第1試合:今治東3-2済美

生放送の関係で試合終了直後に到着

会場は熱戦の余韻が未だ治まらず湯気となり立ち上っていた

立ち見が出るほどに埋め尽くされた観客席は

容赦なく勝者と敗者を残酷に映し出していた

辛勝の今治東側は誰もが胸をなでおろし互いの健闘を称え

勝利が零れ落ちた済美側は未練を断ち切ることが出来ない

ふとグラウンドに目をやると

タッチラインの手前でオレンジのユニホーム8番を着た選手が

一人静かにピッチ中央へ歩み深々と頭を下げた

3年生最後の試合で出場は叶わなかった山本が

人知れず大会に別れを告げていた

「負けは負けです…でも、ウチの攻撃力は見せられたかなと」

ゆっくりと言葉を繋いだ済美・宮本監督

負けはしたが愛媛屈指のタレント力で

今治東を徳俵まで追い詰めた

「私が言うのもおこがましいですが愛媛のサッカーを変えたい」

「ウチにしか出来ない攻撃的なサッカーをこれからも目指して行きたいです」

守備に問題があろうが

どこにでもある没個性なチーム作りよりは

よっぽど気持ちがいい

準決勝第2試合:松山商業5-3新田

「(去年決勝で敗れた時の)忘れ物を取りに来たつもりだったんですが…」

キックオフから試合終了まで座ることのなかった小野監督

それでも前半は小気味のいいパスサッカーで見せ場を作った

18番近藤、20番井上、14番野本など

楽しみなスーパールーキーも発見

「新しい歴史のスタートが出来たんじゃないかと思っています」

3年生の想いをしっかりと受け止め継承するのが

後輩達の最初のミッションだ

さて

これで下克上大会も残すは一試合

史上初の今治東か

半世紀ぶりの松山商業か

いずれにしても歴史的なFINALになることは間違いない