ロッベンのイッペン読んでみ!
「桶川ストーカー殺人事件 遺言」清水潔著
著者の清水潔さんを事件記者として
有名にした1990年の殺人事件
警察より先に犯人を特定
杜撰な捜査をした埼玉県警が謝罪
これをきっかけにストーカー規制法が成立
などなど
これらをたった一人の週刊誌記者がやってのけた
事件ノンフィクションの金字塔ですね
著者の作品は「殺人犯はそこにいる」を
初めて読んだ時からリスペクトしております
本著はそれよりずいぶん前の処女作なので
文章がまだ青臭かったりしていますが
殺人犯を探し当て、警察の腐敗を暴いていく様は
執念の怪物、不屈の鬼です
「BlackBox」での警視庁
今回は埼玉県警上尾署
助けてくれるはずの最後の砦である“警察”が
こんなに酷いとは
読みながら気分がどんどん悪くなり
これが自分に起こるかもしれないと思うとゾッとします
小説や映画では正義の味方で活躍していますが
警察側の活躍を描いたドキュメントって読んだことが無いなあ
あるのかな
探してみよう
4ブック
ロッベンのイッペン読んでみ!
「Black Box」伊藤詩織著
著者の名前だけでわかる人がどれだけいるでしょうか
装丁で顔写真を使ってるので
ああ、あの性被害を受けた綺麗なジャーナリストで
たしか元TBS記者を訴えていたけど
どうなったんだっけ?
というのが大半の人の反応ではないでしょうか
失礼ながら私がそうでした
自らに起こった出来事を
自分の手で証明しようとする渾身の手記
真実を求める過程にはあらゆるところでBlackBoxがあり
その度に絶望するのですが
諦めず立ち上がる著者の叫びが聞こえてくるようです
ハラスメントが氾濫する今の時代、
大きなリスクを負って被害者本人が行動を起こした本書を
読んで少しでも勉強しておきたいと手に取りました
まあ知らないことだらけでした
刑事裁判では被告の罪を認められなくて
民事裁判では損害賠償を認められるのですが
そこに至るまでの
まさに命がけの戦いは想像を絶します
時代遅れの法律
あなたは強姦罪と準強姦罪の違いが判りますか?
既にその罪名も古いのですが・・・
中でも一番怖かったのは
容疑者逮捕の寸前でその逮捕状を握りつぶした
当時の刑事部長が今、警察庁長官になっているということです
もちろんどこまでが本当なのか
両方の意見を知ったうえで判断するのがいいのでしょうが
向こうのコメントはないというパターン・・・
たまたま彼女は美人でジャーナリストだったので
注目されてなんとか声を上げることが出来ましたが
間違いなく氷山の一角
身近で起こり得る
いや、自分に起こり得る悲劇
女性だけでなく
男性も被害に遭っていることも忘れないでいたいです
PS:終盤に調査報道の第一人者、本物のジャーナリスト
日本テレビ記者・清水潔さんも登場
この人の著書は間違いなく名著なので激しくおススメします
4ブック
ロッベンのイッペン読んでみ!
「僕の心臓は右にある」(大城文章著)
芸人さんの著書はなんでこんなにも面白いのでしょう
最近「水曜日のダウンタウン」とか
よくテレビに出ている著者、チャンス大城さんの
半生を綴ったコラム集です
タイトル通り著者は右側に心臓があります
心臓だけでなく全部の内臓が左右逆になっている“全内臓逆位”
だそうで
その体に似合った?とても奇天烈な人生を歩みます
今時こんな昭和貧乏おもしろエピソードがあるだろうか
というくらいおもしろエピソードが次々に出てきます
死ぬほどイジメられても、死ぬほどお金が無くても、死ぬほどスベっても
死なずに明るく受け止めるのが著者の凄さ
チャンス大城のトークやギャグで笑ったことはありませんがW
彼は自分の生き様で人を笑かせている
壮絶な人生です
千原ジュニアさんが帯に書いてるように
「即映画化」
実現してほしいです
本人出演で
絶対観に行きます
4ブック
えさシネマ倶楽部
「リコリス・ピザ」
70年代の恋愛“青春”コメディ映画です
主人公となるのは15歳のちょいポチャの男子
&おねーさん28歳?の二人
歳の差があるので素直になれずにツンツンしあってるけど
ホントは惹かれ合ってる
舞台がハリウッド近郊なので
途中、二人はカメラマンのアシスタントになったり
テレビの子役だったり、
ウォーターベッド屋さんになったり、
政治家の選挙スタッフになったり
お互いぶっ飛んだ一貫性のない職業を転々としていきます
ここに意味を求めると多分、ついていけなくなります
だってハリウッドだもん、だって70年代だもん
ってわかったフリをすることが大事
主人公の年上女性はアライ・ハイムという歌手
こちらでは無名ですよね
男の子はフィリップ・シーモア・ホフマン
(演技派俳優「カポーティ」でオスカー、Mission: Impossible III
での悪役が印象的、薬で亡くなった)の息子のクーパー・ホフマン
確かに似ています
あとショーン・ペンとかブラッドリー・クーパーら大物も出てるし
怪しげな映画プロデューサーとか昔の映画俳優とかも出てくる
アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞ノミネートされたように
アメリカではメチャクチャ高評価
けどアメリカの70年代を見せられてもよくわからんですよね????
