2016.01.06

戦い終えて・・・   ~松山工業~

Author: ロッベン江刺

地元駒沢大高校が大応援団に勝利の報告をしている

申し訳なく思いながらも放送の段取りをこなす為

試合直後、敗戦の弁を坂本監督に聞いた

「…これからも(パスサッカーに)こだわって行きます」

泣き虫先生の言葉にもらい泣きしそうになるが

差し出した手に込められた力に次への決意を感じた

「全国で勝つのは難しいっスね」

一方、作戦参謀の大西貴コーチ

腕を組んで駒沢のピッチにうなだれる松工イレブンを見ている

「…繋ぐサッカーがまだ出来てないって事ですね」

曰く“ボールを受けるのも嫌がっていた”くらいガチガチだった初戦

50年ぶりの勝利をギリギリで手に入れた

全国選手権の雰囲気に慣れた2戦目は伸び伸びとプレー

特に最初の15分はベスト8クラスの内容だったけれど

今度はギリギリのところで勝てなかった

言われるまでも無く

勝敗は内容とは違うところに存在すると知っているけれど

見ていて泣ける試合だったと胸を張りたい

敗戦の余韻も無くピッチでは第2試合の神戸弘陵と國學院久我山の試合が始まっている

「なかなか立てる所じゃないので

しっかりと見ておこうと思って…」

ひとしきり泣きじゃくった後、1年生の石井がロッカーから通路に出てきた

近くには同じ1年の志摩、2年生の山西と大木もいる

今の3年生とこれまでの偉大な先輩たちに連れてきてもらった最高の舞台

ここで勝ち上がるために必要なものがそこからは見えるはずだ

それは君たちにしか見えないし伝えることも出来ない

新しい伝統は少しずつ少しずつ作られていく