今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、愛媛県総合科学博物館専門学芸員の小林真吾さん。あなたは、愛媛県の県獣が「ニホンカワウソ」ということ、ご存じですか?国の絶滅種に指定されていますが、愛媛と高知では絶滅危惧種とされています。ニホンカワウソが国内で最後に目撃されてから今年で50年。今年中にニホンカワウソの生存が確認されなければ、愛媛と高知でも絶滅種となってしまうという大きな節目を迎えています。そんな中、現在開催中の特別展「もっと知りたい!史上最大のニホンカワウソ展」を手掛けた小林さんに、「宇和島で日本最後のニホンカワウソを保護」「言い伝えのなかのカワウソ」「科学技術でニホンカワウソを解剖」という3つのキーワードで、その秘密を紐解いてもらいました。

番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)今回の一つ目のキーワードは「宇和島で日本最後のニホンカワウソを保護」ということなんですけれども、それはどういう状況での保護だったんでしょう?

小林)はい。さっきもちょっとお話しましたけれども1975年ですね、昭和50年。今から50年前のことだったんですが、宇和島の沖にある九島という島がありまして、今は橋で繋がっているんですけど、そこの島で畑の作業に行かれた方が、海岸をひょこひょこ歩いてる見慣れない動物がいるのを見つけて…

佐伯)九島で?

小林)はい、九島で。それで「ちょっと変わったものがいる」ということで捕まえてみたところ、それがニホンカワウソだと。

佐伯)へ~!人間が捕まえられるぐらいな…

小林)たぶんちょっと弱っていたんですよね。海岸で歩きにくいところだったっていうのもたぶんあるんですけど…それをなんか箱に入れて、ちょっと保護したというのが、そのときの状況ですね。

佐伯)保護っていうぐらいだから、ちょっと世話もして…

小林)そうですね。ただ何か捕まえて退治したとかそういう形ではなくて、餌をちょっとあげて、どうもカワウソのようだからどうしたらいいかお伺いを立てようということで、県の教育事務所にちょっと尋ねたところ、「ニホンカワウソだから、それはすぐに放すように」と。特別天然記念物になっていたのでね。それで逃がそうかということで、保護してたところに行ったんだけれども、もう弱ってたので亡くなってしまっていて…

佐伯)そうですか。だからそれが最後の、ということに。

小林)そうですね、そこでやっぱりそういうのがあっても県に届け出ることになっていたので、その後、道後動物園の方に引き取られていって、はく製となってうちの博物館にその毛皮の部分が来て、骨はとべ動物園で骨の標本になってる。で、当時動物園におられた方が「もしかしたら最後になるかもしれない」ということで、もう本当に全部標本にしたので内臓も残っていると聞いています。

佐伯)そうですか。本当に貴重な最後の個体ということになったんですね。

小林)そうですね。

佐伯)あと九島の方は、「これどうもニホンカワウソじゃないんかな」と思うぐらいは、カワウソっていうのが知られてたってことでしょう?

小林)はい、そうですね。やっぱりうちの博物館にある標本とかを見ても、宇和島というのは非常にカワウソがたくさんいたんですね。数が多いので、標本の数が。

佐伯)へ~。今そのあたりで何かもし居たとしても、カワウソってわかんないですもんね。イタチか何かかと…

小林)だからやっぱりその当時はまだ、その人たちも子供の頃から見た経験があってっていうのと、やっぱり数が多かったということがあったんだと思います。

佐伯)ちなみにその、結果として今のところ最後の個体となったそのニホンカワウソを捕獲した島民の方の何か記録みたいなのも残ってるんですか?

小林)そうですね、捕まえたというその方がまだお元気でいらっしゃるので…

佐伯)今もですか?

小林)はい。なので今回の展示のためにその方のところに訪ねていって、お話を伺ったりしてきたんです。

佐伯)どんな風におっしゃってました?

小林)その方90歳になられるんですけれども、本当にお元気で記憶も確かで、すごいリアルなお話が聞けたんですけれども。本当に家の近くのいろんなところに、「昔はここにカワウソがよく出たんだ」とかっていうことも言われてましたし、昔、家の前に繋いでいる船で、夏場は子供たちだけで寝ていたそうなんですけれども、「そういうところで寝ていると、明け方とかにカワウソが海の中にドボンって飛び込む音がするんだ」って。っていうぐらい身近だったんですね、その方が子供の頃は。

佐伯)はい。いやなんかその子供が家の前に繋いだ船で、夏の夜寝るっていうのもちょっと驚きですけども(笑)

小林)そうですね、たぶん暑かったのとやっぱり子供の数が多かったので、昔は。だから冬は家の中で集まって寝るけれども…

佐伯)暖かいから、はい。

小林)夏はたぶんそれだと眠れないので、船の方に行って寝てたということだと思うんです。

佐伯)そうですか。もう本当に島のあちこちで目撃される存在だったんですね。

 


[ Playlist ]
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Selected By Haruhiko Ohno


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