今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、ユナイテッドシルク株式会社代表取締役社長の河合崇さん。今月、松山市のロープウェイ街に「愛媛シルクショールーム」がオープン。注目を集めている愛媛産シルクについて伺いました。かつては、あの女王の戴冠式にも使われるほど世界的に評価されていたって、御存知でした?


 

佐伯)愛媛産シルクの他にない魅力って言いますと?

河合)はい、それで申しますと「伊予生糸」と書いて「いよいと」と命名されたこの糸がですね、本当にフワッと柔らかいというですね、そして高級感があって光沢がある。こういったところがすごく魅力じゃないかなという風に思っております。

佐伯)今おっしゃった「いよいと」、「伊予」という漢字に「生の糸」と書いて「いよいと」と読むということなんですけれども、そのふんわりした「伊予生糸」になるっていうのは技術的な工夫というのがあるんですか?

河合)あの通常はですね、繭から生糸を作る場合にですね、高速のはやく回す機械で作ってます。ガーッと機械の回転を上げてですね、生産性を上げて生糸を作る。他方ですね、この愛媛県野村の方ではですね、ちょっと専門用語なんですけども「多條繰糸機」というですね、ゆっくりと丁寧に糸を引き出していく、そういう機械がございましてですね、そういった機械で本当にゆっくりと大量生産はできないんですけれども丁寧に糸を引き出す。なので本当に高級な、そして貴重な糸ができてるというところでございます。

佐伯)効率重視で勢いよくガーッって糸を引っ張り出すのと、ゆっくりやさしく引っ張り出すのとでは、やはり出来上がってくる糸の風合いが変わってくるんですか?

河合)そうですね、なんと申しますか生糸を大量に機械でピンと張った状態で作るよりも、ちょっとゆっくりと丁寧にやるとふわっと柔らかくなってきて、そしてまぁ結果的にですね、それで光沢がいいとか高級感がある、こういったものになるという風に思いますので。そういった点ではこの4つしかない生糸工場、日本の中でですね、そしてその中でさらに大量生産には向かないんですけれども丁寧に野村の方が作られた、本当に貴重な存在だという風に思います。

佐伯)ちょっと例えがおかしいかもしれませんが、髪の毛でも梳かす時にビューっと勢いよくしたら引っかかってテンションがかかるって言うかピーンってなっちゃいますけど、そ~っと梳かして頂くとやわらかく梳かすことができるみたいなイメージですかね。

河合)そうですね、まさに佐伯さんがおっしゃったように、ピーンとなると突っ張るというかですね、なるんですけども、やっぱりゆっくり丁寧にやるとしなやかになってくるということで、やはりそのイメージっていうのは今おっしゃったのとピタッとはまると思います。

佐伯)そうして引き出された糸を撚り合わせて織っていく。その柔らかくするっていうところの高品質さっていうのは海外にも知られていることなんですか?

河合)そうですね、以前はですね、この「伊予生糸」と書いて「いよいと」もございますが、こちらかつてカメリアという商標で海外にも輸出されてまして、以前ですが英国のですね、イギリスのエリザベス女王のですね、戴冠式に…

佐伯)え!

河合)この王室に使われた、こういう記録も残っております。

佐伯)へ~、戴冠式!

河合)また国内で申しますと、伊勢神宮の式年遷宮の御料糸ですね、言わゆる献上する糸として納められてきました。こちらもですね15年に一度の式典のためにですね、まあ納められてるということで、本当に世界で認められ、そして国内でもそういった所に納められているということで、格式の高い、そんな「伊予生糸」だなという風に思っております。

     

 


[ Playlist ]
Neil Young – One Of These Days
Kings of Convenience – Mrs. Cold
Nick Drake – Place To Be
Yumi Zouma – Half Hour
Seu Jorge – Ziggy Stardust

Selected By Haruhiko Ohno


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