Archive for the '高校サッカー' Category
ロッベンのイッペン読んでみ!
「王者の魂 ~頂点を知る男達。その葛藤と自任~」監修・矢崎良一
名門高校野球チームをスポーツライターが
取材したノンフィクションの短編集は数多ありますが
表紙が松山商業だったので惹き込まれました
重澤監督が怪我をした選手を手当てしている写真です
見た瞬間、あの練習グラウンドの土の匂いが
脳裏に思い起こされます
完全な贔屓目ですが
松商と中学クラブチームの章は面白かったです
半世紀ぶりに優勝したサッカー部のみんなも読んで欲しいなあ
ロッベン的高校サッカーFINAL ~ワンダーボーイ、松商イレブン!~
決勝:松山商業2-1今治東
「魔物がいましたね~」
試合後、放送ゲストの小倉隆史さんが呟いた
決勝の魔物にとり付かれたのは今治東
得意のサイドから崩せても中でシュートが打てない
選手権の大舞台で明らかに出足が鈍かった
「あの中でもっと余裕を持ってプレーが出来ないと…」
「まあ、初めてのことやから今回は…」
悔しさを隠し切れない谷監督
一方、ガッチリと守りながら
ドリブル突破など
自分達らしさを存分に発揮した松商イレブン
「守備を少し修正させました」という大竹監督の狙い通り
後半は10番西村が決めたスーパーゴール
(実況で名前を間違えて申し訳ない!猛反省)を
最後までしっかり守りきって大偉業を達成
最短距離でゴールを狙うブレないサッカーで
半世紀の壁を軽々と越えました
愛媛史上初、新人監督が制した下克上大会
「まだまだ僕らがいけるようなレベルじゃないんですが…」
運をつかむのも実力
ルーキー監督が率いるワンダーボーイ、松商イレブン
この勢いのままラスト国立で大暴れしてくれ!
ロッベン的高校サッカーセミファイナル雑感 ~敗者の目線から~
第1試合:今治東3-2済美
生放送の関係で試合終了直後に到着
会場は熱戦の余韻が未だ治まらず湯気となり立ち上っていた
立ち見が出るほどに埋め尽くされた観客席は
容赦なく勝者と敗者を残酷に映し出していた
辛勝の今治東側は誰もが胸をなでおろし互いの健闘を称え
勝利が零れ落ちた済美側は未練を断ち切ることが出来ない
ふとグラウンドに目をやると
タッチラインの手前でオレンジのユニホーム8番を着た選手が
一人静かにピッチ中央へ歩み深々と頭を下げた
3年生最後の試合で出場は叶わなかった山本が
人知れず大会に別れを告げていた
「負けは負けです…でも、ウチの攻撃力は見せられたかなと」
ゆっくりと言葉を繋いだ済美・宮本監督
負けはしたが愛媛屈指のタレント力で
今治東を徳俵まで追い詰めた
「私が言うのもおこがましいですが愛媛のサッカーを変えたい」
「ウチにしか出来ない攻撃的なサッカーをこれからも目指して行きたいです」
守備に問題があろうが
どこにでもある没個性なチーム作りよりは
よっぽど気持ちがいい
準決勝第2試合:松山商業5-3新田
「(去年決勝で敗れた時の)忘れ物を取りに来たつもりだったんですが…」
キックオフから試合終了まで座ることのなかった小野監督
それでも前半は小気味のいいパスサッカーで見せ場を作った
18番近藤、20番井上、14番野本など
楽しみなスーパールーキーも発見
「新しい歴史のスタートが出来たんじゃないかと思っています」
3年生の想いをしっかりと受け止め継承するのが
後輩達の最初のミッションだ
さて
これで下克上大会も残すは一試合
史上初の今治東か
半世紀ぶりの松山商業か
いずれにしても歴史的なFINALになることは間違いない
ロッベン的ジュニアユース雑感 ~今治勢台頭に思うこと~
決勝:FC今治ジュニアユース 3-0 今治市立立花中学
大会史上初となった“しまなみダービー”は
今治の旗頭、FC今治が立花に貫録勝ち
10番浅海、14番松岡、8番宇都宮
FC今治が誇る魔のトライアングルは
四国大会でも相手を恐怖に陥れるだろう
立花もこの悔しさを忘れなければ
昨年のゼブラのように四国で逆転できるはずだ
両チームにはこのままバリっ子魂を大いに貫いて欲しい
以下は今大会決勝戦を振り返った個人的な余談として…
静かに見守る応援も“品”があっていいのだが
これを機に、次からは
今治らしい応援スタイルを確立してはどうだろうか
今年は中学年代だけでなく
小学年代、高校、トップチームも主要な大会で上位に進出
今や今治は愛媛の新しい“サッカーどころ”として勢力図を