向こうの人が見たらあーー懐かしーッってなるんでしょうが・・・
ただファッションとか音楽とかは70年代はやっぱりカッコいい
のと脚本のオリジナル感は凄い
どこかで誰かがやったマネじゃないストーリーには好感を持てました
かなり期待して観たのですが(´;ω;`)ウゥゥ
あ、タイトルの意味は「LPレコード」だそうです
3シネマ
えさシネマ倶楽部
「X」
楽しみにしてたので劇場で観ました
名門制作会社、A24制作のホラー映画です
A24が作る大ヒット、ホラーといえば「ヘレディタリー/継承」「ミッドサマー」
新しい感覚のネオホラーとして若者たちにも大ヒット
「ヘレディタリー」はカメラマンの松本さん
「ミッドサマー」は甲斐さんがメチャクチャ怖い!と言ってました
確かにどちらとも怖かった
悪霊とか怪物とかが出てくる怖さではなく
危ない世界に入ってしまった人間の怖さ
目をそむけたくなる背筋が凍る怖さがクセになる
今回はひと昔前のアメリカの田舎町に住む老夫婦の家に
3組の若者カップルたちがポルノ映画を撮るためにやってきます
実はその老夫婦がヤバい奴だった
特に老婆が激ヤバなのですが
ただヤバいだけでなく
老化と性欲、老いと性がテーマになっている
ファッションとか音楽が70年代でオシャレ
この辺が普通のホラーとは違うA24らしさです
でも、前述の2作品に比べるとイマイチパンチが弱いかな~
あと“最後に続編の告知ありますよ”って書いてるのに
エンドロールになったら帰っている人がいたので気を付けて!
続編はこの物語の前日譚でタイトルは「Pearl」
エピソード0ですね
しかもこの作品は3部シリーズだそうで
全部見て判断したいと思います
3.5シネマ
えさシネマ倶楽部
「ベイビー・ブローカー」
ソン・ガンホがカンヌで主演男優賞受賞しましたね
アカデミー作品賞の「パラサイト」にも出演
そういえば韓国映画を世界に知らしめた
あの「シュリ」にも出てたんですね~
覚えていない💦
あれから23年ですっかり世界のソン・ガンホです
赤ちゃんを捨てようとする女とその赤ちゃんを売ろうとする男(ソン・ガンホ)が
旅をしていく中で家族のようになっていく物語
赤ちゃんを売買するからもっと悪い、いけ好かない役かと思いきや
ハートフルロードムービーでした
良作ですがもっとドロドロしていても良かったかな
韓国映画勢いありますね~
ただ昔と大きく違うのは
最近は南北問題が(あまり)出てこないってこと
「シュリ」はガッツリ38度線絡みでしたから
もちろんその問題はまだありますが
韓国エンタメ界はそれだけに頼らなくてよくなったってことでしょう
是枝さんが監督っていうのも関係してますね
あと是枝色が色濃く出てるポイントがもうひとつ
赤ちゃんを売る集団を追いかける警察側が2人の“女性”というとこ(児童福祉課?)
これまでだと犯人を追い詰めるのは男の刑事2人組が定番でしたが
女性2人にしたのが新しい❕
だからこそのいい効果も出ています
でも・・・
それでも是枝さんに強く願うのは・・・
やっぱり日本の作品を作ってほしい❕
次回こそ
因みに
赤ちゃんポストは世界中にあります
日本と韓国では2か所ずつ
熊本と北海道にあるそうです
熊本では昨年2人
これは過去最少だそうです
4シネマ
ロッベンのイッペン読んでみ!
