【松山北3-1帝京第五】@新居浜GF

試合前「最初の10分をしのげれば」と言っていた帝京第五・植田監督のプランが

開始4分に変わってしまった。

松山北・5番吉田の柔らかいクロスが風に乗ってそのままゴールに吸い込まれ先制。

シンプルに相手最終ライン裏を狙った松山北・渡部監督の作戦が功を奏したとも言える。

その後は一進一退だったが

帝京第五がやり返す。

10番片倉(2年)を中心にボールが回り始めたころ

右サイドで15番古都(3年)がドリブルを開始。

そのままボックス内まで持ち込んで右足を一閃。

前半で同点に追いついた帝京第五。

2年生主体の両チームでゲームを決めたのはやはり3年生だった。

再三のコーナーキックやフリーキックでリズムを作っていた松北・10番三宅(3年)。

後半26分、その三宅からのコーナーキックを3番柏原(2年)がヘッドで決めて

2対1と突き放しに成功。

とどめも三宅だった。

ゴール左でパスを貰うとドリブルで相手を抜き去り

キーパーとの1対1を見き分めてのゴールだった。

実はこの時、相手のチャージで三宅は右足シューズが脱げかけていた。

それでもドリブルしながらキーパーと1対1になると

〝ポンッ〟と右足のシューズを後ろに放り脱いで冷静にコントロールショットを沈めた。

だから得点時はスパイクを履いていない。

「(接触で)足を踏まれて(スパイクが)脱げかけてて

このまま蹴ったら失敗すると思ったんで裸足(ソックス)でゴールしました笑」

どうやらこの男にはシューズは二足もいらないらしい。

三宅には今年に賭ける強い想いがある。

1年時に全国選手権に出場したが初戦で敗れている(95回大会松山北0-2岩手・遠野)。

「2年前に出たんですけど何もできなくて…それで3年になっても残りました」

ゴッソリ3年生が抜けても選手権を勝ち上がる集中力はもはや松北の伝統芸。

「三宅だけじゃなく中村もそうです。残った3年の二人は相当貴重です」

能力の高い2年生との融合を大会を通して高める渡部監督の手腕も見事だ。

優勝候補の今治東を破った勢いはブラフではなかった。

トーナメントの実績だけで言うと勝ち残った4チームではNO.1だろう。

波乱で始まった今大会、波乱で終わるのも悪くはない。

「今日勝てたらそれが言えるかなと思ってまして…〝欲〟出して行きます!」

試合後、日に焼けた指揮官の顔には2年前のギラギラが戻っていた。

*準決勝(10/27)はHPでWEB実況中継有り