今回、坂の上に訪ねて来てくださったのは、松山市にある杉山輪業代表の芝裕(ひろ)喬(たか)さん。JCGA公認サイクリングガイドの資格も持つ芝さんに伺った、ヨーロッパと日本の自転車文化の違いとは…。


 

佐伯)ヨーロッパの方ではクロスバイク、ハイブリッドバイクっていうのがやっぱり多いんですか?

芝)そうですよね、実はロードバイクが流行るって言うのは、日本がすごい特殊らしいんですよ。海外では実はマウンテンバイクの方が需要が大きくてですね。

佐伯)そうなんですか!?

芝)道のキレイさにもよるのかもしれませんね。

佐伯)日本の方が整っている?

芝)キレイと思います。走る環境は違うのかもしれないんですが、道路の整備状態っていうんでしょうか、フラットでっていうのは日本がやはり。物も落ちてませんし(笑)。これがイタリアに行くと石畳ですよね。

佐伯)そっか、そうですよね!

芝)当然イベントとか、たとえばジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランス、ヨーロッパが主体の大きな大きな大会はロードバイクですけども、話に聞いてる限りではマウンテンバイクとかの需要も非常に多いと。日常生活で使ってるのが、先ほど言われたようにクロスバイクたちが多いというとこですよね。

佐伯)道路事情は日本の方がいいけれども、環境はヨーロッパの方がいいんですか?どんな感じに違うのか…

芝)当然法的なことに関しては国々でいろんな考えがあって作ってると思うんです。ただ、たまたまご縁があってヨーロッパの方に研修とか去年行かしていただいた時に、オランダ、ドイツ、あとどこ行ったか忘れちゃったんですけど(笑)、オランダっていう所は自転車文化が凄い高い水準であってですね。事故に遭われてしまった際の考え方というのが、ちょっと日本とは違うなと。どちらが悪いって決めるのは難しいんですが、自転車と接触事故があった際には、非常に車は考えなきゃいけない、罰がキツイと。自転車は非常に、歩行者もそうですけど、優遇というか。自転車を撥ねるととんでもないことになるよっていうのは聞きましたね。私が行った限りでは、オランダの街並みとかにはですね、もうすでに自転車専用道があるんですよね。

佐伯)専用道がある?

芝)ぱっと見ちょっとわかんなかったんですけども。僕たち行って楽しくて、店を見て「すごいな」って、たまたま自転車専用道に並んでたんでしょうね。そんな意識は全くないんです。そうすると向こうからすごいスピードで自転車が来るんですよ。日本なら止まりますよね?

佐伯)はい、人がいますからね。

芝)それが止まらないんですよ。

佐伯)え、「ここは自転車道だから」ってことですか?

芝)はい。他の人に怒られました、「そこは、立ってるお前らが悪い。自転車専用道路は自転車のためのものだ。跨いでもいいよ、でも立ち止まるなよ。」って。

佐伯)は~。

芝)「居てもいいよ、でも撥ねられても文句言うなよ」って。

佐伯)日本だとちょっと私たちも、ここは歩道を走っても良いっていう標識があるけど、これがなかったら車道を走るのがいいのかとか…なんか割と自転車って好きなとこ走ってません?

芝)走ってますよね。

佐伯)何が正解なのかなっていう…

芝)そういうのもですね、ガイド業とか色々あってですね、愛媛県はガイド業もすごく進んでる場所なんですけど、その中で道路交通法は自転車が普及してきたらやっぱり色々アップデートして行かなきゃいけないんですけど、当然今ある道路交通法を主にして考えていかなきゃいけないと思いますが、「歩道は自転車で走っていいのか」って言われると自転車通行可だったかどうか、基本歩道で自転車で走っていいんですけど通行可がないと本当は押さなくちゃいけなかったりとかですね。あと、いつでもどのタイミングでも止まれる速度でないとダメとか、そういう細かいのがあるんですよね。横断歩道にですね、自転車のマークがないと、自転車を降りなきゃいけないとか。

佐伯)え、そうなんですね。

芝)本当はですね。法律にはそういうのがあって、それに照らし合わせて過失がどうだとかいうのもあるので、今そういう大事な岐路に立ってるって言うのも事実だと思いますけどね。

佐伯)これから自転車ユーザーが増えていくと考えれば、そういった法律の部分ももちろんアップデートして行かないといけないですし。

芝)そうですよね。

佐伯)愛媛県は「高校生、自転車乗る時ヘルメットかぶりましょう」っていうのがすごく進んでますし、あとこの春自転車保険も実は愛媛県では条例が改正されまして自転車保険への加入が努力義務ではなくて加入義務に変わったということなんですけれども、そういうマナーアップだったり環境の整備っていうものの必要性っていうのは芝さんもよく考えられてますか?

芝)自転車のヘルメット着用に関しては、まさかここまでしていただけるとは思わなかったですね。僕はやっぱりした方が良いと思うんですよ。非常に辛い現場も見たことありますし、「ヘルメットかぶってて良かったですね」って強く言えるシーンもあるんですよね。「ヘルメットをかぶろう!」「補助金出しますよ。」「中高生には配りますよ。」色々な考え方があると思うんですが、それをすることによって、今の自転車に乗り始める子なんかはヘルメットに対するアレルギーはないみたいですね。

佐伯)もうそういうものだと思ってるって事ですか。

芝)そうですね、だから逆になってきてるんですよ。

佐伯)え?

芝)子供達が「なんでお母さんヘルメット被らないの?」って。

佐伯)あ、そんな風に?

芝)痛いとこ突かれたな、と(笑)

佐伯)でも、それはいいことですよね。

芝)親がしないものを子にさせる、っていう。でもなかなか長年培ってきたものっていうのは急には難しいとは思うんですけど、ただヘルメットかぶれば助かる命も多い。事故にあった際に、向こうが悪いのかもしれないんですけど、その人を守るためでもありますよね。「良かった、私生きてた」っていう。そういう意味では非常にいいと思いますね。

 

 


[ Playlist ]
Phoenix – Holdin’ On Together
Sly & The Family Stone – Runnin’ Away
Psapp – Chapter
Radiohead – No Surprises
Oasis – Songbird
Seu Jorge – Ziggy Stardust

Selected By Haruhiko Ohno


この記事の放送回をradikoタイムフリーで聴く