2022.02.16

ロッベンのイッペン読んでみ!

Author: ロッベン江刺

「天才」石原慎太郎著

追悼記念というわけではないのですが

愛媛とのかかわりも深い著者

田中角栄が裁ちばさみでチョビ髭を切るドアップ写真の

装丁がキョーレツですよね

「今太閤」「人間ブルドーザー」「庶民宰相」

日中国交正常化、日本列島改造論、新幹線、地方空港

博労のせがれ、小学校主席卒、愛人、妾・・・

怪物エピソードは枚挙にいとまがありません

角栄が一人称で生涯を振り返る200Pほどの

ボリュームなのでさらっと読めます

世に角栄本は五万とありますが

本著が特殊なのは

著者が角栄の金権政治を批判する急先鋒であったのに

「天才」として描いていることです

大っ嫌いだったのが

大嫌い→大嫌い→大嫌い→大好き💛

となるのはモー娘。だけじゃないようです

どこかで似ていると感じていたのでしょう

ロッキード事件も

角栄自身は最後まで騙されたと言い張ってました

で、よくよく調べてみると

アメリカに頼らない資源ルートを展開したことで

アメリカが激怒し

ロッキードで嵌めた

ってのが真相だと書いてます・・・そうなんですか?

私もイメージが変わりました

テニス場で二人が出会ったときのエピソードが秀逸で

「石原君、テニスは体にいいんだよな

お互い政治家だ。気にするなっ。まあ一杯飲もう!」と

角栄が誘ったそうです

まさに今太閤

政治家とは法律をいくつ作ったかで力量が決まりますが

角栄は40以上もあったそうで

巻末に列記されてる角栄が提案者となった議員立法を見てみると

「松山国際観光温泉文化都市建設法」というのもありました

恐るべし田中角栄

4ブック

2022.02.09

ロッベンのイッペン読んでみ!

Author: ロッベン江刺

「ノモンハンの夏」半藤一利著

司馬遼太郎が最後に取り組もうとして急逝してしまった

歴史的大事件、ノモンハン事件

事件というよりはもはや戦争です

歴史が証明しているように

日清・日露の勝利に浮足立ったまま

狂ってしまった日本は

満州国での国境紛争からロシアと泥沼の戦いに突入

筆者は

大本営(日本)と新京(満州)、そしてヒットラー(ドイツ)とスターリン(ソ連)

の心境まで描きながら

徹頭徹尾、終始一貫して日本軍を批判しています

「三宅坂上の秀才たちの無責任さにノモンハン事件の悲惨の

許すべからず最大原因がある」

「天皇は確かに叱ったのである。それも陸軍を叱りつけたのである」

その鋭い筆先は日本軍だけではなく

ヒットラーに対しても向けられます

「強力な独裁者のもとでは良識や常識は不必要であり

必要なのはいつでも保身のための判断停止という手続きだけなのである」

痛快です

しかし

450ページに渡り日本陸軍を批判をし続けた著者の

最後の最後の一文に不気味さが残ります

「そして人は何も過去から学ばないことを思い知らされる」

あの時はドイツがポーランドに侵攻しましたが

あれから83年

今、ロシアがウクライナに侵攻しようとしています

4ブック

2022.01.25

えさシネマ倶楽部

Author: ロッベン江刺

「ハウス・オブ・グッチ」

ご存じ世界屈指のトップブランドに上り詰めたGUCCI家の光と陰

ハイブランドに興味はありませんが

その一族の黒歴史となると話は違います

しかも監督が「ブラック・レイン」のリドリー・スコット!

まずキャスティングが完璧です

創業家の御曹司に近づいて自分のものにするヤンキー上がりの悪妻

パトリツィア・レッジャーニ役にLADY GAGA

背筋を伸ばして自転車に乗るアダム・ドライバーには

御曹司ならではの品の良さが漂い

どこの親戚にも一人はいる(ここまでではないが)

声のデカい怪しげな叔父さんにアル・パチーノ

特筆すべきはその叔父さんのダメ息子役、ジャレッド・レト!

