今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、愛媛県漁業協同組合JFえひめの直販担当部長・加洲牧さん。6月の誕生石である真珠。その歴史は紀元前3000年よりも前にさかのぼり、日本でも日本書紀や古事記に既に登場しています。愛媛では明治時代に南宇和郡御荘村で養殖が始まったとか。今では真珠の日本三大産地の一つとして知られていますよね。加州さんには、愛媛産真珠の素晴らしさや、それを知ってもらうための新たな取組みなどを伺いましたが、中にはこんな場面も。
佐伯)きょうはスタジオに総額200万円相当の真珠をお持ち頂いているんですが、何か実験をしてくださるんですって?
加州)はい。本物とイミテーションの見分け方をお教えしたいと思っております。
佐伯)どのようにすればわかるんでしょうか?
加州)いちばん簡単な方法が、真珠と真珠をこすり合わせる…
佐伯)え!?
加州)するとですね、イミテーションの場合は表面がコーティングされてますのでツルッツルなんですが、本物の真珠の場合は炭酸カルシウムの結晶で表面ができてますので引っかかりがあります。これは、やってもらえばすぐわかります。
佐伯)でも、ちょっと待ってください。真珠の鑑定とかする時に「傷が…」とか言うんですけど、こすり合わせちゃったりして大丈夫なんですか?
加州)真珠と真珠はそんなに、よほど強い力でしない限りは傷ついたりしませんので、それは大丈夫です。
佐伯)そうなんですか。
加州)これがイミテーションです。こすってもらったらツルツルなんで。
佐伯)じゃ、実際にイミテーションの方を…、このイミテーションだいぶん綺麗ですけどね(笑)。こすると…、あ、全然何の引っかかりもなくツルツルで、はい。
加州)じゃあ、これをこすってもらったら。
佐伯)もう一つは本物の真珠。え、本当に大丈夫ですか、こすり合わせて。
加州)それはボロ真珠ですし大丈夫です。
佐伯)ボロ真珠って言っても本物ですから。はい、じゃ本当にこすり合わせてみます。…あ~!
加州)違うでしょ。
佐伯)全然違う!本当ですね、ザラザラしてるっていうか。
加州)ザラザラしてますね、それが本当ですね。
佐伯)え~、こんなに違うものですか!びっくりしました。イミテーションは本当にツルッツルっていう感じですが。
加州)あの、よく形見で頂いたとかで「これ本物でしょうか?」ってよく展示会にお持ちいただくんですけど、「こすってもいいですか?」って聞いてこすると、もう大概イミテーションなんですよ。
佐伯)え~~~、それはツライ。いや、こういう見分け方があるんですね。
加州)はい。その他にもですね、穴口を見ればも、その大きいか小さいかとかでもわかりますし。
佐伯)穴口とは?
加州)糸が通るこの穴ですね、真珠の穴ところが大きかったりとかしますんで、本物の穴と比べとかなり大きいんで、すぐそれでも分かります。
佐伯)穴口が大きくない方が本物っていうこと?
加州)そうです。またその他にも、えくぼがあるかないか。えくぼっていうのは小さなボコッと出たものとか引っ込んだ小傷なんですが、そういうのがあるかないか。イミテーションは無いですんで、それ見ても分かりますし。その他で言えば、本物のネックレスは、一番端に行くほど小さい玉になって、真ん中に行けば行くほど0.5ミリサイズで大きくなってるんですが、イミテーションは全部同じ大きさなんで、それ見てもすぐわかります。
佐伯)珠の揃い方が。そうだ、本物のネックレスってレイヤーになってますよね。だから商品も7.5ミリから8ミリ珠みたいな形で売ってますもんね。
加州)そうです。
佐伯)そういうことですか。ぜひラジオをお聴きの方も参考になさってください。この真珠の輝きが天然で出来るっていうのが凄いですよね。
加州)そこがまあ真珠おn素晴らしさであるんですけれども。
佐伯)それが「巻き」っていうことになるんですか?
加州)そうですね、結局真珠層というのは一層が0.3から0.8ミクロンという…
佐伯)ミクロン!
加州)1ミクロンが1/1000ミリなんですが、それが千層から二千層重なって出来上がっておりますので、なかなか繊細なものです。その真珠層が繊細に重なっているかバラバラに重なってるかで、その照りが全然違ってきますので、なかなか面白いところではありますけれどもね。
佐伯)そうですね。その巻き厚は育てている期間によっても変わってくるんですよね?
加州)そうですね、「当年物」と「越し物」とあるんですが…
佐伯)聞いたことあります。
加州)核入れから浜揚げまで一年未満のものを「当年物」と言います。で、一年以上のものを「越し物」って言うんですが、そしたら「越し物」だったら真珠層が厚くていい真珠ができるのかと言えばそうでもなくてですね。
佐伯)あら。
加州)海に入れてる期間が長いですから取れる量もかなり少なくなりますし、巻きは厚いんですけれども綺麗に巻いてなかったら照りも出ないですし。形が結構、厚巻きすぎると歪んできたりする珠も多かったりしてですね。ただ、ごく一部なんですけど本当にいい球はやはり「越し物」の方がいいですけれども。
佐伯)あの、いわゆる花珠と言われるような珠?
加州)あの~、この花珠っていうのがですね、生産者が言われている花珠っていうのは、もう浜揚げ珠の中でもピラミッドの一番てっぺんのわずか数パーセントのものを花珠って呼んでるんですけれども、最近よくインターネットとかで「花珠です」とかよく出てるんですけれども、この花珠っていうのが花珠鑑別書のことでですね、なかなかその鑑別書に基準がないもんですから、今はもうなんでもかんでも花珠になってですね…
佐伯)ありゃ。
加州)ただ、本来その生産者が言っている浜揚げ珠で本当にネックレスを作ると100万円以上確実にしてきますんで。結構その花珠っていう言葉が一人歩きしてるところはあるんですけれどもね。
[ Playlist ]
The Thrills – Don’t Play It Cool
Radiohead – No Surprises
Bibio – C’est La Vie
Erin Bode – Wise Man
Nicole Willis & The Soul Investigators – One In A Million
Everything But The Girl – Rollercoaster
Selected By Haruhiko Ohno