今週、坂の上に訪ねて来てくださったのは、プログラミングスクール「TECH I.S.」代表の植松洋平さん。コロナ禍で一気に広がった感のあるテレワークなどのオンライン対応。じつは以前「オンラインよりフェイストゥフェイスじゃないと」と思っていた時期もある(!)という植松さんに、ITの現状を伺うと…。


 

佐伯)本当に今我々は、我々と言うか私なんかは、今まさにそういう境遇に入ってきたなーという感じなんですが、今の子供達は生まれた時からそういう環境で育っていくので、要するに昭和生まれの人間とは全く違った価値観というか生活スタイルで、これから過ごしていくってことになりますよね。

植松)そうですよね。

佐伯)小学校でもプログラミングでしたっけ必修化される…。

植松)はい。プログラミング教育もそうなんですけど、やっぱり国全体としてそういう、人材っていう言葉を使うと大げさなんですけど、そういうことを理解して、作る側だけじゃなくて使いこなせる側とかになっていかないといけないっていうのが「国全体としての課題」としてあって。なので、それこそ小学校から、今年度からプログラミング教育っていうのが始まります。で、来年度から中学校が始まりますっていう。ただ、ここでなんか慌てる必要はなくて、小中学校に関してはプログラミングをガタガタカタカタカタっていうので書いていってやることではなくて…

佐伯)あ、違うんですか?

植松)違います。その「プログラミング的思考(・・)」なので、考え方であったり物事の進め方とか、「どうやったらこうやって動くのかな」とか、そういう思考(・・)を養うっていうのがメインとなってくるので。

佐伯)は~、そういうことなんですね。

植松)そうです!なので今までで言うと、例えば数学とか算数とかで「論理的な思考を養いましょう」みたいなことがあったんですけど、論理だけじゃなくて、やっぱり算数とか数学だったら紙の上でカタカタやるわけじゃないですか。じゃなくて実際に物を動かしてみて、「こうやって設計すると本当に動くかやってみよう」とかっていうのをできるのがプログラム、たとえば「実行って押すと動くかな」とか。

佐伯)それを感じさせるための教育が「プログラミング教育」なんですね。

植松)そういう教育が始まります。ただ、ここからが結構重要で皆さん知らないのが、中学校が来年度始まったあと、再来年度が高校が始まるんです。

佐伯)はい。

植松)で、高校が始まると、今までとやっぱりやってることがガラッと変わって、実際にプログラミングを書きます。難しい言葉で言うとコードって言われるやつですね、それを書いていきます、パソコンを使って。で、それを使って何か作ってみるとか計算してみるとかっていうことを、今の高校生、文系理系問わず全員がやります。

佐伯)文系も?

植松)はい。

佐伯)実はもう30年ぐらい前ですけど、私、大学の教養で「情報処理」っていうの取ってしまって、ベーシックというプログラミング言語で、さっきおっしゃったような、もうそれをカタカタ入力していったら教科書に載っているような画面上で図形が動くっていう、それを入力するっていう授業をとってたんですよ。それは言われた通りに打ててたら、変なスペースがあるとかコロンとセミコロンが違ってるとかそんなのがなければ、ちゃんと正しく動くので全然大丈夫だったんですけど、子供達がそういうのを小学校からしていくのかと思ってたんですよ。

植松)あ、それやると多分もうみんな嫌になってしまう可能性があります(笑)。

佐伯)じゃ、そうじゃなくって「論理的に考える」ためのもの。でも高校が必修化になるとコードを書きだすよっていう。

植松)そうです。今それこそ僕らでいうとセンター試験とか共通テストっていう言葉になってきてますけど、そこに「情報」っていう科目が入るんじゃないかって検討されてる段階なので。

佐伯)へ~~~~~~。

植松)本当、国としてもやっぱりそういう人材を、まぁ世界でもそうなんですけど日本は全然遅れてるので、育成していきたいのかなと。

佐伯)でも世代間格差が酷くなりません?

植松)なります。

佐伯)今、私なんかでも「今ごろの若い子はこんな日本語も知らないのか!?」と思ってビックリするようなことがあるのですが、逆に「こんな簡単なプログラムも分かんないの?」みたいな時代がすぐそこにやって来る…

植松)たぶん、もう5年すれば来るんじゃないですかね。

佐伯)ひえ~~~~、恐怖じゃないですか!そうなって来た時に、大人はどうしたらいいんでしょう?

植松)大人はですね、やっぱり必死に食らいついていく、いわゆるプログラミング学ぶっていうことも重要ですし、特に例えば学ぶって言っても物理的に無理なこともあったりとか業務があってとかっていうことで言うなら、よりITとかテクノロジーですね、IT問わずテクノロジーにまつわる事っていう情報を入れていくことで、そこの知識の差っていうかアイデアであったりとか人を動かすとか、そういったところで自分の力を発揮できなければ、おそらく立場が逆転すると思うんですね。プログラムってすごいっていうのは物を作ることができるんですよ。で指示だけできる人がいても、物を作れる人と指示ができる人どっちがすごいのかっていう議論になった時に、どっちも大事なんですけど、結局は物が作れなかったら絶対ダメですよね。

佐伯)はあ。

植松)もし仕事の話でエンジニアさんと僕が話をしていて、で僕ができないとして話をしていて、「こういうもの作って欲しいです」と。で、作ってくれたとするじゃないですか。で、喧嘩しますよね、例えば僕とエンジニアさんが。で、もうここで仲違いします。すると僕には何も残ってないんですよ。でもエンジニアには、もうその物がアイデアが残ってるんですね。こういうことも会社単位で考えたら、上司と部下で、部下が作れちゃう、上司は何も作れないで指示するだけってなると、やっぱりもっと寄り添って包容してあげるというか、その力もめちゃくちゃ重要になってくるのかなっていう。

佐伯)…勉強しよう。

 

 


[ Playlist ]
Madeleine Peyroux – The Summer Wind
Ophelia Swing Band – Knock Knock
Amos Lee – Keep It Loose, Keep It Tight
Laura Marling – Cross Your Fingers
Nicole Willis & The Soul Investigators – One In A Million

Selected By Haruhiko Ohno


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