今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、日本野鳥の会愛媛代表の松田久司さん。近年のアウトドアブームの中で改めて人気となっているバードウォッチングについて、愛媛での楽しみ方を色々お伺いしました。夫婦円満のモデルのようなイメージの、あの鳥に関するエピソードにホッとする場面も。
佐伯)冬になってきましたけれども、四季でいろんな鳥がいるじゃないですか。この時期のバードウォッチングっていうのは、どんな感じなんですか?
松田)冬になると、まあ秋からですけども葉が落ちて鳥の姿が見つけやすいっていうのがあるのと、あとさえずりは繁殖期だけなんですけど、鳴いてはいますので普通に。聞けないわけではないので、冬は始めやすいと思います。
佐伯)そうなんですね。じゃ、初心者向きのシーズン?
松田)そうですね。
佐伯)と、言えるんですね、なるほど。山間にいる鳥ばっかりじゃなく、水辺の鳥もいるじゃないですか。こちらはどうですか?
松田)カモの仲間がシベリアとか中国の北のほうから来るんですけども、冬越しのためにやって来るんですね。普通カモ達はみんな夜行性が多くてですね、昼間は静かに休みたいんですね。休みたいってことはあまり活動しないってことなので、ゆっくり観察しやすいってのがあるので、まあそれも加えて冬がオススメっていうことです。
佐伯)カモは私も分かります、見ただけで(笑)
松田)そうなんですけど、なかなか種類が多くて難しいですよ。
佐伯)カモって、そんな種類多いんですか?
松田)たくさんいます。微妙に違ってるのでそこも割とマニアをくすぐるっていうか、面白いとこなんですけどね。
佐伯)そうなんですか!そのカモウォッチング、県内でしたらどういった場所がおすすめですか?
松田)東予だと黒瀬ダムのところが、県内だとカモの飛来数がたくさんいるところですね。あと近くだと加茂川の河口とか、あと南予ですけども鹿野川ダムの鹿野川湖がオシドリの越冬地として有名です。
佐伯)鹿野川ダムのあたり。
松田)そうですね。
佐伯)オシドリってあれですよね、派手なほうがオスなんですよね。
松田)そうです。
佐伯)一年中オスが派手で、メスが地味な感じなんですか?
松田)違います。
佐伯)違うんですか!?
松田)いま繁殖期っていうか求愛時期なんですよ。なので、オスはオスらしくなってるし、それでモテようとしてキレイになってるっていうか派手になってるってことです。
佐伯)じゃあ、まさに今あのキレイな派手なオシドリを観るには最適な…
松田)最適です!何日か前に見た時にはみんなエクリプスって言ってメスと同じ格好してたので、これからちょっとずつオスはオスらしくなってきます。
佐伯)へ~、そうですか!ちなみにその鹿野川ダムの辺りですと、どのくらいのオシドリがやってくるんですか?
松田)ちょっと年による変動が多いんですけど、ちょっと前だと5000とかですね、今だと1000ちょっとぐらいです。たくさん見れます。
佐伯)じゃ、何回も足を運んで運が良くないと見られないとか言うんじゃなくて、割と頻度としては高い?
松田)今看板とかも出ているのでそれを頼りに、道の駅とか寄ってもらって看板を見て「あのへんかな」ってあたりをつけて行ってもらうと、まあまあ見れると思います。
佐伯)はあ、そうですか。あのオシドリと聞くと、たぶん日本人なら「おしどり夫婦」という言葉を思い浮かべるかと…
松田)そうですね。めっちゃ有名です。
佐伯)と思います。長年連れ添った仲の良い夫婦のことを指すとみんな思ってると思うんですけど、私ね、実は何年か前にとべ動物園の取材に行った時にオシドリのことを教わったんですが、長年ずっと連れ添うっていう鳥ではないと聞いたんですが…。
松田)一時期そう言われてて。人間は80年とか人生あるんですけども、カモは1年ちょっと、ま2、長生きなのは5年とか生きるんですけど、短い人生で2年ぐらいの人生の中で1年で変えても半分以上連れ添ってるわけだから、別にそこの長さはもう人生の長さと考えていただければいいかなと思います。
佐伯)なるほど!カモって、2年ぐらいで早いものは寿命がきちゃうんですか?
松田)そうですね、渡りとかしてるので、やっぱり平均寿命とすると短いですね。だから最初の年で死んでる確率のほうが高いんだと思います。
佐伯)そうなんですね。
松田)あと日本ではちょっと研究例がないんですけど、ヨーロッパだとその短い人生ずっと連れ添ってるオシドリもいるってことが分かってるので、別に仲の良い夫婦の例として言ってもらうのは何も問題ないと思います(笑)
佐伯)そうなんだ!ちょっとなんかホッとしました。私その話を最初に「実は1年でペアを解消するほうが多い」って聞いた時に、なんかがっかりしたんですけど(笑)。確かに2年くらいしか生きないオシドリの1年と思えば、人間80だとすれば40年連れ添ってことですからね。なんだ、そうでしたか!
[ Playlist ]
Carlos Lyra – Influencia Do Jazz
Ásgeir – In The Silence
El Haru Kuroi – Invenciones
Coke Escovedo – I Wouldn’t Change A Thing
Selected By Haruhiko Ohno