今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、社会福祉法人山路白鳩福祉会白鳩保育園総括園長の小笠原美智恵さん。4年前から取り組んでいる「お遍路保育」について、お話を伺いました。四国が誇るお遍路文化に触れることで、園児たちの可能性を引き出そうと始めて以来、小笠原さん自身が思っていた以上の変化が起こっているそうです。近日中に「お遍路保育」についての本も出版予定だとか。今回のキーワードは「お遍路を知ろう」「歩き遍路を体験しよう」「お接待をしよう」という3つです。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。
佐伯)実際にお遍路さんたちが喜ぶ姿を目にして、子供たちはどんな様子でした?
小笠原)子供たちはね、「全然見も知らない人にね、お茶あげるだけで先生『ありがとう』って言ってくれたのよ」ってね、「『ありがとう』って、もうすごい嬉しかった」と。普通はね、何かして褒められることで「ありがとう」ってお母さんが言ってくれた嬉しいのとまた違った意味でのね、知らない方がお茶一杯あげることで人が喜ぶことをしたらこんなに喜んでくれることを体験したと思いますね。
佐伯)は~。やっぱり子供たちも、いつも身近にいる方に「ありがとう」って言われるのと、その見知らぬお遍路さんに「ありがとう」って言われることのニュアンスの違いみたいなのも敏感に感じ取ってるんですね。
小笠原)そうですよね、何か人との触れ合いというか、本当に一瞬のその「ありがとう」っていう気持ちの意味がね、やっぱし本当に。やっぱ皆あがることもなくて堂々とね、おばあちゃんにしてあげるということで、「ありがとう」って言われたら、もうとっても嬉しそうに生き生きした子供たちの姿が見えましたね。
佐伯)だけど大人になってからでも、初めての人に声をかけるのってちょっと勇気がいるじゃないですか。
小笠原)そうですよね、戸惑う人もいると思うんですけど、小さいときから慣れて、やっぱし困った人に助けてあげないかんとかね、そういう優しい思いやりの気持ちが本当に育っていくのはこれしかないなと感じた次第です。
佐伯)それが自然にね。小笠原さんが特に感じる子供たちの変化っていうのはどんなところですか?
小笠原)子供たちが自然と周りの人に気づくとか、それで人が喜ぶ姿を見て本当に自分がもう一つ嬉しいという、そういう感じを感じ取れるっていうんかな。気持ち良く何でもしてあげるという動作にも繋がってきてます。やけん黙ってじっとするんじゃなくて、「僕がしてあげたら、きっとあの人が」という心遣いができるようなね、とっても本当思いやりのある心が育っていけるんじゃないかな。というのは私らでも、もう保育園行ったとき私は遅く登園する時があるんですよね。その時でもね、どこからかどっからでも「園長先生おはよう!」っていうその声もね、もう各場所から聞こえてくるんですよ。だからなんかね、本当「ありがとう!おはよう!」って手を挙げますけど、これはそういうお遍路体験した中で、声をかけるっていうのは躊躇なくね、「来たの?」「来たよ!」っていう喜ぶような感じが、波動が伝わってくるんですよね。やけんもう本当に嬉しくて、もう「お~い、おはよう!」ってこっちもおらんで(※叫んで)しまうんですけどね。
佐伯)そうして挨拶、声をかけることで喜んでもらえるっていうのがもう実体験として染み込んでるんですね。
小笠原)それは本当にそう思いますよ。それで「誰それのかあちゃんも迎えに来たよ」とか言って子供たちがね、お互いに友達が気がつかなかったらね、カバン持って行ってあげて一緒に手伝ってあげるとかね。もう本当にあの姿が自然と見られるよね。転んだら「大丈夫?」言うてね、一緒に行ってあげるとかね。ほんで先生のとこへ「ちょっとこけたんよ」って言うて連れて行ってあげる、おしゃまさんの子もいっぱい出てきて本当にね、見よったらね、なんか本当に大人がこんな人ぎり(※ばかり)おったらすごいなと思うけどね、子供は素直です。
佐伯)ね。
小笠原)正直で素直です、本当に。
佐伯)「挨拶をしましょう」って言葉で言われるんじゃなくって、自分が体験したことの中からそれが素晴らしいことなんだっていうのを理解する。やっぱり体験って大切なんですね!
小笠原)本当にそうだと思います。そういう中で生まれるんよね。
[ Playlist ]
The Thrills – Don’t Play It Cool
Povo – In the Morning Featuring Saidah Baba Talibah
Suss von Ahn – Alone Again, Naturally
Linda Lewis – Spring Song
Radiohead – No Surprises
Selected By Haruhiko Ohno