2007.09.20

愛媛FC練習雑感 〜9・20〜

Author: ロッベン江刺

「しゃべっていこう、自分で!誰か、じゃないよ〜、自分で。」

宮原の声が響いた。

出来たばかりの北条スポーツセンターは

すり鉢状になっており

選手たちの声や通り過ぎるJR電車の音が良く響く。

1対1の対決で、チュンチュンにやられたセレッソ戦から4日後。

今日も容赦のない日差しが突き刺さる。

軽いボール回しで始まったこの日のメニュー。

いつも一際、大きな声でムードを作るのは

その宮原をはじめ森脇、川北、羽田などだ。

森脇は、まだ左太ももにテーピングをしているが

ハッチャけたおしゃべりで調子のよさが伝わってくる。

川北は左ひじにテーピングが見える。チーム唯一のコテコテの大阪弁はよく目立つ。

羽田のバリトンは、空気を凛とさせる力がある。

5-3のボール回しからハーフコートを使ったメニューへ。

「じゃあ、次は2タッチ以内で」「自陣の時はフリーだけど、コーチングをしっかりな!」

望月監督が繰り返し要求するのは、選手自らが声を出す事。

これが出来なければ屋台骨である“組織で守る事”が出来ない。

人対人でやられてしまえばゲームにはならない。

前節のぶち抜かれ方は、ベンチで見ていても屈辱的だっただろう。

次はこっちがやり返す番だ。

猫背ぎみの望月監督の背中がそう言っている。

3−3−1のミニゲームになった。

プレーを止めて細かく指示を出す。

「高杉、どうして欲しいかコーチングしないと。うん。

こっちにしぼって欲しいか、自分で抜け出すのか。言わないと。うん。言っていこう。うん。」

チーム内でもかなり大人しい高杉だが、ピッチ上では自身の性格を変えなければならない。

コートの周り、怪我をした井上・田中・大木がランニングをしている。

取材に来るといつも別メニューをしている印象が強い大木。同郷人としては何とも歯痒い。

怪我人だけで1チームできそうな、この時期。

慣れないポジションに選手をいれながら何とかこなししている。

あっという間に最終クールに入った。

ファンとしては順位が気になるが、選手本人達は恒例の契約更新が近づいてくる。

控えの、ベンチ外のメンバーの表情に自然に目がいく。

3−3のミニゲームからサイドに選手を付け足し、

数的有利と不利をつけての練習がラストメニュー。

誰もがドリンクボトルを奪い合うようにして給水を終えた。

全体練習後、直ぐ高杉が近藤と神丸を誘ってパス回しをはじめた。

手前では黙々とステップトレーニングをする関根。

負けじと宮原が加わり一言。

「めっさ、キツ〜ッ!」

ゴール前ではGK4人衆を相手に

三木・藤井・持留・笹垣・内村・大山らが繰り替えしシュート練習。

左で座っていた新井が「決起集会をやろう!」と南を誘っている。

一人、クーラーボックスに座り左足の腫れを気にするジョジマールに

「大丈夫か〜」と笑顔で島崎トレーナーが話し掛けた。

よそよそしかった第1クールの面影はなく

一つのチームになってきている手ごたえが心地よかった。

このメンバーでサッカーが出来るのはいつまでなのか。

彼岸の入りとは名ばかりの秋空を背に、選手たちの声が止むことはなかった。