完全に塗り替えようとしている
ヨーロッパの例を挙げるまでもなく
スタジアム(会場)の雰囲気が選手を育てることがある
特にこの年代は大人たちのフォローが欠かせないのは
周知の通りだ
今治サッカーは愛媛だけにとどまらず
日本を、世界を目指して欲しい
かつての南宇和のように
いやそれ以上の可能性を秘めた地域と言ってもいいだろう
憎たらしいくらいに強い地域(チーム)があって
そこを倒す為に他の地域が必死で挑みかかるのは
サッカーでは健全なスタイルだ
各世代の台頭を一過性に終わらせない為に
この流れを一つにして
松山にも出来ない
今治ならではのサッカー文化を確立する大きなスタートにする
その一つとして
選手達の晴れの舞台を演出するのは我々大人たちの役目
(もちろん放送体制のバックアップも含めて)
“今治のサッカー元年”はすぐそこまで来ている
12番目の選手が大きな力を持っているのも
サッカーの魅力の一つだ
高校サッカー準々決勝 ~ロッベン的雑感~
今治東 3-2(*延長) 大洲
試合終了の笛と共に両チームは
勝者と敗者に分かれてしまったが
いつまでも見ていたい
この試合を実況したい!と思わせてくれる
まさに優勝候補同士の対決にふさわしいファイトだった
シーソーゲームの勝敗を決めたのは
“自分たちの信じるもの”
それが大洲になかった訳ではないが
今治東はそれがベンチだけでなく
フィールドにいる全員に徹底されていた
今治東にとって“信じるもの”とは
“徹底したサイド攻撃”
8番キャプテン高橋
10番フェノメナ・越智はもちろん
今日は2年生が目を引いた
自慢のサイド攻撃は7番渡邊の
機関銃のようなパスから始まり
特にサイドバックの長岡は
W杯の中西ばりに(ちょっと古いか笑)サイドラインを突破した
それでも大洲の10番智葉はジーニアスだった
大げさではなく
先制点のフリーキックは
代表クラスのスーパー“ライズ”ゴールだった(ロベカルのやつね)し
守りでは4番の“下岡タワー”が制空権を完全制覇
ゴールこそなかったが先制のきっかけとなる
ファールをもらったのは7番内山のドリブルからだった
勝者と敗者を分けたのは僅かな差
自分達の信じる“スタイル”を最後まで徹底したのが
今治東だった
これで“守りの帝京第五”と“攻めの大洲”を破った今治東
「(シード校ばかりなので)タイトな試合になるとは思っとったけど
ホントしんどいゲームやった~」と大きく息をついた谷監督
シード校が全て姿を消す下克上大会
生き残ったのは済美、今治東、新田、松山商業の4つとなった
異常事態発生!ベスト8出揃う ~ロッベン的高校サッカー雑感~
生放送の関係で午後から移動
最短距離の北条グラウンドへ行く途中
スタッフから衝撃の報告が
「(第2シード)松山工業が負けたぞ!」
20秒絶句
会場に着くと
喧騒の中、顔色を失った松山工業・坂本監督と兵頭コーチ
「(試合への)入り方がぬるかったです…」
「決めるところで決め切れなかった…」
共に搾り出すような悔恨のコメント
この敗戦は尾を引きそうだ
一方
2-1の逆転で見事なジャイヤント・キリングを成功させた松山商業
率いるのは8年前、宇和東時代の決勝で同点弾を決めた大竹監督
「総体で今西に先制されてから一気に崩れたんで
そこを徹底して鍛えてきました」と
選手の成長に目を細めた
しかし
波乱はそれだけではなかった
第1シード・今治西、第3シード・松山北、第4シード・帝京第五も敗れたとの続報
気持ちと体がついていかない中、今日の第2試合が始まる
シード校の相次ぐ敗戦を聞いた大洲は
4番下岡を中心にディフェンスから入る慎重な立ち上がり
7番内山、10番智葉らが徐々に主導権を掴むと
サイドバック5番の赤松は左サイドを完全制覇
今治工業を5-0で退け、唯一残ったシード校の面子を保った
“たられば”はご法度だが
もしもこの試合が午前(第1試合)に行われていたら
大洲も波乱の波に飲み込まれていた可能性は否定できない
トーナメントの怖さ
初戦の難しさを目の当たりにした一日だった
となりの吉田対新田はほぼ互角の展開
吉田の大型ボランチ10番稲葉にスケールの大きさを感じたが
昨年準優勝の意地を見せた新田が
セットプレーからの1点を守りきった
益々、混沌としてきた今大会だが
一つだけはっきりしていることがある
強いチームが勝つのではなく
勝ったチームが強い!