評判通り強烈なキャラクターを発揮してました

彼の役で強烈に覚えてるのは「リトル・シングス」での異常殺人者

今回はツルッパゲのおデブ愚息

特殊メイクがハマりすぎて

アル・パチーノも「危ないファンだと思った」と気づかなかったそうです

この人も“デ・ニーロ・アプローチ”タイプの拘り俳優です

監督が使いたくなるのがよくわかります

これからどんどん出てくるので注目です

ストーリーは

上流階級の一族に場違いな女が来て

最初はチヤホヤされて調子よかったが

離婚されたのを逆恨みして夫を殺してしまう

地に落ちそうになったGucciブランドを

トム・フォードが救う

と事前情報通りで意外性はないけれど

名監督が名俳優から名演技を引き出しています

なので

名作かというと・・・

一つだけどうしても気になる事があるんです

やっぱりイタリア語でやらんかいッ!と

本作に限らずハリウッド作品には余多あります

イタリア人の話なんやからイタリア語やろ

申し訳程度にイタリア訛りの英語ってなんや!

微妙にニュアンスが変わってくるはずなんです

この違和感は私だけでしょうか

忠臣蔵や戦国時代の作品を顔が似てるからって

中国語や韓国語でやられても困るでしょ

この作品を見たイタリア人はどう思ってるのでしょう

3.5シネマ

2022.01.21

ロッベンのイッペン読んでみ!

Author: ロッベン江刺

「世にも奇妙な君物語」(朝井リョウ著)

今治市立図書館で講演会をやらせていただいて以来

著者のファンになってます

昨年10月にご本人が来館されてイベントしたんですってね

凄ーーい  行きたかった…

館長が誇らしげに教えてくれましたw

著者がタモさんの“世にも奇妙な~”シリーズが大好きだそうで

本著もテレビと同じく5篇から成り立っております

こういったバラエティ系も書かれるのですね

いろんなタイプの作品をかけるのが

天才たるゆえん

朝井リョウ作品はオジサンにとって

若い世代の情報を知り得ることもでき一石二鳥なのですが

私的には「どうしても生きてる」系のほうが好きです

それこそテレビのパターンなので

新鮮味はなく

今回はアンダーラインを引くほど印象的な文章には出会いませんでした

この後、本屋さんに行けるので

もうちょっと探してみようっと

3シネマ

2022.01.20

えさシネマ倶楽部

Author: ロッベン江刺

「クライ・マッチョ」「ドライブ・マイ・カー」

クリント・イーストウッドは間違いなくハリウッドの伝説です。

私も大好きです。

91歳でやり続けることも崇高なことですが

流石に寄る年波には「ダーティー・ハリー」のキャラハン刑事も勝てません。

ポスターとか静止画のイーストウッドは十分に見られる。カッコいいです。

ですが、動くとやはり91歳。

内容がお馴染みのタフガイな役どころで

喧嘩シーンもあったり、未亡人と恋に落ちるラブシーンもあるのですが

どうしても痛々しさが勝ってしまう。

好きなので倒れるまでやり続けてほしいのですが

そんなイーストウッドの姿を見るのはツライ・マッチョです。

やるならタフガイとか恋愛シーンなどのない

リアルな頑固ジジイの切なさや渋さを見せてほしい。

まだ若者には負けてないぜ、若いんだぜ感が強すぎて逆効果になっている( ノД`)シクシク…

大御所過ぎて誰も言えないのでしょうね…

失礼ですが

理想は「よーいッ」って言った後

なかなかカットかからないなあ、監督?ってみんなが近づいたら亡くなっていた。

みたいな最期であってほしいです。

本人もそれが本望なのでしょうね。

「ドライブマイカー」は・・・

私が芸術への理解力がないのでしょう。

まったくわかりませんでした。

身近な春樹ストに

ここが面白いんだ!ってところを

一つ一つ丁寧にお伺いしたいと思います。

共に3シネマ

2022.01.12

ロッベンのイッペン読んでみ!

