今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、町立久万美術館学芸員の品川ちひろさんと面河山岳博物館学芸員の安田昂平さん。二つのミュージアムがコラボするイベントの開催を前に、その魅力について伺いました。美術が専門の品川さんと、昆虫が専門の安田さん。全く異なる分野を掛け合わせたイベントとは?「橋が架かった風景画で昆虫採集」「積雪の風景画で昆虫採集」「草が茂る風景画で昆虫採集」というキーワードで「絵の中の昆虫採集!?」について語っていただきます。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)では、3つ目のキーワードです。「草が茂る風景画で昆虫採集」。これが今まで見た中で、いかにも虫がいそうな風景ではあります。手前には芝ではないけれども草が広がってる。広いところがあって、木が…広葉樹ですかね、これ。木がバーって生えていて、その奥の方に膝丈から腰ぐらいですかね、草が繁っていて、その奥に隠れるように建物があるんですけれども。これもいわゆる茅葺みたいにも見えますし…というような風景画です。これは虫いますね、いっぱいいるんじゃないですか、安田さん?

安田)そうですね、いっぱいいすぎてどこから手をつけようところなんですけど(笑)

佐伯)じゃ、それを伺う前に品川さんに作品自体のご説明をいただきましょう。

品川)はい。今ここにある絵がですね、久米桂一郎という作家の「風景」という作品です。大正2年の作品ですね。この久米桂一郎という作家は慶応2年生まれなんですけれども、活躍したのは明治で、留学して黒田清輝…教科書とかでもご存知の方多いと思うんですけれども、その黒田清輝と一緒に、日本に明るい印象派風というか外光派の画風を広げていった作家です。指導者的な役割というか、日本の洋画を広げたっていうような作家の一人です。

佐伯)確かに言われてみれば印象派みがあるというか(笑)

品川)ちょっと明るい感じがすると思うんですよね。

佐伯)なんかわかりますね。で、この方が描いた作品。あの有名な方なんですか、久米桂一郎さん?

品川)美術が好きで美術館とか行くような人は知ってるかもしれないですけど、すごい一般的に言って「はいはい」と、「そうですね、この人ですね」というのはちょっとなりづらいかもしれないですね(笑)一応、東京都品川区に久米美術館というような美術館はあって、この人のお父さんが歴史家で岩倉使節団の一員として欧米諸国に行ったみたいで。そういうようなお父さんを持っている人なので、そのお父さんと久米桂一郎を顕彰するような美術館も品川区にあります。

佐伯)そういうお父さんがいらしたからヨーロッパの印象派の影響っていうのもいち早く受けたのかも知れないですね。

品川)そうですね、ヨーロッパの印象派の影響を受けたのは多分直接言ったからっていうことではあると思うんですけど、そういう外のものが入ってくるような環境には子供のときからいたっていうようなことだと思います。

佐伯)なるほど。では、その風景の中で昆虫採集。いろいろっておっしゃいましたけれども、どこから聞いていきましょうか?

安田)そうですね、まず植物が全体的に生えているんですけれども、その生えてる植物の草丈の高さの違いですね。なので、草周りが特に気になりますね。

佐伯)手前には背丈の低い草っていうか足元に広がってるような草。で、何か食べてる動物もいますけど、草を。

安田)はい、羊か何かですかね。

佐伯)この辺りには?

安田)そうですね、こういう背丈が低い草の辺りですと、カマキリの仲間ですね。特にチョウセンカマキリという種類が、こういった場所だと見つかりやすいかなと思います。

佐伯)一般的に私たちがカマキリと聞いて思い浮かべるカマキリは、あれは何?オオカマキリとかですか?

安田)そうですね、オオカマキリも見つかりますし、実はチョウセンカマキリもよく見つかる種類です。

佐伯)あ、そうなんですか。チョウセンカマキリはどのくらいの大きさ?

安田)そうですね、大きいもので6センチから7センチぐらいですかね。

佐伯)で、そのチョウセンカマキリの特徴は?

安田)はい、チョウセンカマキリがですね、カマの付け根…カマキリは前足がカマになってると思うんですけど、カマの付け根が濃いオレンジ色、温州ミカンの皮みたいな色をしてます。

佐伯)ふ~ん、それが特徴。そこで見分けるわけですか。

安田)見分けるのに大事なポイントですね。

佐伯)こういう低い草のところに生きてる。

安田)そうですん、こういう開けた場所で見つかりやすいカマキリですね。

佐伯)やっぱりカマキリでもいろんなところに、種類別で住むところっていうか、は違ってきてる。

安田)そうなんですよ!

佐伯)なんかすごく

品川)生き生きとしてる(笑)

佐伯)ねえ!(生き生きと)されましたけれども(笑)。

安田)はい、この作品、奥に行くに従って、草の高さが高くなってるような作品なんですけれども、その奥の草丈が高い場所ですと逆にオオカマキリが、より見つかるかもしれないなという可能性がありますね。もっと草丈が高くて、なんか雑草がもっと込み入ったような場所とかですと、よりオオカマキリ好みの環境にはなりますそうですね

佐伯)じゃ、住み分けがされてるわけですね。面白い!木もいっぱい生えてるんですけど、そんなに太い木ではなくて結構細い。これ何の木だろう?

安田)樹種の特定まではちょっと難しいですけど、こういう木ですね、木がまばらに入ってる場所でもまた、違うカマキリがいるんですよ!

佐伯)え、カマキリ?また?

安田)はい、またカマキリですね(笑)。こういう木が生えている場所ですと逆に今度はハラビロカマキリという木の上で生活するようなカマキリがまた別にいまして。この一つの作品の中でもカマキリが、少なくとも3種類はいるんじゃないかっていう(笑)

佐伯)ははは。面白い。そうなんですね、じゃあ、この印象派っぽい作品のこの風景画に3種類のカマキリを見つけられるっていう。これちょっと安田さんと一緒じゃないと見つからないかもしれない(笑)

品川)まさか3種類もいるとは思わなかった(笑)

 

 

[ Playlist ]
Jon Lucien – The Pleasure Of Your Garden
Marc Benno – Try It Just Once
The Heptones – Ob-La-Di, Ob-La-Da
Stereophonics – Nice to be out

Selected By Haruhiko Ohno

 


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