今週は「坂の上の雲ミュージアム」から生放送!現代美術作家の中矢俊則さんをゲストにお迎えしてお送りしました。松山市出身の中矢さんは高校卒業後、美術を学ぶためにフランスへ渡り、現在はパリと松山を拠点に制作活動を行われています。坂の上の雲ミュージアムで先日行われた「秋山好古祭2026」では、“松山出身でフランスへ渡り学んだ”(好古はフランスで騎兵戦術を学んだ)という繋がり(!)から、中矢さんが手掛ける「シンメトリー作品」のワークショップを実施。その際に子どもたちが制作した作品と合わせて、1月25日(日)まで「中矢俊則シンメトリー絵画作品展」を実施中です。ラジオでは、中矢さんが渡仏した際の想いやシンメトリー作品の制作についてなど、楽しく語っていただくアートな時間が繰り広げられました。8月には愛媛県美術館での個展も予定されていて、そこに展示する意外な作品についてのお話も。全編はポッドキャストでお楽しみください!

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)中矢さん、高校時代にもうフランスに行って勉強するんだっていうのを決意されて、準備もされてパリへ、というところまでお伺いしましたけれども、先ほど、藤田嗣治、つぐじ、つぐはる?

中矢)なんか両方あるらしいですね。

佐伯)に憧れたっていうのが決定的だったっていうことでしたけれども、どんなところに惹かれたんですか?

中矢)あの人のね、生き方…

佐伯)生き方?

中矢)戦時中にフランスに渡って、ピカソとかモディリアーニとか、あの世界に日本人として飛び込んだ、あの勢いというか。人にはないもの、ピカソにはないもの、あの有名な世代にはないものを探して、自分の作品を確立したっていうところにすごく興味がありましてね。今でこそ藤田嗣治が日本でも認知されるようになったんですけども、私の頃は本当にみんな知らなかったんですよ。

佐伯)そうですか。

中矢)私、今でもこの藤田っていうのは、日本で第一パリで成功した方だと思ってまして。未だにそのあと成功してる画家さんっていうのは見たことないんですね。

佐伯)そんなに…

中矢)ですので、それが惹かれたところでもあるし。最初はその真似事というか、そういうのでいろいろ藤田の手法とか。あの人は結構秘密主義で、なんていうか、なかなか今も解明されてないような描き方なんです。

佐伯)え?

中矢)これちょっと深い話なんですけどね、もうこれ言えばちょっと長くなるのでやめておきますけども、すごくそういうことで惹かれまして、真似事をしたり、最初の方はしてましたね。

佐伯)藤田つぐじ、つぐはる、どっかで聞いたことあるなと、もしかしてラジオをお聞きの方にもいらっしゃるかもしれませんけれども

中矢)あの猫さんとか女性像とか線描で、ちょっと言えば日本画風な感じで、淡い感じの、静かな感じの絵が特徴的ですよね。

佐伯)なんかね、鑑定団とかに出てくるような気がします。

中矢)あ、なんか出てたらしいですね。

佐伯)鑑定にみたいな形で。で、ちょっと改めてその藤田嗣治さんなんですけど、レオナール藤田とも呼ばれてるそうですね。1886年から1968年までご存命だったということなんですけれども、フランスに帰化した方?

中矢)そうですね。最後は改宗しまして、レオナールという名前を付けたんです。

佐伯)そういうことなんですね。実は調べてみますと、藤田嗣治のお父さんの嗣章(つぐあきら)さんは、森鴎外の後任の陸軍軍医総監。

中矢)そうなんですよ。

佐伯)お兄さんの嗣雄(つぐお)さんは大学教授で、児玉源太郎の4女と結婚ということで、これもこじつけにはなりますけれども「坂の上の雲」に出てくるような人々ともご縁のある…

中矢)なんか関係ありますよね。

佐伯)ね、すごい方なんだなと思いました。

中矢)だからその親御さんがそういう方ですから、多分あの時代にフランスに渡れたと思うんですけれども

佐伯)あ、なるほど。

中矢)あの時代にも結構日本人が行ってました。藤田の時代にも行っていたんですけども、特に秀でていると。それはやっぱりなぜかといえば藤田がそれだけの技量があって勉強したっていうことだと思うんですよ。キャラクター的にもすごく面白い人で、毎晩のようにモンパルナスのカフェで、画家連中と飲み歩いたりとかしてるようなおふざけキャラでもあったんですよ。

佐伯)おふざけ(笑)

中矢)藤田のフを取って「フーフー」と呼ばれてたんですよね。

佐伯)愛称が?

中矢)ええ、愛称が。その「フー(fou)」っていうのは「馬鹿げた子」みたいな感じの意味なんですよ。

佐伯)へ~。

中矢)「お前は馬鹿げてる」って言われて、「フーフー」と呼ばれてたんですよ。そういうこともありましてね、かなりキャラクターも面白かった。というので他の画家よりも、多分ちょっと一線を置いたところがあるんでしょうね。

佐伯)キャラクターも魅力的だった。そういうところにも中矢さんは惹かれたんですか?

中矢)はい。もう私は藤田に関しては専門家以上の専門です。あらゆる本も集めましたし。東京に行って神田町の古本屋で、もう買い集めて買い漁って。それが高校のときでしたからね。だからもうそれを全部知ってます。

佐伯)じゃ、そういう熱い思いもひっさげてパリへということで、パリではどういう形で勉強を進められたんですか。

中矢)最初はねやっぱりさっき言ったように、藤田と今までの先生に教わった感じのを混ぜ込んだ、自分なりにこうやって行ってたんですね。ですので初めの方はそんなに…どうやったらその藤田みたいになれるのかなと思ってたんですけど、時代はすっかり変わってましてね。エコール・ド・パリなんていうのは、もう特に絵を書けば売れたっていう時代でもありましたし、今ではもう全然行ってみたら変わってるみたいな感じで。なもんで、今と昔はこんなにも違うんだっていうので、その中でどうやって個性的なものを生み出すので、かなり時間を使って。いろいろ考えた末に今の「シンメトリー」っていうのにちょっと引っかかった部分があって、それで今ずっと研究、研究中です。課題がどんどんどんどん、やればやるほど出てくきてるんで、そういう、まだこれからっていう、今始まったっていう感じです。


[ Playlist ]
Selected By Haruhiko Ohn Ásgeir – In The Silence
The Rolling Stones – As Tears Go By
Roos Jonker – Man In The Middle

Selected By Haruhiko Ohno


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