今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、松山東雲女子大学・松山東雲短期大学の学長、水代仁さん。今年6月に学長に就任されたばかりで経営学の研究者でもいらっしゃる水代さんに、「地域イノベーションへのチャレンジ 誰でもわかる経営学とデータサイエンス」をテーマにお話を伺いました。東雲女子大学人文科学科には、昨年度「地域イノベーション専攻」が新設。文系学部で同専攻を開設したのには「ユーザー側のデジタル人材育成」という狙いがあるそうです。今回は「社会×データサイエンス」「ビジネス×データサイエンス」「東雲のチャレンジ」の3つがキーワード。地域課題の解決につながる学びがたっぷりです。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。
佐伯)そんな中、スウェーデン・・・日本よりも5年前に規制緩和されたスウェーデンでは、データサイエンスをどんなふうに活用していったんでしょうか?
水代)スウェーデンに関しましては、電動キックボードを提供している会社が複数あります。その中で最も高いシェアを持っているのが、VOIっていう会社なんですね。この会社は電動キックボードの安全性を高めるために、データサイエンスを用いた取り組みを展開しています。
佐伯)安全性を高める、データサイエンスを用いた取り組みとはどんなものなんでしょう?
水代)分析対象となるデータとしては、電動キックボードを使用し事故を起こしてしまったユーザーの報告、事故の大小とか事故が起こった原因の自己申告ですね、それが一つ目のデータです。そして二つ目として、電動キックボードのセンサーデータ。電動キックボードにはセンサーが付いていて、例えば事故当時の速度であったり道の傾斜であったり、あるいは危険な乗車行動があったかっていうことを検知する、そういったデータ。そして三つ目として、保険会社のデータ。電動キックボードに関しても保険に加入することが義務付けられていますので、その損害賠償となった場合、保険会社の事故分析、これをデータとして使います。そして最後、四つ目として公表されている交通事故のデータなど。これらをもとに、事故の原因を詳細に分析することが可能になりました。
佐伯)そのデータを集めることによって、「どういう状況だと事故が起こりやすい」ということが見えてくるわけですね。
水代)そうなんですよね。この分析結果をもとに「交通事故が発生した危険箇所」っていうのを地図上に可視化する。
佐伯)場所。
水代)そうです。これはVOI社が提供するアプリ内のナビゲーション機能に反映されていて、出発地から目的地まで、事故多発地域や重大事故発生地域を経由せず、さらに乗車禁止区域を避けた最適かつ安全なルートを表示することが可能となっています。
佐伯)え~!すごいですね。私達もよくアプリで「ここに行きたい」っていうときにオススメのルートって表示されますが、その中に事故がたくさん起こるところを通らないようなルートを提案してもらえるような。
水代)そうですね、自動車のアプリだったら、いかに渋滞を避けるかみたいな誘導になってしまうんですけど、このVOI社のアプリは安全性を最優先したアプリっていうふうになっております。
佐伯)ああ、電動キックボードの安全に特化した案内をしてもらえるんですね。
水代)そうですね。
佐伯)じゃ、それによって事故が減らせるという。
水代)そうですね、交通違反とか事故を未然に防ぐためにデータサイエンスが活用されているっていう事例となります。
[ Playlist ]
Nostalgia 77 – Beautiful Lie
Charlotte Gainsbourg – In The End
Yumi Zouma – Half Hour
Selected By Haruhiko Ohno