今回、坂の上に訪ねて来て下さったのは、北欧ヴィンテージ家具を扱うお店「tukuroi」を営む高橋聡さん。東京出身で松山市の三津に移住し、お店を開いた高橋さんが語る、人気の北欧家具の背景や文化のあれこれとは…。


 

佐伯)北欧ヴィンテージ家具を扱っている高橋さん。北欧ヴィンテージの魅力って…まあ一言では難しいと思うんですけど、どんなものが挙げられますか。

高橋)そうですね、いろいろ要素はあるんですけど、いちばんはそのシンプルなデザイン性。あとは、椅子だったら座り心地。あとテーブルとかですと、普段はまぁだいたいが四人家族なので四人が座れる用のサイズでテーブルを置いてるんですけども、たとえばおじいちゃんおばあちゃんであったりお友達が家に来られた時にテーブルを広げられるようになったりしてまして、そのデザイン性と機能性が一番の魅力かなと思いますね。

佐伯)それは両方に引っ張ったら真ん中から…下から天板が出てくるみたいな感じ?

高橋)そうですね、いちばん大きい天板の下に、隠し天板じゃないですけど引き出しみたな感じで入ってまして、それを引っ張ると出てくるようになってますね。

佐伯)そういう仕掛けがあるけれども、デザイン的にもカッコ良く仕上がっているんですか?

高橋)そうですね、普段しまってる時はシンプルなダイニングテーブルなんですけども、お客様が来た時とかは広げて使うようになってますね。

佐伯)じゃ、色々と、機能にも本当にこだわってるんですね。ヴィンテージは、10年以上前で100年以内ぐらいのものっていうことで、その時代時代で何か特徴があったりするんですか?

高橋)いちばんは、使う木によって違ってきますね。今、自分たちが取り扱ってるヴィンテージ家具はだいたい1950年から60年ぐらいに作られたものなんですけども、その家具はチーク材っていう木を使ってまして、これは東南アジアでしか取れないんですけども、今はそのチーク材はもう本当に高級木材になってるので、資源も少なくなってきて取れにくくなったりもしてるみたいなので、昔はチーク材を使ってたんですけども、今はちょっとチーク材の北欧家具っていうのは少なくなってきてますね。

佐伯)だからヴィンテージじゃないと手に入らない。

高橋)そうですね、そのチーク材のやつは。

佐伯)材が変わってくるんですね。

高橋)あと北欧家具の魅力の一つでもあるんですけども、チーク材が経年変化しまして、太陽の光を浴びてだんだんアメ色に変わって来まして、それはどうしても人が塗装するだけでは出せない色、自然が作り出した色なので、それも北欧ヴィンテージ家具の魅力の一つでもあると思いますね。

佐伯)使い込むほど味が出る…。そもそも何十年も使うことを前提に作られているものが多いんですか?

高橋)そうですね。あとは国の文化的な価値観の違いとかもあると思うんですけども、イギリスとかもそうだと思うんですけどデンマークの方々も、良い家具を買ってそれを丁寧に使って子供とか孫に受け継ぐっていう文化があるので。

佐伯)ああ、そういう“文化”なんだ。なんとなく、日本ですと今けっこう手軽な価格で手に入る家具もたくさんあるので、ちょっと使い捨てみたいなところもあるじゃないですか。そうではなくて、いいものをしっかりと大切に長く使うっていう…。それって、これからの生き方っていうか、再注目されてる持続可能型につながっていきますよね。

高橋)まさにそうですよね。おっしゃる通りだと思います。

佐伯)それを、もっと前からもう文化的にも根付いているのが北欧なんですね。その北欧の家具、日本で人気とはいえ、日本のお家にも似合うような感じ?

高橋)北欧の家具、ヴィンテージ家具もそうなんですけども、70年前とかちょうど戦後あたりですかね、デンマークの住宅事情もちょっと日本と近いところがあって、そんなに広くなかったっていう話もあったり。日本もちょっとそれに近い部分もあると思うので、日本の住宅事情にも合うとは思いますね。

佐伯)今言われて思いましたけど、確かにヨーロピアンスタイルの例えば猫足の家具とかだと、どこに置くの!?みたいな巨大なテーブルやら椅子やらありますよね(笑)。そんなんじゃなくて、北欧の70年ぐらい前のものは、日本のサイズ感にも合うっていう。

高橋)そうですね、もともとデザインがすごいシンプルなので、基本的にはどんなお宅にも合うとは思いますよ。

佐伯)それは椅子でもテーブルでも。

高橋)そうですね。

佐伯)日本もいわゆる伝統的な和風建築ですっていうところは、数的には少なくなってきてるのかもしれませんね。

高橋)そうですね、ただ意外とですね、今の日本の家にはもちろん合うんですけど、昔のそれこそ古民家、そういうところにもすごい北欧家具が合うんですよね。

佐伯)そうなんですか!?実際に置いてあるところはご覧になりました?

高橋)住んでるというよりかは、なんかイベント的な感じで古民家を再生して北欧家具を置くっていうイベントのようなことがあって、それを見た時に意外と合う!すごいかっこいいなと感じましたね。

佐伯)意外ですね。じゃ、いいものは何か通ずるものがあるんですかね?

高橋)だと思いますね。

佐伯)高橋さんのお店も三津にありますけど、三津ってけっこう古民家をリノベーションして利用されてるとことかもあるじゃないですか、カフェとか。そこに北欧家具があっても意外と馴染んじゃうかも。

高橋)いやぁ、馴染むと思いますね。

佐伯)それ新しい三津発信の文化になるかもしれませんよね(笑)

高橋)そうですね(笑)

 

 


[ Playlist ]
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Sly & The Family Stone – Hot Fun In The Summertime
Maria Muldaur – Midnight At The Oasis
Jose Gonzalez – Heartbeats
Earl Sixteen – A Love That I Can Feel

Selected By Haruhiko Ohno


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