今週、坂の上に訪ねてきてくださったのは、四国中央市にある紙のまち資料館の学芸員・近藤弘樹さん。四国中央市といえば、日本一の紙のまちとして知られていますが、その礎を築いたとされる三偉人の一人=住治平についてご紹介いただきました。住治平以外の二人、薦田篤平と篠原朔太郎については、実は以前この番組で紹介しています。住治平は紙の品質改良とともに販路拡大で大きな功績を残した人物。「貧しさのなかで見つけた活路」「紙の商人として」「地域の発展に尽くす」のキーワードで、その足跡を紐解きます。
※番組のトーク部分を、ラジコなどのポッドキャストでお楽しみいただけるようになりました!ぜひお聞きください。


佐伯)明治に入って、紙と砂糖を扱う商店の経営に転向したという住治平。そこからどうなっていくんでしょうか?

近藤)はい。先ほど住治平商店を立ち上げたよというお話をしましたが、そこでは主に半紙を取り扱いました。今いろんな紙の商品があるんで、なぜ半紙って思われるかもしれませんが、当時ですからね、やはり需要もあります。高いですから、やはり半紙を主力に据えました。当時の状況なんですが、既にですね、明治18年の段階で薦田篤平、篠原朔太郎、当然、住治平もそうですけども、そういうようなたくさんのこの宇摩の先人のおかげで宇摩地方の製紙産業は、既に生産高自体は県内でトップになるぐらいになっております。当然その和紙の産地としては大洲和紙とか周桑和紙の方が、先ほど藩のお話をしましたけども歴史も古く、当然生産量も多かったわけですが、四国中央市は周回遅れで来たんですが、グーッと右肩上がりで成長を遂げていくと。当然その中で治平もですね、お店を立ち上げ、品質の改良にも随時取り組んでいくというような時代になります。

佐伯)まさに住治平が時代を先読みしていたというのが当たったわけですね。

近藤)はい。ここで一つご紹介なんですけども、住ブランド、といえばちょっと高級感ありますけども、皆さん商標登録、今はね、商売の上では当然にあるわけですが、日本で言うと明治17年に日本初の商標登録制度が制定施行されるわけなんですが、明治27年にですね、住治平はこの自分の住治平商店で扱う品物にですね、、天国の天にマルっとマルで囲った商標…けっこうマルなんとかって多いですが、 天にマルというような商標をですね、商標登録して自分の商売に活用しているということで。当然商標登録ですから高品質で安定した供給ですね、生産販売が行えていたということの一つの証というかね、証明なのかなと思います。

佐伯)へ~。治平は品質にもこだわりを見せていたということなんですね。売り手っていうだけじゃなくって、作るっていう意味でも技術的にこだわっていたっていうことですか?

近藤)そうですね、ニーズのある商品を、作るということになりますけども、先ほど市の花にミツマタがなったよということを申し上げましたが、四国中央市の製紙産業の特に戦前ぐらいを見ますと、実はミツマタの果たした役割、和紙の原料として有名ですけども、ミツマタの果たした役割は大変大きいわけですが、ミツマタをですね、苛性ソーダという薬品があるんですけども、それでうまく処理をすることによって、紙の品質、生産性を上げていくということがあります。住治平、半紙を中心に扱ったというお話なんですが、改良半紙ということで、このミツマタをですね、苛性ソーダでうまく処理するということで、この半紙に関して特許も取ったということのようですけども、作り手としての技術もあったということになろうと思います。こういうのは今までになかった化学薬品を使ったりすることによって、安価で高品質の製品を大量に生産して、全国へ売って販売を展開していくというようなことになります。

 


[ Playlist ]
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Selected By Haruhiko Ohno


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