Author: ロッベン江刺

「どうしても生きてる」朝井リョウ著

「桐島、部活やめるってよ」など

映画は観てましたが

初めてだったんですよ朝井作品をチャンと読んだの

予想通り・・・ハマりました

6つの短篇集全部面白かったです!

オードリーの若様が推す理由がよくわかりました

ラジオ好きな人

Creepy Nutsが好きな人

絶対、ハマります

キラキラしてる1軍達を斜め下から睨みつけて

ルサンチマンの塊を誰にも聞こえないように大声叫んでいる

ヒリヒリとした人間の本性を曝け出してくれるのが

逆に安心できる朝井作品の世界観

上手くいくことなんてほとんどないけれど

それでもいいんだと思わせてくれる強烈な包容力に泣きそうになります

表現が好きすぎて文章に線を引いたのは久しぶりです

“いつもは横に並んで歩くのに

あの日は照れくささが邪魔をして

お互いの表情を見ることが出来ずに縦に並んで歩いた”

“性経験がないお前はリアルな人間関係なんて築けないと指摘されたのち、

生涯のパートナーになるつもりもない相手と安易に体の関係を結ぶなんて

それこそリアルでは無くフェイクだ”

“私が考えなければならないのは半径5m以内に山ほどあるのだ”

全ての文章が高レベルな

ラップバトルを聞いているように

グイグイ読み進む事が出来ます

直ちに、ほかの朝井作品を読もうと思っとります!

4ブック

2022.01.05

ロッベンのイッペン読んでみ!

Author: ロッベン江刺

「ミチクサ先生 上・下巻」(伊集院静著)

文豪界の巨人が文豪界の巨人を書くとこうなります

夏目漱石の生涯を描いています

漱石さんを今まである程度知ってたつもりでしたが

ここまで巨人だったとは存じ上げませんでした

当然、盟友の正岡子規さんもがっつり出てきます

子規さんについては2つ前?の長編小説「ノボさん」でもガッツリ描いています

そこでも漱石さんがガッツリ出てきます

でも

漱石さん目線でじっくり書きたかったんでしょうね

違う目線で同じ状況を描いているので

両方読むと

小説版「羅生門」みたいな楽しみ方もできます

著者については

今更、私が説明するまでもありませんが

“子規” “漱石” “忠臣蔵”

どデカい題材にど正面からぶつかって

しっかり伊集院カラーに咀嚼されて

しかもわかりやすく書いてる(←これ大事!)のが凄い

以前、松山に講演に来られた時

単独インタビューを受けていただき楽屋にお邪魔したら

ラジオで競輪中継聞きながら

「ちょっと待ってね、今大きなレースがあるから」

と言った時の横顔がメチャクチャ渋くてカッコよかった~

ANA機内誌「翼の王国」のコラムも大好きです💛

4ブック

2021.12.30

えさシネマアワード2021の発表です!

Author: ロッベン江刺

恒例になりました

ベスト&金返せの発表です

まずはベストから・・・

第3位「空白」 
県人の片岡礼子出演ってことだけでなくキャスティングは完璧でした。
吉田恵輔監督は来年も注目です。
衣装が綺麗過ぎたことだけが減点

第2位「燃えよ剣」
何といっても山田涼介君(沖田総司役)です。
まあ一度ご覧下さい。男もシビれます。

第1位「少年の君」
今年はハリウッド作品入らず。
こちらも香港制作です。
中国のリアルを映し出してるし
女子高生を守る不良男子の儚さと切なさが溢れています。
ラストのどんでん返しも秀逸。

さて・・・金返せは

第3位「キャラクター」
第2位「レミニセンス」
第1位「アンチライフ」

理由は明日の朝ワイドでいいます

ついでに「イッペン読んでみ!大賞2021」です

第3位「雪ぐ人 “冤罪弁護士”今村核の挑戦」(佐々木健一著)
   ドラマ「99.9」のホントの世界です

第2位「いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯」(伊集院静著)
   巨匠初の時代小説はやっぱり天才でした

第1位「全裸監督 村西とおる伝」(本橋信宏著)
   ネトフリより面白い・・・たぶん

以上!

