今週は、アーティスト石村嘉成さんのお父様、和徳さんの後編です。和徳さんには、「石村嘉成展いきものだいすき その裏側」をテーマにお話を伺っています。今週は、「才能ではなく努力」「アーティストとプロデューサー」という2つのキーワードについて伺います。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


 

佐伯)もう本当に嘉成さんに会うと、私もなんか嬉しくなるっていうか。

石村)ありがとうございます。

佐伯)そう感じられる方がたくさんいるからこそ、嘉くんに会いに行きたいというので足を運ばれるんだと思うんですよね。

石村)ありがたいことですね。

佐伯)で、実際に足を運ぶと嘉くんに会えるじゃないですか。あれもお父さんのアイディアなんでしょう?

石村)そうです。やっぱりただ作品を展示してね、コーナーサインとかキャプションとかいわゆる説明書きを見て「この作家さんはこんなことを表現しようとしてるんやな」といって何となく美術館を嗜んでる感じの美術展は、もうそんなに僕は長く続けれないと思うんですよ。やっぱりね、みんなが楽しめんかったら。もちろんそれが楽しめないとは言いませんよ。これからやっぱり若い人にも見てもらわなかったら、今の子供たちって10年後のお客さんだし、美術館が続いていくためには、やっぱりそういう若い人とか子供さんにも来てもらわないかん。嘉成の展覧会やったら本当に3世代、親子3世代で来てくれるお客さんもすごく多いですし、みんなで「イエーイ」とか嘉成と一緒に楽しめるイベントもあって、まるでアミューズメントパークやテーマパークに来たような、そういうエンターテイメント性のあるような展覧会を目指したんですよ。嘉成のイベントがあって嘉成と一緒に楽しんだり、そういうことをしていかんかったら美術館っていうのはやっぱり僕はちょっとしんどいと思うんですよ。我々もそういう美術展を目指しています。3年前もそういう美術展もさせてもらいました。今回もそういうことを目指してますし、そういうのもやっぱりプロデュースのうちで、そういうのも楽しみはお客さんに来てもらって、1日とにかく遊んでもらいたい。だから、例えば本当に今日どこ行くかになったときに、エミフル行こか、高島屋行こか、県美行こかみたいな、そういう選択肢の一つにね、なってもらいたい。

佐伯)生活の中に美術館が。

石村)そうです!おっしゃる通り、生活の一部に美術館がなってもらいたい。そういう思いです。

佐伯)今回なんて本当に、作品の中に自分が入り込めたりだとか、それから嘉成さんのアトリエを再現されていて。あれ実際に嘉成さんが使ってたエプロンなんですか?

石村)そうですよ。

佐伯)あの絵の具がいっぱい付いたエプロンを身に着けて記念撮影ができたりとか。

石村)つい先週までつけてたもんですよ。あれを着てもらって、しかも嘉成の筆も自由に持っていいですから、筆とパレットと持って、で、書きかけのキャンバスも置いてるでしょ。あの前で写真を撮って。

佐伯)そういうアイディアも、お父さん。

石村)はい、そうです。

佐伯)あと今回本当に素敵だなと思ったのは、「このコーナーはこんなコーナーですよ」っていうのを嘉成さんがスケッチブックに描いたのがサインになってる。

石村)はい、そうです。手作り感満載でしょ。しかもスケッチブック破ったまま貼り付けてるんですよ。

佐伯)だから、輪っかから外れたイガイガがついたまま(笑)

石村)そう、イガイガがついたまま、しかもちょっと破れながら(笑)。そういうのも今回、普通の展覧会にはないようなしつらえにしてるつもりです。

佐伯)そうですね。だから本当に嘉成さんと一緒に展示を見ているっていうような感覚が、3年前よりも強くなったような感じがしました。

石村)そうです。前回よりもいろんな工夫もできたし、その間いろんなとこでやってきてますから、いろいろそのときの「こうしたらいいな」っていうのを反映させてます。そういう意味では集大成ですね。

佐伯)まさにプロデューサーですよね。今回ももちろんタイトルも「いきもの大好き」っていうことなんですけれども、どの生き物が一番好きですかっていうふうな質問を何かギャラリートークでされてたかと思うんですけど、それ一番ってやっぱ決められないですよね。

石村)よく聞かれるんです。嘉成に聞かれるのは「どの作品が一番気に入ってますか」と聞かれるんですけど、嘉成は「次に描く絵です」と。

佐伯)かっこいい。アーティストだ(笑)。そうですか。今回の展示を見ていると、作品とともに、私、嘉成さんって詩人だなって思うんですよね。だから絵の才能だけではなくて、やっぱ表現という中に言葉っていうのも…療育でも一生懸命ご両親も取り組まれた言葉っていうのもしっかり根付いてるっていうか、なんかそれを感じたんですけどいかがですか。

石村)そうですね、嘉成は動物、生き物を描いてるのが多いんですけど、人間から見た動物じゃなくて、動物から見た「仲間の動物」を描いてるんですよ。

佐伯)仲間。

石村)うん、仲間を描いてるんですよ。だからああいう言葉が出てくるんじゃないかと思うんです。「負けるな。負けないぞ」とか。「脇目も振らず頑張れ どこまでも」とかね。あれは自分は仲間に対して励ましてる、もしくは励ましてもらってるみたいな、その仲間意識の中で描いてるから「目が生きてる」とかね、表情があるとかね。息子の作品っていうのは、単にロブスターを描いてる、単にパンダを描いてるんじゃなくて、何かをしているなんとか、「友達を待ってるなんとか」「ひなたぼっこしてるなんとか」とか、そういうふうに必ずストーリーがあるんですよ。

佐伯)ある、ありますね

石村)ストーリーも自分が入り込んでる証拠やと思うんです。だからそれを、それが言葉になってたり、キャンバスは言葉は書いてないですけど、それが目の表情に表れてたり、そういうことじゃないですかね。

佐伯)目の表情。もうあの目の優しさが嘉成さんと同じ目ですねって、私お父さんに言ったことがあるんですけど

石村)おっしゃるとおりなんですけど、ピュアなんですよ。動物はピュアですからね、計算なんかないですからね。息子も計算なんかないですから。計算さんも思惑も駆け引きも全く。普通の人が成長とともに得てきたものは一つも得ずに、大人になってますから息子は。

佐伯)だからなんか眩しいんだなあ。

石村)ピュアなんです、だから。

 


[ Playlist ]
Sharon Jones & The Dap Kings – Better Things
Yumi Zouma – Half Hour
Amiel – Lovesong
Nicola Conte – The In Between
Phoenix – Love For Granted

Selected By Haruhiko Ohno


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