今週、坂の上に訪ねて来てくださったのは、愛媛万葉苑保存会 常任理事の藤原茂さん、御年なんと95歳!万葉集に詠まれた植物を集めた植物園である万葉苑。戦時中には多くの日本兵が背嚢に万葉集を入れていたそうで、その一人である藤原さんの万葉集への思い入れは一入です。その万葉集の中で、愛媛にちなんだ歌について尋ねると…


 

佐伯)愛媛にゆかりの歌って、有名な額田王の歌ありましたけど、愛媛の植物にちなんだ歌っていうのもある?

藤原)あります。愛媛で詠まれたやつでね、あの額田王の歌は地名で道後温泉とのつながりで詠まれてますけどね、植物そのものを詠んだのが、ニワトコっていうのがあるんですよね。

佐伯)ニワトコ?

藤原)今の名前ではヤマタズ。

佐伯)ちっちゃい白っぽい花が密集して咲いている写真がありますね。

藤原)ヤマタズが万葉の名前だ。ニワトコが今の名前でした。これはね、(松山市)山越の向こうに姫原っていうところがあるでしょ、あそこで悲恋物語があって。今もあそこにね、軽之神社っていうのがあるんですよ。そのお宮に祀られているのが、軽皇子(かるのおおきみ)と軽皇女(かるのいらつめ)っていう妹さんなんですよ。これはね、当時、兄妹でも腹違いの、お母さん違いの兄妹だったら恋をしてもいいと、ところが軽皇子と軽皇女は同じお母さんの兄妹だった。

佐伯)お父さんもお母さんも同じ兄妹。

藤原)それで恋愛したもんだから大変嫌われて、で、伊予に流されたんですよ、兄さんの方が。それを慕ってね、妹さんが「君が行き 日長くなりぬ 山たづの 迎へを行かむ 待つには待たじ」と言うて、伊予まで訪ねて来られるんですよ。

佐伯)これは、どういう意味なんでしょう?

藤原)これはね、「君が行ってしまってから日数がたった、お迎えに行きたい」と。そして「待ってもおられません」と。まあ流されている訳ですからね、帰ってくるはずないですから。

佐伯)離れ離れになって、もう迎えに行きたいと。

藤原)罪人として流されてるんですよ。それで、お迎えに行こうということで、来るんですよ。

佐伯)あ、来るんですか、実際に?

藤原)来てね、会ったけども、ちょっと詳しいことはあれだけど色んなことがあって、生きていくわけにいかないと言うので、二人で心中するんですよ。それが軽之池っていうの、軽之神社=姫原に今もあるお宮のすぐそばが用水池になってるんですけど、その池に飛び込んで入水自殺をすると。それを憐れんで、そこにお墓が。悲恋の墓、二人のお墓をね、祀ってあるんですよ。今もこの間行ったら桜の立派なのも咲いてますよ。それで、悲恋物語の兄妹心中のね、伊予の兄妹心中ってこれ有名なんですけど。

佐伯)こういった、植物にまつわる愛媛の歌、愛媛に関する歌も万葉集に収められているんですね。

藤原)そうですね。

 

 


[ Playlist ]
Ella Fitzgerald & Louis Armstrong – I’ve Got My Love to Keep Me Warm
Sharon Van Etten – One Day
José Feliciano – Wild World
The Jessica Stuart Few – (Don’t Live Just For The) Weekend
Badly Drawn Boy – The Further I Slide

Selected By Haruhiko Ohno


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