*全て個人の感想です

2021.12.21

えさシネマ倶楽部

Author: ロッベン江刺

「マトリックス レザレクションズ」

レザ…レクション?

意味わからんくても大丈夫

(気になる方はググってください

なるほど~です)

観る前に気を付けてほしいことが一つだけあります

過去3作品を見直してから劇場へ行ってください

絶対、そうしてください❕

当時、あの弾丸を避ける“ネオ・バウアー”を

真似したキアヌ・リーブス信者の皆さん

マトリックスは聖域を守りました

「ランボー」や「ターミネーター」「ダイハード」のように

晩節を汚すことはありませんでした

*以降ネタバレ注意

パート3でネオもトリニティも死んでしまいましたが

二人とも復活(レザレクションズ)します

えー、そんなんアリやったら

何でも出来るやんってなりがちですが

不思議と違和感なく没入できます

そこがウォシャウスキー監督の凄さです

前3作で映画界に革命を起こしたウォシャウスキー兄弟監督(当時)

(ラリー&アンディは性別適合手術を受け

今はラナ&リリーのウォシャウスキー姉妹になってます)

今回、妹・リリーは続投せず、姉のラナ・のみ残留

…ややこしや

お姉さん、ラナのほうが

母や身近な人が亡くなったことをきっかけに

この4作目の構想を思いついたのですが

妹・リリーのほうは反対して袂を分かれたそうです

兄弟、いや姉妹喧嘩ですね

ここで凡作にしないのが天才たるゆえん

ネオもトリニティも良い感じに年を重ねていて

実年齢の渋さと老いの美しさが二人から出ていて愛おしかったです

間違いなく天才なのですが

「マトリックス」以外で大ヒットはない

「バウンド」とか良い作品あるんですけどね~

また二人で作ってほしい

となると・・・

パート5で姉妹レザレクションズがあるのかも?と思うのがファン心理

その時は

キアヌもキャリー=アン・モスも

70歳くらいでやってほしい

で、余生を楽しみながらってことで

タイトルは…recreation!

「マトリックス レクレーション」でいかがでしょう

ウォシャウスキー姉さん?

「ダメ~!」←トム・ブラウン風に

4シネマ

2021.12.16

えさシネマ倶楽部

Author: ロッベン江刺

「皮膚を売った男」

シリア難民の背中にタトゥーを入れて

生身の人間が美術館に展示されるという話です

シリアの話なので内戦とかも絡んできます

これが芸術なのかという論争も入ってきます

脚本・監督は、チュニジア出身のカウテール・ベン・ハニアという

気鋭の女性監督で攻めまった内容です

凄くリアルに描かれてるので実話かと思ったくらい

ではなく

人間に本当にタトゥーを入れた作品を作った芸術家がいて

その作品を見た監督が衝撃を受けてわずか5日間で脚本を書き上げたそうです

あと出てくる美術館の凄腕女エージェント

どっかで見たことあるな~と思ったら

「マトリックス」とかに出てたイタリアの宝石、モニカ・ベルッチでした!

調べると57歳…まだいけますw

これで終わらなかったのがオスカーノミネートの理由でしょう

オチが良かった!

この手の作品だとドロドロと暗い感じで絶望的に終わってしまいがちですが

全然違います。スカッとする終わり方です

まるでポール・ニューマンと‎ロバート・レッドフォード‎出演の‎名作「スティング」

を観た時のような爽快感を胸に劇場を後にすることが出来ます

4シネマ