第三勢力の潜在能力

オピニオン室

先日の名古屋戦が
今季ホームラストゲームだった
愛媛オレンジバイキングス
(以下バイクス)。

10月から始まった
B2リーグははやくも終盤を迎え、
地区優勝やB1昇格への
プレーオフ進出チームが決まるなど、
バスケシーズンとしては
これからが最も盛り上がる
ポストシーズンが始まる。

しかし、西地区最下位の8位に
沈んでいるバイクスは
その喧騒から取り残されたままだ。

「①コロナの影響で
外国籍選手の合流が遅れた。

②ヘッドコーチや中心選手などが
大きく入れ替わった初年度で
積み重ねがなかった。

③シーズン途中も
外国籍選手の離脱があった」

河原会長が上げる低迷の要因は、
ヘッドコーチのパワハラ問題と
無関係ではなかったはずだ。

「華のあるスポーツを
やらせてもらってるにもかかわらず
暗いニュースばかり届けてしまった…」

ホーム最終戦の
共同会見が終わったあとも
申しわけなかった、
悔しいと繰り返した高畠新主将。

陽気な人柄でブースターから愛され
「バスケで愛媛を笑顔にするんだ!」
と本気で臨んだ今シーズン、
彼の表情が晴れる日は
ほとんどなかった。

先日、Bリーグトップの
島田チェアマンが、
大胆なリーグ改革案を発表した。

2024年に昇降格制度を廃止し、
各クラブを再評価のうえ
新B1リーグ、新B2リーグ、
新B3リーグを設立。

特に新B1は現在のB1の上位に設立、
いわゆるプレミアリーグ構想に
するという。

しかも、新B1への加入条件は
昇降格制度ではなくクラブ資金力、
つまり成績ではなく経営面で
より強いチームをB1に加入させ、
2026年に最低でも
10クラブでスタートすると発表。

Bリーグ発足5年。

年間売上8億円から
昨年は約50億円、今年は65億円と
急速に成長し、
大成功を収めてきた。

“クラブの経営力を高めないと
地域を盛り上げられない。

地域を盛り上げるクラブが
多くならないとBリーグは
大きくなれない”

島田チェアマンの鼻息は荒い。

また、5Gを使った
新時代のスポーツ観戦方法を
積極的に導入するなど
今まで参考にしてきた
Jリーグから一人立ちし、
ますます独自路線を歩もうとしている。

留まるところを知らない
Bリーグのようにみえるが、
煌びやかなのはB1リーグのみで
B2以下の地方クラブは
経営面でもかなりの苦戦を
強いられているのが現状だ。

因みにこの日のバイクスの
観客数は211人。

ホーム最終戦としては
寂しすぎる数字だ。

このまま新リーグ時代に突入すると、
ますます地方クラブが
上位リーグに
チャレンジできなくなるのでは
という不安を、監督代行の
高橋アソシエイトコーチは
ハッキリと否定した。

「あくまでも個人的な見解ですが、
リーグが大きくなる事は
ビジネスとして必要です。

ただ四国のチームで
それが出来ないのは言い訳だと思う。

場所は関係ない。

(屈指の人気チーム)
沖縄だって最初は
小さいクラブだった。

工夫次第だと思います。

そう思ってやらないと
プレミアがあろうがなかろうが
潰れると思います。

未来はない。

まず地域に根差して。
必要とされるクラブに成れば、
必然的に次のヴィジョンが
見えてくるとおもう」

ずば抜けたスピード感と
エンターテイメント性。

どのスポーツにもない強烈な
オリジナリティを持つ
プロスポーツ第三勢力の潜在能力は
こんなものではないはずだ。

新リーグ構想まであと3年。

次にターンオーバーを仕掛けるのは
バイクスの番だ。

 

記者プロフィール
この記事を書いた人
江刺伯洋

江刺伯洋(えさし はくよう)1971年3月1日松山市生まれ。
入社以来アナウンサーとして主にスポーツやラジオを担当。特にサッカー実況は少年からJリーグまで全カテゴリーをこなしてきた。
著書に愛媛FCのJ昇格劇を描いた「オレンジ色の夜明け」、「群青の航海 FC今治、J昇格まで5年の軌跡」がある。【現担当番組】DAZNのJリーグ中継(FC今治、愛媛FC)、ラジオ生ワイド「江刺伯洋のモーニングディライト・フライデー」(毎金曜午前07:15~11:09)など。

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