高校サッカーパンフが今、出来ました!(決勝戦ゲストはレフティ・モンスター小倉隆史さん)
(パンフレット用 寄稿文)
右サイドで相手のクリアボールを拾った大藤は
迷うことなく、ゴール前へクロスを放り込んだ。
会場が“そこ”じゃなければ簡単に弾かれる様な
平凡なボールだった。
しかし、まるで見えない力が武南ディフェンスのミスを誘ったかのように、
ボールはエースの前にこぼれてきた…
「西田シュート!ゴールか?ゴールイン、11番西田!同点に追いついた南宇和!!」
後半開始、わずか25秒の出来事だった―。
パンフレットの表紙、上から3段目左から2つ目にデザインされている写真は
その瞬間を切り取ったものだ。あの日から四半世紀、ついに“聖地”が生まれ変わる。
“国立最蹴章 愛媛編”の代表チケット争奪戦は今年も候補者が乱立している。
進路実現に向け主力が抜けた第1シード・今治西や第3シード・松山北。
そのシード勢で優勝候補筆頭は、第2シード・松山工業。常勝を義務付けられたエリート軍団は
昨年の選手権全国メンバーが骨格を成す。
特にMF栗林倫也(3年)を中心に攻守の切り替えの速さは全国レベル。
またGK岡田慎司(主将3年)の安定感は四国NO.1だ。
「うちは泥臭くやっていきます!」熱血漢・坂本哲也監督に気の緩みは寸分もない。
「選手権を前にチームが仕上がってきた」(県サッカー関係者談)とシード校を抑えて評判が高いのは今治東。
国体メンバー選出の若手と上級生が上手く融合しEリーグでは暫定首位
(6勝4分1敗 勝点22 *9/13現在、以下同)。
就任2年ではやくも“強者のメンタリティー”を浸透させたのが名将・谷謙吾監督。
ここはパワーとスピードを兼ね備えた本格派FW越智亮太(3年)が面白い。
得点王争いに絡んでくれば今治勢初のビッグタイトルも夢ではない。
その今治東とEリーグ優勝争いをしているのが第4シード・帝京第五。
国見時代、選手権を沸かせた植田洋平監督が就任以来、着実に力をつけてきた新興チーム。
疲れと恐れを知らぬアーミー軍団、頂点を狙う準備が整ってきたようだ。
その帝京第五とEリーグで勝点20の同数、しかも唯一負けが無い(5勝5分0敗)のがなんと松山東。
高い意識と統率力で激戦ゾーンをかき回しそうな不気味な存在だ。
忘れちゃいけない第5シード・大洲。FW内山勝允(3年)、DF下岡廉(3年)らのジュニアユースチャンピオン、
MF智葉・ジーニアス・隆盛(3年)など県内屈指のタレントチームがこのまま終わるとは思えない。
他にも済美と南宇和のカードも気になるし、川之江と松山商業も元気だと聞く…
かつて世界の長友佑都(西条出身、現インテル)が、
Jでは川又堅碁(小松高校出身、現新潟)や渡邊一仁(済美高校出身、現愛媛)が
憧れ、たどり着けなかった聖地・国立。
数多の名勝負にもう一度、愛媛代表が歴史を刻む為に。
国立へのラストチケットを手にするのはどのチームか。
眠れない冬が今年もやってきた。
ロッベン的高校サッカー雑感 ~帝京第五~
“植田洋平”
高校サッカーに詳しい人ならピンと来るかもしれない
超名門・長崎国見高校で選手権出場
U-18代表では
小野伸二、高原直泰、遠藤保仁ら
錚々たるメンバーと同じユニホームを着た点取り屋
「小野は当時からずば抜けてましたけど
遠藤がここまでになるとは思いませんでした」と
笑いながら超ハイクラスなサッカートークを
さらりと話してくれた
愛媛史上、最高レベルの選手実績を誇る指導者のいる練習場を訪れて
