今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、愛媛県学校薬剤師会会長の堀尾郁夫さん。薬剤師といえば病院や薬局でお世話になるイメージがありますが、近年「学校薬剤師」という存在が注目されるようになってきました。最近ではオーバードーズ=薬物の過剰摂取や薬物乱用が若者に広がっていることが背景にあります。今回は「風邪薬と間違えて…」「薬物乱用防止」「ドーピング防止」をキーワードに、お話を伺いました。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)プロのスポーツ選手でも「気をつけてたんだけど、意図せずに摂取してしまっていて引っかかった」っていうような報道に触れることってあるんですけれども、学校薬剤師さんとドーピングの関わりっていうのはどんなふうなのか、ここから伺っていきたいと思います。やっぱりうっかりっていうか、学校スポーツの世界でもあるんですか?

堀尾)ありますね、はい。先ほどおっしゃったように、プロのスポーツ選手でもですね、やっぱり間違って薬を飲んだりとかいろいろあると思うんですよね。そういうのは「うっかりドーピング」って言うんですけれども、身近な薬とかサプリでもですね、禁止物質が入っていることがあります。

佐伯)サプリでも。

堀尾)そしてまた将来ですね、アスリートを目指す子供は、しっかりとそういったことを学んでですね、情報を入手する必要があるかと思っております。

佐伯)例えばどういったものが?

堀尾)例えば風邪薬ですね。あと、せき止め薬、鼻水止め、それから輸入してるサプリメントがあるんですけど、個人輸入もありますよね。輸入のサプリメントの6割から7割にですね、ドーピングの禁止物質が入っていたという分析結果が出ておりますので、非常に危険です。

佐伯)え~!そうなんですか!?スポーツをやっているお子さんに良かれと思って親御さんがね、その輸入サプリを取り入れたら…っていう危険性があるんですね。

堀尾)そうですね。そしてまた漢方薬ってね、大丈夫じゃないかと思うじゃないですか?

佐伯)思います。

堀尾)で、また漢方じゃなくて生薬を含む胃腸薬ですね、そういったものも注意が必要になってきます。

佐伯)え~、そうなんですか!漢方とか生薬は大丈夫なのかと思ってました。なんか食品的なものの延長かなと。は~、そうなんですね。

堀尾)ちょっと逆でして。有名な葛根湯ってご存知ですかね。

佐伯)よく飲みます。

堀尾)風邪にいいとかですね。

佐伯)風邪のひき始めに。

堀尾)麻黄湯とか、レジの横にあったりするんですよね。

佐伯)ありますよね。

堀尾)これが駄目なんですね。

佐伯)あ、そうですか!

堀尾)今言った葛根湯、麻黄湯、喘息なんかに小青竜湯なんかね。

佐伯)ああ、なんか咳にいいって言いますよね。

堀尾)特にこの3つはですね、禁止物質が必ず含まれておりますので、絶対に駄目なんですね。

佐伯)え~っ!この身近なものでも駄目なんですね。

堀尾)はい。そしてまた漢方全般に言えることなんですけれども、漢方薬って植物なんですよ。で、広大な農地とかで、中国なんかそうですよね、いっぱい植えて採取するんですけど、紛れてですね、他の植物が入ってたりするんですね。

佐伯)ほ~。

堀尾)それを刈り取って作りますので、自然に生えていた微量の禁止物質っていうのが混入する可能性があります。そういったことで、漢方薬は全般に、もう使わないというのが原則になっています。

佐伯)そうなんですか、いや知りませんでした。

堀尾)漢方薬の代わりになる西洋の薬ってありますから、そちらを使ってくださいというふうなことですね。

佐伯)そちらで成分的に問題のないものを…

堀尾)禁止物質のないものを使えばいいってことになります。

佐伯)漢方薬は全般的にダメなんですね、これは知りませんでした。

堀尾)またですね、一部の滋養強壮薬とかドリンク剤ですね。

佐伯)あ~、ちょっとこのへんはダメそうな予感が(笑)

堀尾)元気になるよとかいうような。これ全部ではないんですけども、そういったものもダメですし、特に日本でも問題になりましてラグビーの選手がこれでドーピングに引っかかったんですけどね、毛生え薬ですね。

佐伯)は~!

堀尾)よく口髭とかあご髭とか生やす選手いますよね、そういう薬があるんですけど。

佐伯)え、そのため(髭を生やすため)に?

堀尾)そのために塗ってて、それでドーピングで引っかかったという例もあります。

佐伯)うわ~。

堀尾)またステロイドって有名なんですけれども、こういったものが入った座薬も禁止されております。

佐伯)そうですか。

堀尾)痔なんかに使うのありますよね。

佐伯)結構いろいろあるんですね。

堀尾)たくさんありますね。ですから学校薬剤師って、実はスポーツファーマシストっていうのがあるんですけどね、これも試験を受けてまた合格するということなんですけど、ドーピング専門薬剤師、このライセンスを取っている人も多いんですね。

佐伯)そうですか。

堀尾)はい。だからアスリートを目指す人ですね、子供もそうなんですけれども、どういったものがお薬で大丈夫なのかなっていう相談をですね、されるといいかなと思っております。保険薬局の入口にですね、「公認スポーツファーマシストがいますよ」というふうなステッカーを貼ってますので、ぜひそのステッカーがある薬局で相談してもらったら間違いないかなと思っております。

佐伯)そうですか、この情報はアスリートを目指しているお子さんをお持ちの親御さんには必須の情報になってきますね。

堀尾)プロスポーツ選手も大丈夫ですよ。

佐伯)そうですか(笑)じゃあもういろんな啓発活動をなさってるんですね。

堀尾)はい。

 


[ Playlist ]
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Sharon Jones & The Dap-Kings – How Long Do I Have To Wait For You
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Ásgeir – Summer Guest

Selected By Haruhiko Ohno


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