今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、石鎚神社頂上山荘職員の上杉乙姫（おひめ）さん。山好きが高じて、西日本最高峰１９８２ｍの石鎚山頂上にある山荘の職員となった上杉さんに、「小屋開けは歩荷とともに」「山頂グルメ」「石鎚山が織りなす不思議な世界と仲間たち」をキーワードに、その魅力について伺いました。これだけの標高の山頂に山荘があること自体が数少ないそうですが、神社が運営しているとなるとさらに珍しいのだとか。１シーズンで１０００杯以上売り上げたという人気グルメなど、今年のお山開きを前に、石鎚神社頂上山荘ならではの取り組みやエピソードいっぱいです。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました！ぜひお聞きください。
佐伯）小屋開けの作業っていうのも上がるだけじゃなくて、上がってからもいろいろあるわけでしょ。
上杉）はい、あります。
佐伯）ちなみに今年はどんな状況だったんですか？
上杉）はい、今年は例年にない残雪で大変苦労しました。
佐伯）雪が？
上杉）はい、雪が固まって滑りやすく不安定で、体力もすごく消耗するんですよ。雨と霧に苦労することもあって、今シーズン小屋開けのときは荷物が背負子から滑り落ちて崖から落ちるっていうアクシデントもあったんです。
佐伯）え！背負子から荷物が落ちた！
上杉）はい、そうです。
佐伯）どういう状態で？
上杉）ちょっと背負子のバランスが悪くて直そうとしてちょっと荷物を降ろすと、もうザックがバーって滑っていってしまって。かなり…50ｍ近く下に落ちてしまうアクシデントもあり、それを拾い上げ…
佐伯）それって上杉さんの目の前で起こったんですか？
上杉）はい、そうです。もうすごい、ルンゼ（急峻な岩稜にできた縦の溝や割れ目）のこちらにいて、向こう側から「あっ！」っていう声とともにザックが滑り落ちていきまして。まるで人が落ちてるように見えたんで、「ああ！」って思ってよく見たら大きなザックだけが滑り落ちてて。見えるところに止まってくれたんで、「よかったぁ」って思って。ただ取りに行くのがちょっと大変なので、一旦小屋にロープを取りに行って安全確保をしてからザックを回収するっていう。
佐伯）まあそれも大変ですけど人じゃなくてよかったですね。
上杉）いや本当によかったです。
佐伯）それを目の当たりにされたときの…ちょっとお話聞いただけでもこちらも何か背筋が寒くなるというか。
上杉）ね、人じゃなくてよかったです、本当に。
佐伯）そうした危険と隣り合わせの中で安全を確保しながらの準備をしていただく方がいてこその、この山荘ということになるんでしょうね。だいたい皆さんが30～40kgとか持てるものを持った状態で、どのぐらいかけて上がるんですか。
上杉）そうですね、その登山のコースタイムっていうのが土小屋から、荷物があるときは必ず土小屋から上がるんですけど大体2時間から2時間半で、重いものを持つ歩荷さんも変わらず、2時間以内で上がってこられる方多いです。
佐伯）へえ～！
上杉）私は2時間かかりますけど。
佐伯）2時間で逆にすごいなと思っちゃいますけどね。そうして運んでいただく荷物もあり、またシーズン中にはヘリコプターで運ぶこともあると。
上杉）ありますね、年に一度の大イベントになるんですよ。
佐伯）あれ、年に一回。
上杉）そうなんです。シーズン中の物資を全て上げるんですけど、食材、お土産、燃料とか、今年は5月12日、13日の2日間でやったんですけどね。ヘリの風圧っていうのが、頂上にある砂利とか小石があるんですけど、それを飛ばすんですよ。で、人がいるとヘリが近づけず物資を下ろせないので、登山客の方にはヘリが来ている間は弥山から避難してもらってるんですよ。ヘリが大体5分から10分おきにバンバン飛んできて、一日中作業をするんですけど。
佐伯）そんなに回数多いんですか。
上杉）そうですね、大体60回以上はあって。
佐伯）え～！
上杉）今年は86回ピストンしてもらいました。
佐伯）なんか今年は特に多かったんですか、荷物が？
上杉）そうですね、今年冷凍庫が2台と…
佐伯）冷凍庫！
上杉）あと冷蔵庫が1台と、あとガチャガチャを今年から始めて、ガチャガチャの本体もヘリでふわふわ飛んできました。
佐伯）え～、山頂でガチャガチャができるんですか！
上杉）はい、できます（笑）
佐伯）何が入ってるんですか？
上杉）みきゃん！愛媛といえばみきゃん、の巾着が当たるんですけど。道後温泉、松山城のみきゃん、ストライプのみきゃんと、あと今年、山頂の石鎚山の天狗岳の前を修験者の恰好のみきゃんが飛んでいるっていうポーチ。そちら方はもう頂上限定で、頂上だけで出てくるようにしてもらいまして、それが「当たり」ですかね。
佐伯）激レアですね！
[ Playlist ]
Badly Drawn Boy – The Time of Times
Batteaux – Tell Her She’s Lovely
Keller Williams – Love Handles
Phoenix – Summer Days
Selected By Haruhiko Ohno
