今週は、「坂の上の雲ミュージアム」特設ブースからの生放送。10年以上にわたって、毎月第3日曜にミュージアムで紙芝居の上演を続けておられる「えひめ紙芝居研究会のぼ~る」の副会長のお二人、船草幸栄さんと吉村弘子さんにお話を伺いました。会場では、戦後に全国で広まった紙芝居ブームの風景さながらに、荷台に紙芝居入りの木箱を積んだ自転車も登場。オリジナルの紙芝居3作の一部の上演もして頂き、音声はラジオで、紙芝居の絵はミュージアムのインスタで楽しんで頂くという試みも。お二人の熱演に思わず引き込まれ、紙芝居という日本独自の文化の魅力を存分に感じられた放送になりました。(紙芝居の絵は、インスタグラム@sakanouenokumomuseunでご覧頂けます!)


 

佐伯)坂の上の雲ミュージアムで定期的に演目を披露してくださってるということなんですが、どんな演目になるんでしょうか?

船草)正岡子規と秋山真之をメインとした紙芝居が主で、それに付随する紙芝居をやらせてもらってます。

佐伯)この「正岡子規」それから「秋山真之」っていう紙芝居は、オリジナルなんですか?

船草)はい、オリジナルで、「のぼ~る」が作成した紙芝居です。

佐伯)そうなんですか。実はきょう、「のぼ~る」さんの紙芝居作品リストをお持ちいただいたんですが、まあたくさんありますね!

船草)そうなんです!全部で180作品です。オリジナルは30作品あります。

佐伯)ええ、ええ。

船草)それから愛媛県内の中学校、小学校、公民館に、正岡子規さんの紙芝居を配布させていただいてるんです。

佐伯)そうなんですか。

船草)それから貸し出しもしております。

佐伯)じゃ、みんなに愛されてる紙芝居。

船草)そうなんです。

佐伯)あの、ふと思ったんですけど、紙芝居。私オープニングでお話ししましたが、なんかこう“戦後の懐かしい風景”っていう時に、だいたい広場に子供達が「紙芝居来たー」って集まってきて、おじさんが自転車の荷台から取り出して…っていう風景を思い出す方多いと思うんですけれども、世界的に紙芝居っていうものはあるんですか?

船草)いいえ、これは日本だけの文化だそうです。

佐伯)そうなんだ!!じゃあ、この紙芝居っていうのを聞いて「懐かしいなー」って思える年配の方もおられるし、今の子供達にも披露すると「わ!何これ!?」みたいな感じで喜ばれるという…

船草)そうです。

佐伯)この「のぼ~る」さんの活動なんですが、いつから始まったものなんですか?

船草)あの約20年ほど前から初代会長・佐伯美代子さんが、「郷土の偉人・子規さんは偉大なのに意外に子供達に知られてない。紙芝居で分かりやすくみんなに知らせたい」というので「正岡子規」を作られたんです。

佐伯)作られたのが約20年前…2002年。

船草)そうです。ちょうどその時、正岡子規没後100年をきっかけに。

佐伯)そうでしたか!それから取り掛かられて、随分時間をかけて作られたそうですね。

船草)そうなんです。色々な方に問い合わせたり本を読まれたり。長野ヒデ子さんとか子規博の和田館長さんに聞かれたり。色々な方に聞かれたりして、それでやっと出来上がったようなんです。

佐伯)長野ヒデ子さんって、あの今治出身の著名な絵本作家の方ですよね?

船草)そうです、あの方です。

佐伯)その長野さんに相談されたりとか、子規博の和田茂樹館長って初代館長でいらっしゃいましたけれども、子規さんの専門家にもしっかりと取材をして、それから絵の方もプロの絵本作家さんに相談して。で、どのくらい時間かけて作られたんですか?

船草)約7年かかったそうです。

佐伯)え~!!!7年!ちょっとあの、一つの紙芝居を作るのにそんなに時間がかかるっていうのはびっくりなんですけれども。やっぱり最初初めて作っては相談して「ここ直そう、あそこ直そう」みたいな繰り返しですか。じゃ、初代会長の佐伯さんのお家は、もう正岡子規の資料もたくさんおありだったんでしょうね。

船草)ええ、たくさんあります。

佐伯)本当にそういう繰り返しで、例えばどんなとこを直しなさいみたいなのがあったんですかね?

船草)そこまで詳しくは聞いてないんですけど(笑)

佐伯)ま、私たちが正岡子規さんって聞いてパッと思い浮かぶのが、あの横顔。横顔の写真を思い浮かべる方多いと思うんですけども、そういう絵も写真を参考にして書いていくんですか?

船草)そうらしいです。ポーズも色々と…

佐伯)ポーズ?

船草)紙芝居のポーズ、いろいろと同じ場面が続くわけにはいかないので、どういった場面を取り上げた方がよりインパクトがあるか、ということも考えられて。

佐伯)そうなんですね。その初代会長さんは初めて作られるわけですから、まさに手探りで作っていかれるわけですよね。しかもですね、子規さんってもちろん愛媛・松山でも人気の人だから、作ってもいいけどあっちの方はこういう意見を寄せ、また別のところからは別の意見が寄せられみたいな感じで、それの調節も大変だったんじゃないかと思うんですけど(笑)

船草)たぶん大変だったと思います。色々と意見が異なりますし。

佐伯)ですよね。

船草)見方も違いますしね。

佐伯)例えば子規さんのご親戚の方にお話を聞かれたなんていうこともあったんでしょうか?

船草)多分あったと思います。

佐伯)なんかそういう方からじゃないとわかんない情報とかわかんない指摘とかもあったんでしょうね。

船草)そうだと思います。意外と学校の時の同級生の方の子孫の方からとか。

佐伯)そういう地道な調査と地道な書き直しの繰り返しで7年。もう本当に大作ですね。

 

 


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Selected By Haruhiko Ohno


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