Archive for 1月, 2022
えさシネマ倶楽部
「ハウス・オブ・グッチ」
ご存じ世界屈指のトップブランドに上り詰めたGUCCI家の光と陰
ハイブランドに興味はありませんが
その一族の黒歴史となると話は違います
しかも監督が「ブラック・レイン」のリドリー・スコット!
まずキャスティングが完璧です
創業家の御曹司に近づいて自分のものにするヤンキー上がりの悪妻
パトリツィア・レッジャーニ役にLADY GAGA
背筋を伸ばして自転車に乗るアダム・ドライバーには
御曹司ならではの品の良さが漂い
どこの親戚にも一人はいる(ここまでではないが)
声のデカい怪しげな叔父さんにアル・パチーノ
特筆すべきはその叔父さんのダメ息子役、ジャレッド・レト!
評判通り強烈なキャラクターを発揮してました
彼の役で強烈に覚えてるのは「リトル・シングス」での異常殺人者
今回はツルッパゲのおデブ愚息
特殊メイクがハマりすぎて
アル・パチーノも「危ないファンだと思った」と気づかなかったそうです
この人も“デ・ニーロ・アプローチ”タイプの拘り俳優です
監督が使いたくなるのがよくわかります
これからどんどん出てくるので注目です
ストーリーは
上流階級の一族に場違いな女が来て
最初はチヤホヤされて調子よかったが
離婚されたのを逆恨みして夫を殺してしまう
地に落ちそうになったGucciブランドを
トム・フォードが救う
と事前情報通りで意外性はないけれど
名監督が名俳優から名演技を引き出しています
なので
名作かというと・・・
一つだけどうしても気になる事があるんです
やっぱりイタリア語でやらんかいッ!と
本作に限らずハリウッド作品には余多あります
イタリア人の話なんやからイタリア語やろ
申し訳程度にイタリア訛りの英語ってなんや!
微妙にニュアンスが変わってくるはずなんです
この違和感は私だけでしょうか
忠臣蔵や戦国時代の作品を顔が似てるからって
中国語や韓国語でやられても困るでしょ
この作品を見たイタリア人はどう思ってるのでしょう
3.5シネマ
ロッベンのイッペン読んでみ!
「世にも奇妙な君物語」(朝井リョウ著)
今治市立図書館で講演会をやらせていただいて以来
著者のファンになってます
昨年10月にご本人が来館されてイベントしたんですってね
凄ーーい 行きたかった…
館長が誇らしげに教えてくれましたw
著者がタモさんの“世にも奇妙な~”シリーズが大好きだそうで
本著もテレビと同じく5篇から成り立っております
こういったバラエティ系も書かれるのですね
いろんなタイプの作品をかけるのが
天才たるゆえん
朝井リョウ作品はオジサンにとって
若い世代の情報を知り得ることもでき一石二鳥なのですが
私的には「どうしても生きてる」系のほうが好きです
それこそテレビのパターンなので
新鮮味はなく
今回はアンダーラインを引くほど印象的な文章には出会いませんでした
この後、本屋さんに行けるので
もうちょっと探してみようっと
3シネマ
えさシネマ倶楽部
「クライ・マッチョ」「ドライブ・マイ・カー」
クリント・イーストウッドは間違いなくハリウッドの伝説です。
私も大好きです。
91歳でやり続けることも崇高なことですが
流石に寄る年波には「ダーティー・ハリー」のキャラハン刑事も勝てません。
ポスターとか静止画のイーストウッドは十分に見られる。カッコいいです。
ですが、動くとやはり91歳。
内容がお馴染みのタフガイな役どころで
喧嘩シーンもあったり、未亡人と恋に落ちるラブシーンもあるのですが
どうしても痛々しさが勝ってしまう。
好きなので倒れるまでやり続けてほしいのですが
そんなイーストウッドの姿を見るのはツライ・マッチョです。
やるならタフガイとか恋愛シーンなどのない
リアルな頑固ジジイの切なさや渋さを見せてほしい。
まだ若者には負けてないぜ、若いんだぜ感が強すぎて逆効果になっている( ノД`)シクシク…
大御所過ぎて誰も言えないのでしょうね…
失礼ですが
理想は「よーいッ」って言った後
なかなかカットかからないなあ、監督?ってみんなが近づいたら亡くなっていた。
みたいな最期であってほしいです。
本人もそれが本望なのでしょうね。
「ドライブマイカー」は・・・
私が芸術への理解力がないのでしょう。
まったくわかりませんでした。
身近な春樹ストに
ここが面白いんだ!ってところを
一つ一つ丁寧にお伺いしたいと思います。
共に3シネマ
ロッベンのイッペン読んでみ!
「どうしても生きてる」朝井リョウ著
「桐島、部活やめるってよ」など
映画は観てましたが
初めてだったんですよ朝井作品をチャンと読んだの
予想通り・・・ハマりました
6つの短篇集全部面白かったです!
オードリーの若様が推す理由がよくわかりました
ラジオ好きな人
Creepy Nutsが好きな人
絶対、ハマります
キラキラしてる1軍達を斜め下から睨みつけて
ルサンチマンの塊を誰にも聞こえないように大声叫んでいる
ヒリヒリとした人間の本性を曝け出してくれるのが
逆に安心できる朝井作品の世界観
上手くいくことなんてほとんどないけれど
それでもいいんだと思わせてくれる強烈な包容力に泣きそうになります
表現が好きすぎて文章に線を引いたのは久しぶりです
“いつもは横に並んで歩くのに
あの日は照れくささが邪魔をして
お互いの表情を見ることが出来ずに縦に並んで歩いた”
“性経験がないお前はリアルな人間関係なんて築けないと指摘されたのち、
生涯のパートナーになるつもりもない相手と安易に体の関係を結ぶなんて
それこそリアルでは無くフェイクだ”
“私が考えなければならないのは半径5m以内に山ほどあるのだ”
全ての文章が高レベルな
ラップバトルを聞いているように
グイグイ読み進む事が出来ます
直ちに、ほかの朝井作品を読もうと思っとります!
4ブック
ロッベンのイッペン読んでみ!
「ミチクサ先生 上・下巻」(伊集院静著)
文豪界の巨人が文豪界の巨人を書くとこうなります
夏目漱石の生涯を描いています
漱石さんを今まである程度知ってたつもりでしたが
ここまで巨人だったとは存じ上げませんでした
当然、盟友の正岡子規さんもがっつり出てきます
子規さんについては2つ前?の長編小説「ノボさん」でもガッツリ描いています
そこでも漱石さんがガッツリ出てきます
でも
漱石さん目線でじっくり書きたかったんでしょうね
違う目線で同じ状況を描いているので
両方読むと
小説版「羅生門」みたいな楽しみ方もできます
著者については
今更、私が説明するまでもありませんが
“子規” “漱石” “忠臣蔵”
どデカい題材にど正面からぶつかって
しっかり伊集院カラーに咀嚼されて
しかもわかりやすく書いてる(←これ大事!)のが凄い
以前、松山に講演に来られた時
単独インタビューを受けていただき楽屋にお邪魔したら
ラジオで競輪中継聞きながら
「ちょっと待ってね、今大きなレースがあるから」
と言った時の横顔がメチャクチャ渋くてカッコよかった~
ANA機内誌「翼の王国」のコラムも大好きです💛
4ブック