~28日 伊予銀行愛南支店で窓口業務など
※高速バスや飛行機など公共交通機関での移動中と25日~28日の勤務中はマスク着用。
■感染拡大は?
女性は、家族2人と3人で同居していて、家族2人について、検査を行った結果、ともに陰性でした。
また、女性とともに仕事をしていた伊予銀行愛南支店の23人の行員についても検査を行い、全員が陰性で、感染は確認されませんでした。
ただ、伊予銀行の会見によりますと、女性行員は、愛南支店で接客などを担当していて、2月17日~20日、25日~28の計8日間にわたり、カウンター越しに30分以上面談するなど、濃厚接触した可能性がある来店客が数人いたということで、伊予銀行では、この来店客に対し、保健所などに相談するよう呼びかけました。
なお、伊予銀行愛南支店は、店舗の消毒作業を終えたことなどから、支店行員23人を自宅待機とし、本部から応援スタッフを派遣した上で、3月4日に営業を再開しています。
■感染確認【2人目】
さらに、3月4日には、県内2人目の感染者が確認されました。
県と松山市によりますと、感染が確認されたのは松山市在住の会社員の30代の女性です。
女性の症状と経過です。
2月25日 夜、発熱(37.0℃)。
26日 全身に倦怠感があり、市内医療機関Aを受診。
26日 夜、37.5℃に熱が上がり、市内の医療機関B(松山市急患医療センター)を受診。
28日 再び市内医療機関Aを受診。
3月2日 市内医療機関Cを受診し、医師が帰国者・接触者相談センターに相談。
帰国者・接触者外来(医療機関D)を受診、検体採取。
3月4日 午後、感染確認。
女性には、発熱や倦怠感などの症状があり、県内で初めての発症患者となりました。
■2人目の女性の行動歴
2月11日~14日 職場で勤務(通勤は自家用車)
2月15日~16日 休日(自宅で過ごす)
2月17日~21日 職場で勤務
2月22日~24日 休日(自宅で過ごす)
2月25日 職場で勤務
2月26日 職場で勤務、午後早退
※松山市は、女性の勤務先を明らかにせず
■感染拡大は?
松山市は、感染した女性との濃厚接触者25人に対して、ウイルス検査を行っています。
3月5日の午後3時現在で、女性の夫と女性を診察した医師、女性の同僚11人のあわせて13人について陰性を確認しました。
一方で、看護師と女性の同僚11人のあわせて12人については検査結果の判定を待っています。
■感染拡大を防ぐために
県内初の感染者確認を受け、県は、感染拡大防止のため、改めて、以下の対策を呼びかけています。
①感染予防対策
・せきやくしゃみの際に口や鼻をハンカチで覆うなどの〝せきエチケット″の徹底。
・十分な流水と石鹸を用いた手洗いの励行。
・バランスの良い食事と十分な休養。
②正しい情報に基づく行動
・直接医療機関を受診せず、まず「帰国者・接触者相談センター」や保健所に相談。
・必要以上に恐れることなく冷静に落ち着いた行動。
・トイレットペーパー不足など根拠のない情報に振り回されない。
③高齢者施設や医療機関への訪問・面会の自粛
・重症化しやすい高齢者の施設や基礎疾患患者の医療機関等への訪問や面会を可能な限り自粛する。
④集団による感染防止
・不特定多数の人が集まるイベントについては中止、延期、規模の縮小などの対応を。
⑤働く環境の整備
・テレワークや時差出勤などの積極的な活用促進。
・小中高校の臨時休校に伴う子育て世代への企業の配慮。
・発熱などの風邪症状で休暇を取得しやすい職場環境の整備。
■卒業式中止 日常生活に影響が…
町内で感染者が確認された愛南町は、当初、3月4日~の予定だった小中学校の臨時休校を3月3日~に前倒した上で、終業式と卒業式を中止しています。
さらに、愛南町に隣接する宇和島市も同様の対応を取りました。
また、安倍首相の突然の要請を受け、県立学校と県内の公立小中学校は、4日までに臨時休校となっていて、教育現場にとどまらず、日常生活の様々な分野に影響が拡大しています。
国の新型コロナウイルス感染症対策基本方針では、発表した2月25日時点で、「これから1~2週間が急速な拡大に進むか、終息できるかの瀬戸際」としています。
その瀬戸際とされる2週間後を間もなく迎える中で、国が要請したイベント自粛や学校休校などのあらゆる対策が最良の結果をもたらしてくれることを願います。
※次回の記事更新は、3月12日(木)の予定です。