今回、坂の上に訪ねて来て下さったのは、松山市住吉町に4月オープンした「木生活」の代表・宮浦英樹さん。木製の雑貨などを製造・販売するお店で扱う商品の種類は、なんと100種類を超えるというから驚きです!スタジオにも、木製の腕時計やイヤリング、ボールペンにブックカバー、名刺入れなど色んな種類の木製品を持ってきてくださいました。宮浦さんが木にこだわったお店を開いた背景には、愛媛のこんな地域性もあったんです。


 

佐伯)愛媛県って、県政の番組などで「県産材を使いましょうキャンペーン」みたいなものが行われていたりだとか、けっこう森林県でもあるというか、そういうイメージを私個人は持ってたんですけど、実際のところどうなんですか?

宮浦)そうですね、愛媛県は森林面積が比較的多くてですね。それと木材の生産量、丸太として山から生産される量も結構全国でも有数な県になります。

佐伯)全国有数なんですね。

宮浦)スギとヒノキ、全国的にこちらがメインになってくるんですけど、ヒノキは過去に1位になったり。今は多分2位から3位ぐらいを行ったり来たりしてるような状況ですけれど。ヒノキに関しては全国でも有数な、トップ3に入るくらいの生産県ですね。スギも全国で7位前後を多分行ったり来たりしてるようなところで、合わせるとかなり上位の方になってくると思います。

佐伯)なるほど。その量もさることながら、質はいかがですか?

宮浦)愛媛県はやっぱり急峻な地形が多くてですね、なかなか木材にとっては厳しい条件になってくるんですけれども、そういうところで育った木材をですね、私たちは「目が込む」って言うんですけど、年輪が密に詰まってまして、そこが強度の元になってきて非常に良い材質の、建築材として非常に良い木材が取れるかなというところです。

佐伯)そうなんですね。そういった木材をブランド化していたりもしますよね。

宮浦)そうですね、愛媛県はそういう調査をしまして、ヤング係数ですとか強度を測って「媛スギ」「媛ヒノキ」というブランドにして、建築材として全国的にアピールしているところですね。

佐伯)ヤング係数っていうのはどんなものになるんですか?

宮浦)住宅を建築する時に、私たち専門用語で「横架材」って言うんですけど、屋根とか二階とかを支える、横に走らす…皆さんのわかりやすいイメージでいうと梁とか桁とかいう材があるんですけれど、これは堅いだけではダメで柔軟に力を逃すというか、柔軟さが必要なんですね。強度と柔軟さがすごくこうバランスして家を支えるような材になってくるんですけれど、その中でヤング係数っていうのは「たわみ」、ある程度力がかかった時にたわんで力を逃すっていうものになってきます。

佐伯)じゃあそれに、県産材は優れてるっていうか…

宮浦)愛媛県の実験ではですね、例えば九州産の材とかと比べると成長が遅い分、そういう強度が強いというふうに出てますね。

佐伯)成長が遅いってことが、本当に良い影響に?

宮浦)木材の中では、その成長が遅くて木目が込んでるものの方が、見た目も綺麗ですし強度としても上がってくるということで喜ばれます。

佐伯)そういう愛媛の、しかも木にこだわったお店ですから県産材とかもけっこう使われてるんですか?

宮浦)私たちは、建築材は建築材として本業の方で扱ってるんですけれど、ここ(木生活)はですね、一般の消費者の方にもっと木材に触れてもらおうという意味でいろんな小物を扱ってまして、その中に当然スギ・ヒノキ、私たちも大好きなのでできるだけ使っていこうということでやってます。


 

 


[ Playlist ]
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Selected By Haruhiko Ohno


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