今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、伊予市役所産業建設部商工観光課地域プロジェクトマネージャーの十倉秀樹さん。地域プロジェクトマネージャーとは「専門的知識やこれまでの経験で培った人脈などを活用し、関係者間をつなぎながらプロジェクトをマネジメントする橋渡しの人材を、重要プロジェクトの責任者として市町村が任用する制度」ということで、十倉さんは今治タオル専門店副社長や西条市の「糸プロジェクト」などに関わった経歴を活かそうと昨年応募し、伊予市の地域プロジェクトマネージャーに着任されました。着目したのは、伊予市中山の「ヨモギ」。山間ならどこにでも生えていそうな「ヨモギ」による地域づくり、いったいどのようなものなのでしょうか?キーワードは「ヨモギはたくさん生えてるんだけど」「中山っ子と愛媛大学の学生さん」「子どもが動くと地域が動いた」です。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。
佐伯)今回このプロジェクトで使っている「あられ」のヨモギというのは、どういうふうにして使ってるんですか?
十倉)はい、これはやはりお餅につき込んで、「あられ」の原料はもち米ですのでヨモギと一緒につぎ込んで草餅みたいなのを作って。それをこんがりと焼いて「あられ」にしてるんですね。
佐伯)じゃあ、そこに投入するヨモギっていうのも、中山に生えているヨモギ。
十倉)100%中山産にしたんです。
佐伯)これを事業化というか、誰か摘んでくるわけでしょ?
十倉)そうです。この摘む人がいないんで、これを組織だって摘もうということを考えたんですね。
佐伯)摘む人がいない?
十倉)はい。業務用として摘んで、原材料として出すという人がいない。
佐伯)ああ、素材はいっぱいあるけど、それを使うために摘んでくれる人がいない。
十倉)はい。東陽製菓さんも、昨年までは久万高原のご年配の方たちが摘んでヨモギを納入してたんですよ。ところが高齢化で辞めてしまった。
佐伯)は~。
十倉)その後、東北地方からヨモギを仕入れるというようなことをやってたんですけども、実は全国的に熊がいっぱい出るんで皆さん山に入らなくなって。
佐伯)東北の方で。
十倉)はい。ですからヨモギが途絶えたわけですね。
佐伯)そうだったんですか!
十倉)ということは原料のヨモギがなくなって、この人気商品をやめようかというところまでいってたんですね。
佐伯)は~、そういう流れがあったんですね。で・・・
十倉)「中山のヨモギを使ってよ」というお願いをいたしまして、「わかった」というところでスタートしたんです。
佐伯)でも、そもそも中山でも業務用として使うほどのヨモギを摘んでる人はいなかったんでしょう?
十倉)うん、ですから出口がないんですよね。いっぱい取ってもどこも引き取ってくれないから皆さん自家用で
佐伯)済ませてた。
十倉)済ませてたというだけのことなんです。
佐伯)じゃ、今回こういうプロジェクトで、「東陽製菓さんでたくさんヨモギを使って商品作りますよ」っていう呼びかけをされたということですか?
十倉)そうです。東陽製菓の社長とは長年の知り合いでして、やはり原材料の枯渇という問題を聞いてましたので、私がちょうど伊予市に着任して、中山があるから「中山のヨモギを使ってよ」というところからスタートしたんですね。
佐伯)まさに人脈が活かされたプロジェクトなんですね!
十倉)まあ、そういうことになりますよね。
佐伯)で、中山の方に「こうこうこういうわけなんだけどヨモギ摘んでくれる人いない?」って言ったら、結構いらっしゃった。
十倉)そうです。ちょうど中山小学校の校長先生がいろんなことを・・・「過疎化なんで、子供たちを活用して地域を巻き込んでいろんなことをやりたい」ということのご相談がありまして。「じゃあ、こういう課題がありますよ」と。「ヨモギだったら需要がありますよ」という話で、「じゃあヨモギを摘もうか」というところからですね、スタートは。
佐伯)じゃあ結構なんかトントン拍子に話が広がっていったというイメージですか?
十倉)そうですね、だから課題があって、そこに小学校の課題というか「何かやりたい」というお話も来て、そこに愛媛大学さんも入ってきて、地元のご年配の方たちの住民団体がいて「私たちも助けましょう」というところで、なんか急編成ですけどそういうチームができたんですよ。
佐伯)すごくいい渦ができたっていう感じですね。
十倉)ヨモギはね、どこでも生えてますから難しいもんじゃないですから。
佐伯)いや、そこなんですよね。地域創生においては、そこに住んでる人が当たり前と思ってることは当たり前じゃないんだよっていう気づきから始まるっていうのを聞いたことあるんですけれども、まさにヨモギ、中山にいっぱい生えているヨモギ、これが皆さん当たり前に目にしてたけど実は取る人がいなくて原料不足になってるっていうところに着目をされて。
十倉)そうです、そうです。
佐伯)は~、やっぱりその着眼点というのが素晴らしいですね!
十倉)いやこれはたまたまなんですよね。たまたまなんですけども、どこでも生えてますから、おそらくリスナーの方だったら「うちにもなんぼでも生えてるよ」という方もいっぱいいると思うんですね。
佐伯)そうですね(笑)だけど、どうですか中山地区っていうのが山間にあって、たぶん空気も綺麗なんじゃないかなと思って。
十倉)ええ、星も綺麗し空気も綺麗ですし。
佐伯)だからそういうとこに生えてるヨモギっていうのは、すごく良さそうですね。
十倉)そう思います。やっぱり排気ガスとかそういう埃がかぶってるのでもないから、やっぱし、いいヨモギが採れると思うんですね。実際いいヨモギが採れたんです。
[ Playlist ]
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Swing Out Sister – Heaven Only Knows
Selected By Haruhiko Ohno