今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、田力本願株式会社取締役の井上裕也さん。社名には「田んぼの力を信じ、田んぼで力を発揮し創造し次世代に継承していく」という思いが込められている、地元・西予市宇和町の米農家が作った会社なんです。「令和の米騒動」と言われるほどの米不足が話題となった今年、改めて井上さんたちの思いや活動に注目が集まっています。今回は「みかん循環栽培」「農業とIT」「食べてもらえば分かる!」というキーワードで「お米の未来」について語っていただきました。聞き手は平野和子アナウンサーです。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。
平野)それでは、一つ目のキーワード「みかん循環栽培」です。これはどういうものなんでしょうか?
井上)我々のお米作りを特徴づけるために、どういうものがあるかなっていうとこから始まりまして、その中で愛媛といえば「みかん」がどこにでもあると。特に南予エリアに関しては、山一つ越えたところにみかんがいくらでもあるっていうところで、みかんジュースの搾りカス…皮とかですね、そういったものを有効活用できないかということで。それの一つに弊社の代表の中野がですね、有機関係の肥料とかですね、栽培に熟知してる人間で、中にみかんボカシ、米ぬか、EM菌…乳酸菌とか酵母とかいうものなんですけど、それらを混ぜ合わせることによって肥料化できないかというようなチャレンジを何度か行ったところ、ちょっと詳細は忘れましたが成分とかも調べていただいたら、肥料として十分活用できるということもありまして。春の田んぼ作り、土作りに使用が非常に出来やすいというものがありまして、それを米作りに生かしていこうということで作っております。
平野)みかんを作って、その搾りカスでボカシを作って、それでお米を作るということで、みかん循環栽培法ということでいいですか。
井上)そうですね、さらに言えばですね、米を収穫した後のワラとか、モミ殻はみかん農家さんがみかん畑に使用すると。そういう中で循環が生まれているっていうこともありまして「みかん循環栽培」と一応名付けているというような形になりますね。
平野)では、宇和米をブランド化していく、その取り組みの中で愛媛を象徴するみかんも取り入れたというところなんですけれども、今はブランド米の世界っていうのもなかなか大変なんですか。
井上)今はもう今年に関して言えば、すごい一般のお米も米価が高いっていう年ではあるんですけど、我々会社を立ち上げてもう10年になりますが、この10年間という中では、なかなかお米の価値を簡単にお伝えすることが難しい状況も当然ありました。そういった中で、全国が競うように様々なブランドのお米というものがありまして、ましてや愛媛県では「お米があるの?」というぐらいの認知度しかない中で、例えば「田んぼの横にはみかんの木が生えてるんですか?」と東京の人には言われるようなイメージがありましたんで、であるならば、みかんとお米をセットにしたような、そういったようなブランディングが重要かなと。
平野)やっぱり東北とか新潟を代表に、寒いところの方がお米は美味しいイメージがありますよね。
井上)そうですよね、間違いなく、はい。
平野)そういうことですか。
井上)「愛媛といえばみかんだろう」みたいなイメージがあって、首都圏とかね、都会のお客様から言うと、「田んぼの畔にみかんの木が生えてる」ぐらいの、もう本当にリアルにそんな感じのイメージしかないので、であるならばという発想から始まったのが「みかん循環栽培」というものに繋がっていったという、連想ゲームみたいな感じですかね。言われたときはめちゃくちゃネガティブに受け止めたんですけど、そんなものかと。でもやっぱりそういうものを逆転の発想ではないんですけど、やっていくっていうことがブランディングじゃなかろうかというような発想がありました。
[ Playlist ]
The Breeders – Drivin’ On 9
Yumi Zouma – December
Smashing Pumpkins – Beautiful
Selected By Haruhiko Ohno




