今週は、今月1日にようやく新型コロナの影響による休館が明けて再開した「坂の上の雲ミュージアム」の特設ブースから久々の生放送!しかも、4人の女性ゲストが登場するという華やかな回になりました。ミュージアム広報担当の村上比奈子さん、清水綾乃さんは、休館中にスタートした「坂の上の雲」ミュージアムのインスタグラムについて、ミュージアムショップの商品を手掛ける「mizu fleur」の武智博子さんと「椿のおもてなし」の渡部千恵美さんは、それぞれの特長ある商品について語ってくれました。まだ人の往来は盛んに…とは行きませんが、皆さんのお話を聞いていると、早くミュージアムを訪ねてみたくなった方も多いのでは。


 

佐伯)ミュージアムには、小説に関連したグッズ、それから愛媛のこだわりの品を揃えたショップがあって人気なんですけれども、さきほど覗いてみますと、ちょっと以前より品揃えが変わってるなというところに気がつきました。ここからはミュージアムショップの認定商品を作成されている「mizu fleur」の武智博子さんに加わっていただきます。よろしくお願いします。

武智)お願いします。

佐伯)まず「mizu fleur」、これどういう意味ですか?

武智)はい、私が初めて水引を使ってアクセサリーを作ったものが「梅結び」という結び方で結んだ、お花の形をしたアクセサリーだったんですね。で、お花がフランス語で「フルール」っていうのを調べて、水引の「水」と組み合わせて「mizu fleur(ミズフルール)」という名前にしました。

佐伯)すごく可愛らしい響きの言葉で。水引の「ミズ」とフランス語の花=フルールの造語なんですね。今、水引でアクセサリーとおっしゃいましたけれども、まあ四国中央はもちろん日本一の紙の町で有名ですし、水引も伝統工芸としてっていうのは愛媛の方ならご存知と思いますけど、アクセサリーっていうのは?

武智)そうですね、アクセサリーにして良かったなと思うのがやっぱり若い世代の方「これ水引で出来てるんです」って言ったら「水引ってなんですか?」っていう風に聞かれることもありまして、その時に「ご祝儀袋に飾ってある飾りなんですよ」っていうことを伝えしたら、そこでもまた驚かれることがありまして、作り手としてもですね、なかなかご祝儀袋でしか普段見ることのない水引をアクセサリーにすることで身近なものに感じてもらえて、もっと知ってもらえるきっかけになったらなと言うことで。そう、知ってもらえるというところがすごく嬉しいですね。

佐伯)それでアクセサリーを作り始めたということなんですね。そもそもこの愛媛で、と言うか水引自体の歴史っていうのは長いものなんですか?

武智)そうですね、諸説あるんですけども、まず飛鳥時代まで遡ります。

佐伯)飛鳥時代、聖徳太子の時代。

武智)そうです!その聖徳太子の命を受けた遣隋使の小野妹子が贈り物を持って帰ったんですよね。その贈り物が、紅白に染められた麻紐で結ばれていたんですね。これがどういう事を意味しているかと言いますと、真心がこもった品物であるっていうことを表していまして、それが水引の起源となっています。

佐伯)そうなんですね。じゃ、海を渡ってやって来たという。じゃあ、そこからずっとこの歴史は続いている?

武智)そこから平安時代になりまして、紙をこよりにして髪を束ねる元結が作られるようになったんですけども、それまでは麻ひもだった水引もこのころから紙へと変わり元結の素材になっていきました。

佐伯)そうなんですね。お侍さんが髷を結ったりしてたのも全部水引の形、紙の紐だったんですね。でも、となると、この「坂の上の雲」の小説の時代、髷って切りますよね。

武智)そうなんですよ、「坂の上の雲」の時代、明治時代になりまして、政府が髷を切ることを認めた断髪令を出したんですけど、それがきっかけでやっぱり元結の使用が激減していって生産が少なくなっていくんですね。で、ここ愛媛ではその水引を結納品などの飾りなんかを作る工芸品「水引細工」として形を変えて継承されてきました。

佐伯)そういう分岐点があったんですね。村上さん、「坂の上の雲」の小説の中にも髷にまつわるエピソードってありますよね。

村上)はい。正岡子規のおじいさん、祖父は松山藩に仕える儒学者だったんですが、大の西洋嫌いだったので、ご自身も髷のまま生涯を通し、初孫であった子規に対しても周りの子供たちが断髪する中、髷を切らせなかったというエピソードが登場します。

佐伯)それ、なんか覚えてますよ。明治維新になって髪を結うのに使う水引が激減している中で子規は数少ない愛用者だったという感じですけれども(笑)。でも、その髷結いとしての用途が減って、さっきおっしゃった結納品など新たな形で歴史を繋いでいったということでしたが、その水引が令和の今になって武智さんの手にかかると、今度はアクセサリーという形に変えてこのミュージアムに置かれてるっていうのは、すごく不思議なご縁ですね。面白い。で、具体的にはどういったアクセサリーがあるんでしょうか?

武智)イヤリングですとかストラップ、あと本のしおりですとかマグネットなどをこちらに置かせて頂いてます。

 

佐伯)水引のアクセサリーってどんな感じだろうってね、ラジオをお聴きの方も思われるかもしれませんけれども、すごくおしゃれなんですよね。

村上)かわいいですよね。

佐伯)じつは以前、この番組でも皆さんにプレゼントということで、水引で雲をかたどった形のマグネットをプレゼントさせて頂いたことがあるんですが、あの時もたくさんご応募をいただきまして。きっと当たった方はご愛用くださってると思うんですが、いろんな結び方のアレンジで形ですとか、また大きさですとか、雰囲気が全然違ってくるんですね。

武智)そうなんですよ。

佐伯)あと色も物凄く鮮やかなものが多いんですけど、これ水引って何色ぐらいあるんですか?

武智)本当にいろんな色が。赤一色取っても一つじゃないんですよね。微妙に違う赤がたくさんあります。

佐伯)赤だけでも、じゃあ3、4種類とは言わないぐらい?

武智)あると思います。

佐伯)今ちょっと手元に来たのが先程ご紹介したミュージアムの特製のマグネット。これはブルー、それからちょっと水色っぽいのと、あとシルバーっぽいのと白と。何結びっていうんですか?

武智)こちらがですね、雲なんですけど、これが松結びという水引の伝統的な結び方になります。

佐伯)あ、伝統的な結び方でこの雲の形ができてるんですね。やっぱり縁起のいい感じで。

武智)そうですね。

佐伯)水引のアクセサリーは村上さん、ミュージアムにしか置いてない?

村上)ミュージアムはもちろんなんですが、道後にあるセレクトショップ「道後歩音」さんのほうにも置いてあります。

佐伯)本当いいですよね、こういう形であれば、さっきおっしゃったように、ご祝儀袋とか結納とかになるともう特別な時のものですけれども、普段身近に水引を楽しめるっていうのが。

武智)はい。

     

 


[ Playlist ]
Ásgeir – Summer Guest
Madeleine Peyroux – I’m All Right
The Beatles – Yellow Submarine
Linda Lewis – Old Smokey

Selected By Haruhiko Ohno


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