今週、坂の上に訪ねて来て下さったのは、愛媛県歴史文化博物館の学芸員・井上淳さん。コロナ禍のため5月19日(水)まで休館予定の歴博ですが、御家庭で歴史散歩を楽しんでもらおうと、収蔵している古地図などをデジタル化した「絵図・絵巻デジタルアーカイブ」をホームぺージで公開しています。デジタル化によって、実は展示している状態だと見えにくかった細部まで確認することができ、面白い発見が目白押し。思わず夢中になって古地図を見るという人生初の体験に興奮してしまいました!


 

佐伯)現存12天守の一つである宇和島城ですけれども…

井上)宇和島城は江戸時代の真ん中ぐらいの時期のものと幕末の絵図と二つ残ってるっていう事でそれを比べてみると、また色々面白いってことですね。で、ちょっと古い方のやつが宇和島城下絵図って書かれてるやつですね。今の画面上左側が北になってますね。で、真ん中のところに天守、お城があるっていうことで…。

佐伯)これ…周り…海ですよね?

井上)そうなんですね。

佐伯)城山のすぐ下が海ですよね。

井上)そうですね、北側と西側っていうのが海で描かれていてですね、今かなり埋め立てが進んで、もう周り全部陸地っていう感じなんですけれども、江戸時代はこうだったんだなっていうことなんですね。

佐伯)こんな城山のキワキワまで海だったんですね!

井上)そうなんです。ですんで宇和島城は平山城でもあるんだけれども、こういう海に面した海城としての性格もあってということで、すぐ近くまで船でお城に乗り入れることができるっていう造りになってますね。

佐伯)まさにそれが本当に一目瞭然の絵図!

井上)そうですね。敵が攻めようと思っても、この海から迫って戦うっていうのは難しいんですね、船じゃないと近づけないんで。やっぱり防護上もこういう海に面してるっていうのは有利だったということです。で、周りに堀が巡っているっていう事で、それで守りを固めてるんですけど、その形がちょっと五角形みたいになってるのが宇和島城の特徴ですね。

佐伯)確かに!お堀の形が四角じゃなくて五角になってる。

井上)そうですね。結構四角だったりっていうほうが多いんですけど、こういう五角形になってるっていうのは、やっぱりちょっと攻めにくくしてるような工夫なのかなということですね。

佐伯)なるほど~。これも今の地図と全然違いますもんね。

井上)そうですね。この堀になってる部分も、もう今は埋め立てられていて国道になってたりとか、別の用途に変わってるんですね。そういったものも今の地図と見比べたりとかしながら探してみると面白いんじゃないかなと思いますね。

佐伯)これお城の周りに住んでらっしゃる方のお名前も細々書かれてまして。井関さんがいたり、中里さんがいたり。

井上)そうですね。けっこう描かれる土地の面積に違いみたいなのが。

佐伯)あ、大きなお屋敷も。

井上)堀のすぐ南側に結構大きいお屋敷がずらっと並んでるんですね。これが宇和島藩の家老ということで、武士の中では、仕えてる藩士の中ではトップクラスの人々。桜田さんとかですね、神尾さんとかその辺り、宍戸さんとかが並んでるんですけど。

佐伯)神尾さんって家老だったんですね。

井上)そうです。

佐伯)知り合いに神尾さんいるんです。もしかしたら子孫かもしれない?!

井上)そうかもしれないですね(笑)。で、土地の広さがですね、1339坪とかって書かれてますね。

佐伯)えっ?…お家ですよね?家老ぐらいになると、そんな大きなお屋敷に皆住んでたんですね。この広さの数字も書いてるってことですか?

井上)そうですね、名前の横に赤い文字で書いてあるのが、それぞれの敷地の面積っていうことで。

佐伯)これもデジタルズームならではの鮮明さ!これが江戸時代の…

井上)真ん中ぐらいですね。

佐伯)1700年代の中ごろですかね。

井上)1700年代のちょっと終わりぐらいになってくるんですけれども、その頃のものなんです。あと今の地図とちょっと比べてみてですね…、今の地図って結構記号化されてますよね。市役所のマークとか学校のマークとかっていうことで、絵としては普通建物の様子とか描かないんですけど、この絵図で例えばお城の天守のある城山のあたりとかをズームしていくとですね、天守は石垣があって、3階建ての天守になっていて、入り口にちょっと玄関状の表現とかがあったりとかして、今の天守の姿を結構忠実に描いてるんだなーっていう。

佐伯)そしてシャチホコは大きいという(笑)。(当時の勢力を大きく示すため、シャチホコはデフォルメして大きく描かれていたそうです)

井上)はい(笑)。こういう風に江戸時代の絵図って姿絵にしてくれてるっていうので、けっこう見ていて今の地図を見るよりもかえって親しみやすいというようなところもあって。

佐伯)そうですね!

井上)で、今は天守しか残ってないんですけど、その周りをぐるっと櫓があったりとか。天守の前に大きい白壁の建物があるんですけれども、これが台所と呼ばれてるところで、籠城する時の物資とかそういうものをストックしたりとか、料理とかができるような施設みたいなのがあったっていう…

佐伯)かなり大きいですね。

井上)そうですね、そういうのが本丸の上のところに、今は何もないんですけど、この辺りにこんな大きい建物がバーンと建ってたんだなとか、そういうことも分かるんじゃないかなと思いますね。

佐伯)確かにこういうの見てると「実際今どうなってるのか」ってね、コロナが落ち着いたらぜひ見に行ってみたいなっていう気になりますね。

 

 

 


[ Playlist ]
Beat Kaestli – You’d Be So Nice To Come Home To
Linda Lewis – Spring Song
The Fifth Avenue Band – One Way Or The Other
Rumer – Come Saturday Morning

Selected By Haruhiko Ohno


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