「人間」 又吉直樹著
芸人としても大好きですし
彼が書く本(小説)も大好きです
正確には「火花」以降
芸人としても
小説家としても
ガッツリやっているところが凄すぎます
これまでの小説
「火花」「劇場」「人間」
一貫して
うだつの上がらないダメダメな芸人や舞台俳優を
主人公にしています
ほぼご自身に近いことを書いてらっしゃるのでしょうが
まだまだ言いたいことがあるみたいで
50歳近くになっても
機関銃のように早口でラップするEminemのよう
「みんな芸人が小説を書いたことに
驚きすぎてるよな。
作家然とした人たちも
生まれた時から作家やったわけじゃなくて
途中でそうなったわけやから
異業種に過剰に反応する人は傲慢やな。
芸人やと驚かれるのは
いい意味で芸人が舐められているからやろな」
ほらラップでしょ
強烈なパンチラインです
このような台詞が時には数ページ渡っています
3作品とも
主人公は彼女を不幸にして
人生も大失敗するのですが
本作が最も長編です
俺が言いたいのはまだまだこんなもんやないぞ!という
著者のルサンチマンの雄叫びが聞こえます
ほらラップでしょ
おそらく次作も
同じような内容でしょうが
必ず手にすると思います
4ブック
えさシネマ倶楽部
「流浪の月」
元が小説とはいえこのタイトルで損している
「孤狼の血」とカブってるのがもったいない
広瀬すず、松坂桃李、横浜流星
3大スターのスターらしからぬ
本気以上の演技対決です
幼女誘拐した青年とその少女の恋物語
ハイハイ、誘拐されたけどイイ人だったので好きになっちゃう
ストックホルム症候群のやつね~
と終盤までは何となく観ていたのです
でもすずちゃんの演技が上手過ぎてずっと観てられるな~
すずちゃん側の動機は描けてるけど
誘拐した側、松坂君側の動機が薄いな~
そこもっと深く描かないと~
なんてプロデューサー気取りで観ていたら
最後にえらい衝撃が待っていました❕
これか❕噂のシーンは❕
ラストに全ての伏線回収が待っていました
松坂君が激ヤセしていたのはこの為だったのか❕
と目をひん剥きました👀
見た目だけではわからない
ロリコン=悪という単純な先入観を覆す
ニュースやネットだけの意見を丸呑みすることが
どれだけ危険かを改めて教えてくれます
「悪人」「怒り」に続く李相日作品第3弾
「トップガン」の眩しさに隠れてしまってますが
まさに月のような名作です
4シネマ
えさシネマ倶楽部
「身近き、短き、家族かな」
本日より公開。
先ほどラジオ朝ワイドに生出演いただいたのが
主演の枡形・トムクルーズ・浩人さん。
監督は岩城一平さんです。
私も一度、ラジオドラマ「紫電改 君がくれた紫のマフラー」で
脚本を監修していただいたことがあります。
とても物静かな印象の方ですが
今回は初の映画なので
わざとベテランカメラマンに頼んで
メチャクチャ怒ってもらったそうです。
物つくりはドS…いやストイックでないと出来ないのですね。
「うちの家族では普通だと思っていることが
ちょっと角度を変えると
実は喜劇だったり、悲劇だったりすることが一杯ある。
それを劇場でのぞき見してもらいたい!」と
意気込みを語ってました。
シネマサンシャイン重信です❕
ロッベンのイッペン読んでみ!
「オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年」喜瀬雅則著
筆者は「不登校からメジャーへ」とか
「ホークス3軍はなぜ成功したのか」とか
「アンダースロー論」など
ニッチなテーマの著著が多いサンケイスポーツの元番記者さんです。
1996年イチローと仰木さんで日本一になってから25年
オリックスブレーブスに
オリックスブルーウェーブに
近鉄バファローズに
そしてオリックスバファローズに何が起こったのか
番記者から見た裏側を細かく書いてくれてるので
メチャクチャ面白かったです!
ファンじゃなくても面白いと思います。
がんばろうKOBEから
近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブがどうやって合併したのか
その時、仰木監督は?梨田監督は?
宗、吉田、山本、紅林、ラオウ、T-岡田をどうやって
発掘し育てたのか
そのすべてが書かれています。
ああ、面白い!
面白いけど・・・
なんで今年は弱いの???
それもまたオリックスらしくて好きです
ハタダの社長に貸してあげよっと
4.5ブック