今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、NPO法人くまーるの森びと副理事長の渡邉浩二さん。久万高原町で「クロモジ」という植物を使ったアロマの製造販売を手掛けているそうですが、今、和製ハーブと言われるこの「クロモジ」が脚光を浴びつつあるんです。渡邉さんの家の裏にもたくさん自生しているという「クロモジ」。じつは私たちにも意外と身近な存在でして…。
佐伯)これまではそんなに使われては来てないんですか?
渡邉)そうなんですよね。明治時代に一時期石鹸の材料として輸出されていたようですけれども、あとは爪楊枝や普通の楊枝ですね、のみにしか使われてなかったようでございましてですね。まあ今となってはですね、多くの方に「宝の持ち腐れやったんだね」と言われますね。
佐伯)へ~、そうなんですか(笑)。爪楊枝…たしかに和菓子などをいただく時の…
渡邉)ですから平安時代からですね、日本では和菓子につく大きい長い、刺す楊枝でございますが、あれはクロモジ製でございます。
佐伯)あれがクロモジだったんですね!なるほど。じゃあ、ラジオをお聴きの人もなんとなく「ああ、あの木か」って思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。そのクロモジなんですけれども、すごく高級な感じの爪楊枝と言うか…
渡邉)そういうことですよね。あの香りがいいでしょ。防虫ですね、除菌とか消臭とか様々な効能を持っとったんですよね。
佐伯)へぇ~。じゃあそういう意味で利用はされてきたってことですか?
渡邉)そうですね。
佐伯)渡部さんの家の裏にあるくらい、久万高原の方にとっては身近な植物だと思うんですが、私たちのイメージで久万高原って言うとどうしても杉とかヒノキとか…媛スギ媛ヒノキなんてブランドもありますけれども、だけど久万の人にとってはこのクロモジも同じぐらい身近かなものって感じですか?
渡邉)そうですね、林業と言うか山仕事に行かれる方がですね、山に行きますからお昼になるんですが、お弁当箱にお箸を持ってくるのを忘れた、無かった場合なんかですね、このクロモジの枝をですね、チョキチョキと切りましてですね、それでお箸の代わりにして食べとったということですね。前の町長さんが山仕事で明神が山で、いつもこの楊枝でお箸にしよったんよとかって言ってましたですね。
佐伯)ほ~。御年配の方は他にも生活に取り入れていらっしゃったりっていうことはあったんですかね?
渡邉)そうですね。楊枝、お箸、櫛、それから薬用と言うようなこともありましたね。
佐伯)薬用は何の?
渡邉)煎じ薬というかですね、現在養命酒さんとかですね、いろんなメーカーの方々ですね、あの漢方薬としてね。枝が烏樟と申しますし、根っこが釣樟と呼ばれて生薬として利用されてます。烏樟はですね、神経の興奮を鎮めて安眠を誘うと。咳や喉の改善、体を温める効果ですね。根や樹皮は入浴剤ですね。お風呂に入れてですね、皮膚トラブルの改善にもなります。また煎じて、昔からですね、老人老婆の方々はですね、塗るという民間療法にも使っておったようでございます。
佐伯)いや、お話を伺うほど色々な使いみちのあるクロモジ、和製ハーブなんですけど、本当にこれが自生でワサワサと久万高原にあると思ったら、まさに「宝の山」ですよね。
渡邉)そうなんですよね、はい。
[ Playlist ]
Yumi Zouma – December
The Breeders – Drivin’ On 9
Beck – Tropicalia
Seu Jorge – Bem Querer
Bob Dylan – Corrina, Corrina
Selected By Haruhiko Ohno