“サカ魂”スピンオフ企画・完全インタビュー〜GK川北祐介編〜
（インタビュー場所：子供達とよく行く公園で 聞き手：江刺伯洋）
子供達といつもよく遊んでいるの？）
そうですね。僕が散策している間（ひなは）一人で遊んでます笑。
勝手に友達を見つけて飽きてきたら僕のところに来て。
2人で公園に来る事が数えるほどしかなくていつも下の子ともきてるんで。
どっちかが遊んでますね。嫁さんか僕が。
川北選手の子供らしく活発？）
僕も週一回の休みも体休めたりしてあまり外に連れて行ってあげてなくて､
行くとしても公園くらいで。（今日は）嬉しそうにしてますね。
試合の無い時とか練習後は常に一緒にいられるの？）
試合のない日は常に一緒ですね。嫁とひなと下の子と。
家族と過すのは大切な時間？）
大切ですね。サッカーはすごい楽しくてやらせてもらえるんですけど・・・。
メンタルの部分で切り替えさせてくれる。
家族で嫁さんとか嬉しそうな顔をしてくれると嬉しいですね。
もともと僕は休みのときは家でゴロゴロするタイプやったんですけど
今は極力、外に出て喜ぶ顔がみたいから。
家族はスタジアムにもよく来てくれる？）
はい。前は下の子が調子悪くてこれなくて。
この頃は恥かしがって僕の名前を呼んでくれないんですよ。
“パパ！”って呼んでくれないですよ。スタジアムで。
それすごい寂しい。ハハハ。
もう完全にお父さんがサッカーしてるのはわかっている？）
そうですね。でもまだ漠然としてると思いますけど。
下の子がしっかり解るまでやりたいと思います。
出来る限りつづけたいですよね。
大怪我して引退覚悟した時があって。
それをしっかりある先生に出会って治してもらって
サッカー出来るのがどんだけありがたいのかそのとき解って・・・。
出来るんやったら出来るだけやりたい。
大怪我というのは？）
2つしたんですが、一つは顔面多発性骨折を試合中に。
頭蓋骨がそのままバコンッと落ちちゃって。
今も目の下にシリコンが入ってて。
(目の周りを触りながら)こことこことここにチタン。眼下底が粉々になって。
まだ麻痺残っているんですけど。
そこはもう治らないと思うんですけど。でも不幸中の幸いで打ち所がよくて。
眼球も下に落ちなかったし。
でもサッカーするには支障は無いので。
命に関わるケガですよね？）
もしかしたら右目は失明していたかも。先生もこれくらいでよかったなあと。
上の子（ひなちゃん）は全部見ているんですよ。
顔面怪我して（対戦相手だった草津との試合後）群馬から帰ってきて
手術の日も一緒に居てくれたから。
全部知ってますね。顔グチャグチャになっているのも。
そのときはＪＦＬの大塚時代？）
そうですね。
それ勝つと優勝できるんだったんですけど。怪我しちゃって。
それからプレーが恐くなって。
それと同時に膝も悪くなって、顔はフェースガードしながら治ってきたんですけど。
で、もう引退しようかなと。徳島でもクビって言われたし。したくても出来なくなってきて。
でも・・・治して貰えて膝も。出来るんやったら体しっかり作ってやろうと決めて。
で、愛媛が拾ってくれて。だからがんばってプレーで返していけたらなと。
家族からサッカーを辞めて欲しいといわれた？）
いつも試合終わったら嫁に電話するんですけど、そのときは出来なくて。
電話無いので焦ったみたいで。大塚のマネージャーからの電話でピンと来たみたいで。
最初の病院は施設があまり整ってなくて最初、あごの骨折って言われて。
でも寒気もするし急に眠たくなったり痛いし。で嫁は看護婦やから頭やったんやと思ったみたいで。でその日帰ってから僕が顔面腫れてましたけど・・・（嫁は）泣いてましたねすごい。
今はいろいろ話しできるんですけど・・・。あの時はほんまに辞めて欲しいと思ったみたいです。
引退しようかなって言うのを、徳島クビって言われて膝も痛くて出来ないし顔も恐いし、日常生活はいいけどサッカーやってたらまたバーンとなるかも。
また違う道を考えようかなと言ったときに。嫁さんがおもむろに（徳島の）眉山行こう！って言って。膝メッチャ痛いのに。ハハハ。膝曲がらんのに行こういうて。
（山の）中腹のところで…｢やるだけやろう｣って｢やりたいやろ｣って言われて
｢そりゃやりたいよ｣って。｢私はもう覚悟を決めたから。膝とか顔とか。
後は私が面倒みたるから｣って。｢だからやれるだけやりたいんやったらやり！｣って。
・・・でそっからですね。
