今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、愛媛県酒造組合理事長で石鎚酒造株式会社代表取締役社長でもいらっしゃる越智浩さん。日本の伝統的酒づくりがユネスコの無形文化遺産に登録されたことで改めて注目される「日本酒」について、「伝統的酒づくり、って何?」「家庭の味のお酒」「世界の食文化を醸す」というキーワードでお話を伺いました!現在、愛媛には34の蔵元があり、海外への輸出に向け「愛媛モデル」を構築してターゲットを世界へ広げているんだとか。花の酵母を使ったお酒の話など、愛媛ならではの日本酒トークもあり、新年らしく賑やかに華やかにお送りしました。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)地元の放送のニュースでですね、世界各国へPRに酒蔵さんたちが出かけたっていうのを私目撃したんですけれども、愛媛はどこをターゲットに特にしているっていうのはありますか?

越智)ありがとうございます。愛媛県のお酒もですね、それぞれの蔵元さんの取り組みもありますし、愛媛県酒造組合が中心になって輸出もしてるんですけども、今ね、いちばん愛媛県の輸出相手先国で多いのは、まず台湾です。

佐伯)はい。

越智)国の数をいうと本当多岐に渡ってですね、東南アジアが中心なんですけども、実はプロモーションであったり商談会については、一昨年ですね、2023年には台湾の方に行ってきました。昨年2024年はシンガポール、マレーシアということで、愛媛県のお酒をPRするだけではなくって、愛媛県の優れた食材、食文化と一緒にPRをするということで、非常に現地でも好評を得てまして、私どもの事務局が非常に驚くほどですね。本当に商談会出てもそんなに簡単に取引なんて始まらないんですけども、やっぱり今の輸出、日本酒の輸出の好調が追い風になってですね、どんどん今からマレーシアだったりシンガポール、もう既に取引きが始まってるということを報告を受けてます。

佐伯)そうなんですね。すぐにレスポンスがあるっていうのは嬉しいですね。

越智)そうなんですよ、なかなか輸出ってのは何となく聞いた感じだと今までハードルが高いような感じだったんですけども、もう今、日本国内は残念ながら人口の減少であったり、それに伴って飲酒人口=お酒を飲む人口も当然これから減ってくるので、海外に評価を受けて自然に足が向くというのは至極自然なことかなというふうに考えてます。

佐伯)その世界へ向けてということで、やはりこれは各蔵元さんで戦略の違いみたいなものはあるんでしょうか?

越智)そうですよね。蔵によってはね、例えばいろんなお酒のコンクールとかコンペってあるんですよ。今まで日本国内でのコンペっていうのがすごく中心だったんですけど今ね、本当にイギリスであったりミラノであったり、台湾であったり香港であったり、いろんな国で日本酒のコンクールがあって、そこでやっぱり上位に入る、ゴールドメダル取ったりすると、現地の商社であったり飲食店さんからオファーがあったり。実際ですね、私どもの蔵もそういったコンペに積極的に出品をし、また賞も獲得してるんですけども、もうそれはね、毎年いろんなところからお声をかけていただいてる状態なので、それがきっかけで実はプロモーションに行ってるっていうのもあるんですよね。

佐伯)そうですか。では一方で、課題というのはどんなところにありますか?

越智)そうですよね、やはり日本国内のいわゆる商売、ビジネスと違ってですね、やはりこうなるべく相手の顔が見える、お互いがちゃんとわかった上でのビジネスってのは大事だと思うんですけども、いろんな国際情勢であったり、今もすごくまだまだ円安が続いたりっていうことで、いいところもあったり悪いこともあったりなんですけども、やはり何て言うんでしょう、私どもが思ってる物流、流通、例えば赤道直下を越えていく場合だってあるわけです、お酒が。その時の品質をどうやって担保するのかと。全てが全て空輸便でいければいいんですけども、なかなかそうはいけない。ということになると、やはり船便でもですね、しっかりと低温貯蔵というところが必要になってくる。というところに、今度流通コストがかかってくるということで、そのへんをやはり何でしょう、ちょっと交通整理というかですね。蔵元の負担もありますし、そういった課題はありますですね。

佐伯)そうした課題解決のために、酒造組合さんの方ではどういう取り組みをされてるんでしょうか?

越智)あ、ありがとうございます、これね、愛媛県ならではのちょっと話になるんですけども、全国的に「愛媛モデル」って言われてる実はシステムっていうか、取り組みがあって。これはなんぞやというとですね、愛媛県は34蔵ありますけども、本当小規模な蔵元さんが多ございまして、そうすると、輸出における手続きというのは国によって全然違うんですよね。すごく複雑な国もあったら、割とスムーズにいく国もあるわけなんですけども、その輸出業務全般をですね、日々の仕事をこなしながら小規模な蔵元さんがするのって、すごく大変だったりするんですよ。それをですね、愛媛県酒造組合がですね、輸出部っていう窓口があるわけですけども、これを代行しましてね。

佐伯)へ~。

越智)要するに愛媛県の一つの蔵を海外にお伝えするんじゃなくて、愛媛のお酒すべてで、例えば「石鎚酒造の酒が欲しいんですけど」っていうオファーがあったとしたらば、「いや、愛媛にはもっと素晴らしいお酒がたくさんあるんで、ご一緒にどうですか」ということで、台湾なんかまさにそうなんですよ。ですから今、台湾では愛媛のお酒っていうのはね、本当いくつもいくつも現地のパートナー、インポーターの方にお取引いただいてる感じで。これはですから台湾だけでなく今、世界各国に広がってですね、日本全国私どもと同じような、愛媛県酒造組合と同じような各県単位の組合があります。ぜひ愛媛のようになりたいなと。

佐伯)わぁ、そうなんですね。

越智)ただそこには、私どもはチーム愛媛ですけども、それぞれの県の蔵元さんのご意向であるとか、その辺のパワーバランスとかいろいろあるんでしょう、なかなかうまくいかないっていうふうに聞いてますけども…

佐伯)他所の県は。

越智)はい、やはりそこに愛媛県と私どもの今までの取り組み、お酒だけではなくて当然、食文化の中での愛媛の食を広めていく中での愛媛フェアって海外でもありますけども、そこに必ず愛媛の酒を連れて行っていただいてるっていうところがあって。そこで現地のフェア、プロモーションでね、愛媛の酒もいいじゃないかということで、そのまま輸出、お取引に繋がってるってところもあると思うんですよね。

 


[ Playlist ]
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Selected By Haruhiko Ohno


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