2021年最初に坂の上に訪ねて来て下さったのは、三津浜にぎわい創出事務所「ミツハマル」の楠香奈子さん。明治時代に秋山兄弟や子規が志を抱いて船出していった港町・三津。松山市の「坂の上の雲のまちづくり」サブセンターゾーンにも指定されています。その三津にUターンして、三津にハマル雰囲気づくりやハマレる環境づくりをしている楠さん。街の空き家を調査して移住希望の人やお店をやりたい人に紹介するマッチング事業やイベントなどを手掛け、今、三津がどんどん輝きを取り戻しているんです!


 

佐伯)賑わいを取り戻してきている三津なんですけれども、歴史を紐解きますと、最初にも言いましたけど本当海運の要衝ということで、すごく歴史的にも栄えてきた場所なんですよね。

楠)そうですね、移動手段が船しかなかった時代っていうのが、やっぱり三津を拠点にして多くの人が街を行き交って、それこそ道後まで行ったとか、そういう話をよく聞きますので、当時はすごく賑わってたらしいです。

佐伯)電車もね、三津から市内に走ってっていうのも早かったですしね。で、昭和の終わりぐらいまではとにかく栄えていたと。私の母や祖母から「まあとにかく以前は栄えていた」という話をやたら聞かされて育ったんですけれども。あれ、いつかな…昭和60…本当昭和の終わりぐらいまでは夏には土曜夜市があったりとか…

楠)ありました、当時は。

佐伯)さらに母が子供だった頃とかは…今あの松山まつり野球拳おどり、いろんな連が出て中央商店街を練り歩きますけれども、私がたぶん子供の時までは三津浜商店街でも同じように連が出て踊りをやってた、はずです。

楠)本当ですか!?ちょっとそれは私は見たことなかったですけど。でもパレードは私の時代にもあります。子供達が楽器吹いたり、そういう金管バンドみたいなの。花火大会の時に。

佐伯)それ、平成の初めごろ?

楠)いえいえ、全然。昭和の…

佐伯)同じぐらい?

楠)同じぐらいだと思います(笑)

佐伯)それがだんだん…これ、どこの商店街もそうだと思うんですけれども、だんだん大型スーパーなどが建つようになって、商店が並んでる、いわゆる商店街というのが寂れていくっていう。ご多分に漏れず三津もっていう感じだったんですかね。そんな中で、空き家に着目されたと言うか、ここをなんとか盛り上げようっていうことになっていたんですか?

楠)そうですね。三津浜は空襲から逃れたということもあって、江戸時代から続く古い町並みとか明治のモダンな洋風建築とかが結構点在しているんです。今もそれが残ってたりするんですけど…

佐伯)でも、その素敵な古民家が空き家になって、それが増えてきたっていう感じなんですか?

楠)そうですね。やっぱり、このまま壊して町並みが変わってしまうのはとてももったいないという地元の人の思いとか、活用してもらいたいという家主さんの思いとか、古民家や小さな町で暮らしてみたいという人とかもどんどん出てきましたので、そういう人と人とを繋げるマッチングシステムとかを作って、今ミツハマルがやってるような「町家バンク」という窓口を運営させて頂いている感じです。

佐伯)たしかに、その古民家ブームみたいなところがあって、「興味はあるけど、じゃ、どこに連絡したらいいのか」って。個々個別の家主さんに連絡するわけにはいけませんもんね。そういう方にはマッチングシステムっていうの、すごく良かったんじゃないですかね。

楠)窓口があるって言うのはありがたいというのは、すごい言われます。

佐伯)そうですよね。で、ミツハマルさんにアプローチすれば、一軒だけじゃなくって「こんなとこもありますよ」とか「他にもこんなのどうですか」とかいうご提案もしていただけるわけでしょ?

楠)一応その用途に応じて、御提案はさせて頂いてます。

佐伯)どのぐらいの方が、これまで移り住んで来られたんですか?

楠)マッチング数で言うと、今現在までで70組ぐらいです。

佐伯)すごいですね!

楠)そうですね、ちっちゃい港町で70組っていうのは、結構多いんじゃないかと…

佐伯)いや、そうとう多いと思いますよ(笑)。先ほどシェアショップのお話がありましたけど、こういうのも何軒かあるんですか?

楠)そうですね、そういうのもどんどん増やしていけたらなと思ってまして。2年前ですと、「みつのほ」っていう、築150年の古民家をリノベーションして作ったシェアショップなんですけど、本当に濱田医院とはまた全然違う感じの…、よく“うなぎの寝床”って言われる建物があると思うんですけど…

佐伯)入り口が狭くて、奥に細長~い。

楠)だから道と道までがずっとその建物っていう、道路と道路までが建物で細長~い建物なんですけど、そこが「みつのほ」っていう名前で2年前にオープンしまして、渡し船の近くにある…。こちらに関しては雑貨屋さんとかの物販のお店が比較的多くて、渡し船に近くて観光客も多いということもあって、そういうお店がたまたま入ってくださってるっていうのがあるんですけど。で、もう一つ昨年オープンしたものが、三津の中でも住宅街の方になるんですけど、「みつのわ」っていう名前で。さっきのが「ほ」だったんですけど、こっちは「みつのわ」っていう名前なんです。

佐伯)それ、何か意味があるんですか?

楠)「みつのほ」に関しては、元々「三穂町(みほまち)」っていう…

佐伯)ああ!地名。

楠)はい、地名を元にしてて、「みつのわ」に関しては、「ミツワ飲料」っていう所だったんですよ、もともと。

佐伯)へ~。

楠)飲み物屋さん、ドリンク屋さんだったそうなんです。で、そこのオーナーさんの思いもあって、そういう名前を残しつつ「みつのわ」にさせて頂きました。ここも去年オープンして、住宅街にあるということもあって、物販系ではなくって鍼灸院であったりとかヘッドスパとかネイルサロンとか、1階は自然派食堂ベジタブルさんっていうのが入ってるんですけど。そういう感じで。

佐伯)それぞれに個性的!なんですね~。

 


[ Playlist ]
Barbara Acklin – Love Makes A Woman
Todd Rundgren – It Wouldn’t Have Made Any Difference
Ásgeir – In The Silence
Elvis Costello – Alison

Selected By Haruhiko Ohno


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