今週は、南海放送のスタジオから生放送!4月28日に開館14周年を迎える「坂の上の雲ミュージアム」の総館長・松本啓治さんと館長・石丸耕一さんをゲストに、小説「坂の上の雲」にちなんだクイズを出題して頂きつつ、問題にまつわるエピソードを紹介してもらいました。5問あるクイズのうち第3問は「秋山真之、正岡子規、夏目漱石の三人が共に学んだ学校の名前は?」というもの。正解は「東京大学予備門」。当時唯一の大学であった東京大学に入るための学校だったんですが、それにちなんでこんなエピソードが…


 

石丸)入試の時の事を漱石や子規が書いたものが残ってるんですけど、漱石は数学の代数の試験が難しくて、隣にいた橋本さんという人に教えてもらって、そのおかげでやっと入学したと言ってるんです。

佐伯)橋本さん!漱石の恩人なんですね。

石丸)そうですね(笑)。でもですね、漱石に教えてあげた当の橋本さんは落ちているんです。

佐伯)え~~~。そんなことあるんですか!?はぁ。

石丸)それで子規の方はといえばですね、本人は受験するのにまだ自信がなかったんですね。その力はないと思っていたんで、力試しのためにまぁ一回受けてみようと受けたところ、たまたま受かったっていうことなんです。

佐伯)いやいや、たまたまで受かるような学校ではないと思いますけれども(笑)。

石丸)特に英語の力が自分にはまだ足りないなと思って共立学校というところに通っていたんですけど、それと並行して英語の塾みたいな所も行ってたりしてたんですけど。この試験の時はですね、同級生達と並んで座っていたんです、予備門の試験の時。これは彼らの作戦で、隣から順番に教え合いっこするんですね。で、子規もわからない英語の訳を隣の人に教えてもらったりして、なんとか試験は乗り切って受かったということなんです。

佐伯)なんとも長閑なお話(笑)

石丸)それで、漱石と同じことが起きるんですけど。

佐伯)え?

石丸)英語で子規を助けた隣の人は落ちちゃったんですね。

佐伯)なんと!じゃあ、二人とも運が強かったというのがあったのかもしれませんね。

石丸)でも学生さんたちですね、これは決して見習わないで、やらないでください。

佐伯)もちろん、そうですよ!不正はいけません!

石丸)子規もですね、実はこのこと、自分が試験でカンニングしたことについて、後で深く反省してます。それからは絶対やらないぞというふうなことをですね、言われたりしてるんですね。

佐伯)意外なエピソード登場しましたけれども(笑)、実際その予備門に入ってからはどうだったんでしょう?

石丸)人の力を借りて入学したということもあるんですけど、子規もすごく大変だったんです。

佐伯)入ってから大変だった?

石丸)そうです。時には英単語を覚えるのに徹夜したりすることもあったという風に言ってるんですけど、周りがあまりにも優秀な人たちなので自信をなくしてしまったりすることもあったようです。

佐伯)あ~、これ今でも東大生にはあるらしいですよ。麻布とかそういう、みんながごっそり入ってくる学校の人と、地方の学校の超エリート「神童」と言われてきた人が、ガチャって同じ学校に入った時に「あれ、オレ特別じゃなかったのか」っていう…。

石丸)松山では本当一番の超エリートですけど…

佐伯)そうですかぁ。

石丸)科目の中で子規を最も苦しめたのが数学だったんです。なぜかと言うと、この時の数学の先生がですね、授業は全部英語でやるんですね。

佐伯)へ~~~。

石丸)英語はもともと苦手。そのわからない英語で、さらに難しい数学の授業を受けなければならない。想像するだけでちょっと恐ろしくなるんですけど。子規は数学の中でも幾何学の成績が悪くて、第一年目を落第してしまうことになるんです。

佐伯)落第しちゃったんですね。

石丸)正岡子規と秋山真之の予備門時代の交流というのはよく知られているところなんですけど、実はその秋山真之は子規と同じ年じゃなくて1年遅れて入学してるんです。この時に子規が落第したことで、一年遅れて入ってきた真之と同級生になるっていうことなんですね。

佐伯)そうだったんですね~。二人の学生生活はどんな感じだったんでしょう?

石丸)予備門に入ってからですね、勉強は大変だったんですけど、それと並行してですね、娘義太夫っていうふうな…当時のアイドルですね。

佐伯)ほう!

石丸)明治時代のアイドルなんですけど、女性が語る浄瑠璃ですね。そういう娘義太夫節に熱中して寄席通いをしたりとか、鎌倉まで無銭旅行を行ったり、スポーツですね、特にベースボールに熱中したりという風な感じで、青春時代も謳歌していますね、彼らは。真之は、学生時代には子規と同じ下宿に住んでいたりもしたんですね。ですけど、予備門で一年でもう方向を転じて海軍兵学校に入学して、子規と方向は違えて海軍軍人としての道を歩み始めるんです。

 

 

 


[ Playlist ]
Belle & Sebastian – Asleep On A Sunbeam
Batacotó – Camaleao
Stereophonics – Nice to be out
Norah Jones – Toes

Selected By Haruhiko Ohno


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