体作って。そこから色んな人が助けてくれて。
いい先生も見つけてくれて。膝も治してもらって。
怪我をした事で、生かされているのに気付けて。こうやってまた取材もしてもらって。
貴重な体験もさせてもらって・・・。
あんときはなんで俺ばっかり怪我するんやろと思いましたけど。
嫁にはすごい頭が上がらないです。子供にも力をもらえてるんで感謝しています。
ゼンゼン出来てないんですけどね、感謝を（ちゃんと形にするのが）。ハハハ。
大病の時に支えてもらっていたのは？）
家族ですね。嫁さんとも話しするんですけど。最初、山梨（ヴァンフォーレ甲府）にいて。
そこでも助けてくれる人がいて。徳島にも（助けてくれる人が）いて。
その土地土地で助けてくれる人がいて。感謝してもしきれない。
嫁さんとも話しするのは、その人たちに何で返すかって言うたら
元気に健康でプレーしてサッカーをがんばってるのを見せるって言うのが恩返しだからって言ってる。
上手くいかないときでも。愛媛に拾ってもらって。プレーで返していくしかないですし。
そんな気持ちで今やってるんですけど。ゼンゼン出来てないですけど。ハハハ
2人のお子さんの未来像を既に想像している？）
女の子2人なんで・・・・今から心配です。ハハハ。僕が男なんで・・・・
こんな気持ちになるとは思わなかったです。そこは今から僕が成長しないといけないところですハハハ
2人の子供には元気で健康で、ただただ幸せになって欲しい。
人の気持ちがわかるようになって欲しい。その為には親がしっかりしないと。
言う事も大事なんだけど背中見ていくと思うんで。そのあたりは嫁さんとも話をしながら。
すごい子育てしてるんですけど逆に教えられる事が一杯あって。
もっとしっかりしたお父さんになりたい。
オムツ換えなどもする？）
ハイ。今も。ガンガンです。
嫁さんはサッカーに集中して欲しいっていうんですけど。
逆にやることでいろいろ勉強になる。やってる回数は少ないですけど。
やっぱ奥さんは嫁さんはすごいです。どんだけしんどくてもご飯作ってくれて。
プロサッカー選手ってことで料理の品数もすごい多くて
栄養士に二人で見てもらってゼンゼンダメだといわれて。つねに6〜8品。
それプラス子供の世話もしてくれて。
嫌な質問ですが、将来2人のお子さんがサッカー選手の彼氏を連れてくるかも？）
ハ〜・・・・（しばらく凹む）。
サッカー選手は辞めとけと。ハハハ。いろいろまわり見てきて比率ですね比率。
落ち着いてきてる時の選手だったらいいですけど。
（フタッフ広報の川井）コウちゃんみたいなのがいい。
ところで、去年はサポーターが選ぶＭＶＰを受賞、これはそうとう嬉しい？）
嬉しいですね〜。（スタッフの）ジャンさんから（MVPに）選ばれたといわれたときは、
もっとがんばって勝ち試合をみせないと（いけないなと）。
そういうプレーが出来てないなと。
あと、よく練習中も試合中もよくしゃべりますよね？）
ハハハ。いろいろなタイプのキーパーを見てきたけど。
キーパーはしゃべりますよね。
僕は人を動かしてプレーするタイプやから。
よく（難しいシュートを）止めましたねって言われるけど
前からコースを消してくれて僕のところに来てるんで。
みんなで取った勝利やなと思っている。自分の力がそこまで身体能力が高いわけではないのでコースを消してもらってボールを取るタイプなんでチームメイトに凄く感謝しています。
チームメイトがしっかり切ってくれてそこに僕がおる。でもそれだけじゃダメなんですけど。
自分の能力をもっと高めていかないと。Ｊ１とかＪ２でも外人のシュートとか
自分の力つけてやっていきたいなと思いますね。
静かにやるよりは盛り上げて。たわいもない話をしてますけど。
これからのサッカー人生について）
去年サポーターが（MVPに）選んでくれたのも嬉しかったんですけど。
観に来てくれた人の心に残る。もちろん勝つことが大事で。
もう一回コイツのプレー見てみたい（というような）心に残って、
あいつもあんなにがんばってるんだから俺も普段の生活がんばろう、
そういう気持ちの入ったプレーをして試合を見てもらいたい。
前向きになれるような。
例え点を取られたとしても前向きに下向かず諦めない。
当然な事なんですけど。前向きになってもらえたらいいですけど。
そういう選手になっていきたい。キーパーやからなかなか難しいけど。
自分は自分のプレーをしたいですね。