今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、愛媛大学教育学部教授の青木亮人(まこと)さん。青木さんは、この「坂の上のラジオ」初回のゲストでいらっしゃいます!今回は、松山市に待望の再建なった「愚陀仏庵」オープンにちなんで、「子規と漱石 運命の52日間」をテーマにお話を伺いました。明治時代、今となっては「文豪」と呼ばれる漱石と「近代俳句の父」と称される子規ですが、愚陀仏庵で過ごしていたころはどんな若者だったのか。「子規、まるで実家のような暮らしぶり」「子規のカリスマ性」「子規と漱石 それぞれが歩んだ道」というキーワードで語って頂きます。これを聴いて「愚陀仏庵」に足を運べば、二人をより身近に感じられること間違いなしです!

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)では、二つ目のキーワードです。「子規ノカリスマ性」ということで、先ほどもね、子規はもう何かあっても、周りに気を使ってなくても、「あの人はああいう人だから」って言って引き付けられるっていう魅力がありますよということでしたよね。やっぱりその辺りですか、カリスマ性。

青木)そうですね、巻き込む磁場みたいな、ああいうのを持ってる人って、やっぱりそんな多くないと思うんですよ。子規は周りに、なんと言うか好き嫌いを超えたところで、引きつけてしまうようなものみたいなのをやっぱり持ってたみたいで。じゃないと説明できないぐらい…やっぱり結核っていうのは、いくら昔とはいえそんな簡単に気軽に近づいてずっと朝から晩まで語り合うとか、そんなに気軽にできなかったはずなので、なのにあれだけ人が集まっただけじゃなくて、なんていうか子規のすごいところって、どんどん周りを俳句好きにさせてくっていう。子規の周りにいる人って何か「俳句しなきゃいけない」って感じになってくんですよね。

佐伯)そうなんですね、すごい!ある意味、洗脳みたいな(笑)

青木)考えたらすごいことだと思います。実業とかで明らかに儲かるからやろうっていうんじゃなくて、ある種、一文のお金にもならない俳句を、なんかその「しなきゃいけない」ってとこまで持ってくっていうのは、やっぱ普通の人にはできないことだと思う。

佐伯)やっぱカリスマ。

青木)もう明らかにその周りを巻き込むカリスマみたいなもの。あれだけはいくら写真を見ても、あといくら子規の本を読んでも、ちょっとわからないところなので。あれは会わないとわからないものっていうのを多分持ってたんじゃないかなと思います。

佐伯)うわー、すごく興味深いですね。その巻き込まれた人の1人が漱石であり、句会に足しげく通っていた人たち。

青木)そうですね、特に松風会と言われた人たちで、中でも柳原極堂という、当時新聞社に勤めていて、子規と同じように「新しい明治の世の中を何とかしなきゃ」っていうので政治活動なんかもやってて。で、子規は同い年なんですよ。すごい尊敬してたんですよね。だから愚陀仏庵に子規が来たときに、いつまで松山に子規が留まってくれてるかわからないからっていうので、ほとんど毎日日参するぐらいでどうも通ってたらしいと。もちろん子規は病人なので、そんなに負担かけちゃいけないっていうのと、あとはこれは極堂が書き残してるんですけれど、当時その愚陀仏庵…上野家っていう、上野さんのところの離れを2人で、漱石と子規が2人で過ごしていたんですけど、その離れに行くまでに、表の玄関口から何回か戸を開けていかないと通れなかったらしいんですよね。そうなるとやっぱり上野家の方に気を遣うっていう。いきなり離れに行けないので、かなり遠慮しながら…ってのは気が引けたんですけど、それでも、なんていうか子規がいいよって言ってくれたのと、やっぱりそれだけ教わりたかったっていうのがあったみたいで。もうかなり通って句会をやったり、俳句の話を聞いたりっていうのをしてたので。それは今の私達が振り返ると「そりゃあの子規がいるんだったら、それはそうだろうな」と。何となく前提として偉いっていうのがあるので受け入れちゃうんですけど、考えてみたら同い年で、しかも子規って28歳とかで、その若さで同い年の人物にそこまで熱中させるっていう、やっぱり普通のカリスマじゃない感じがあったのかなっていう。で、漱石ももちろんその熱気にあおられて、なんか内心ブツブツ言ってたかわかりませんけど、でも明らかに楽しそうだからってので行ったりっていうので、ああいうその周りの人たちの反応とか、子規に会いに行くあの頻度を見ると、やっぱり子規って何というか上手く言い難い「磁場」みたいな魅力のような、ああいうものを持ってたんだなっていうのは感じますね。

 


[ Playlist ]
Marvin Gaye – Mercy Mercy Me
Elizabeth Shepherd – What Else
Swing Out Sister – Heaven Only Knows

Selected By Haruhiko Ohno


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