まず感じたのが強烈な緊張感
選手達全員が監督の下、一つの“軍団”になっていた
細かいところだがここでは先輩を“~くん”ではなく“~さん”で呼ぶ
「(上下関係の厳しさは)国見ではあたりまえでしたよ」
「小嶺(忠敏)監督がいるときはハンパなかったです笑」
リビングレジェンドの教え子が愛媛で国見イズムを注入
就任わずか4年でシード校に急成長させた
“根性サッカー”を時代遅れと笑うのは敗者の言い訳だ
全国で苦しむ愛媛に今、最も必要なのは
この“強者のメンタリティ”ではないのか
「尊敬してますし、(植田)監督がいるのでここに来ました」
大阪から選手権を目指してサッカー留学を決めたFW水田直希
Eリーグをたった9人で戦った苦しい時期を乗り越え
チームをまとめたキャプテン伊藤将平など
厳しさだけでなく結果も出てきた現状に選手達は手ごたえを感じている
初戦のカードは優勝候補の今治東
これ以上ないほどの派手な舞台が整った
「90%の人は向こうが勝つと思っているでしょうが
我々のサッカーでやるつもりです!」
今大会屈指の好カードを見逃すべきではない
ロッベン的高校サッカー雑感 ~大洲~
2010年ジュニアユースのタイトルは
勲章だったのか
それとも…重い十字架だったのか
大洲北中学と宇和島南中等との県大会決勝は
手に汗のシーソーゲーム、
延長でも両者譲らず7-6のPK戦でなんとか決着した
いつまでも見ていたいと思わせた
蹴史に残る好ゲームは今でも記憶に鮮明だ
大洲北中から鳴り物入りで地元高校に進んだ
内山勝允、松林開、下岡廉、西河晃志らの
チャンピオンメンバーは
高校では無冠のままついに最上級生となった
それだけではない
ボール奪取能力と戦慄の左足を持つ
大会NO.1プレイヤー、MFジーニアス・智葉隆盛(3年)、
四国プリンスリーグ初参戦、天皇杯も高校生チーム初の決勝進出など
いつタイトルをとってもおかしくない好条件は
他のチームが羨むほどに揃っている
大洲史上最高のタレント軍団が
重い十字架から解き放たれるのは
“選手権”のビッグタイトルこそ相応しい
「3年間やってきたことを全部ぶつけます!」
少し大人になったキャプテン、内山の顔は
あの頃の“ミスター・パーフェクト”に戻っていた
ロッベン的高校サッカー雑感 ~松山東~
「松山東がEリーグで無敗中!」
と聞き取材をしたら先日初の敗戦…
「たまたまですのでそっとして置いてください(笑)」と
芳之内監督にも谷本コーチにも言われていたので
余計なことをしてしまったかなと少し自省
それでも県内リーグ6勝6分1敗勝点24(10月1日現在)は
今治東、愛媛FCYSに次ぐ3位
堂々の優勝争いを演じる
特筆すべきは引き分けの多さ
圧倒的攻撃力は無いが“負けない”のが松山東
堅守の中心は唯一残った3年生GK濱村駿介
中学時代は愛媛FCのレギュラーとして活躍
勉強と両立させながら高校では1年生から出場
「高校サッカーで全国にいきたかったんです!」
元日本代表GK・楢崎似の風貌に守護神のオーラを纏う
他にもセブラ時代全国を経験した1年生左SB河野や
リーグ戦でほとんどの得点に絡む2年生の大久保など
若き逸材が脇を固める
そこまでにしたのはもちろん指導者の手腕だが
練習内容もレギュラー決定も
選手達が話し合いながら決めていると聞く
限られた練習時間の中で
自分達で考えて作り上げた負けない方程式
東高史上最強クラスのイレブンが
今大会で出す答えとは…